積分方程式

積分を含む関数方程式(関数\(f(x)\)を求める方程式)を積分方程式といいます。
実は 「(2-6,7)定積分を含む関数①②, (2-9)次数と定積分」 での内容と同じですが、まとめの意味を込めて今回扱っていきます。例題に入る前に問題の解法手段をおさらいしておきます。

 

(1)積分に関係のない変数は前に出す。
(2)定積分が定数ならば文字でおく。
(3)定積分が変数なら微分する。
(4)\(x\)に都合のいい数を代入する。

 

 

(例題1)
\(x\)の整式 \(f(x)\),\(g(x)\) が次の条件を満たしている。
\(\displaystyle\int_1^xf(t)dt=xg(x)+ax+1\) (\(a\)は定数)
\(g(x)=x^2-x\displaystyle\int_0^1f(t)dt-1\)
このとき、\(a=□\) であり、\(f(x)=□x^2+□x+□\), \(g(x)=x^2+□x-1\) となる。

 

 

定積分が2つありますが、
\(\displaystyle\int_1^xf(t)dt\) は変数、\(\displaystyle\int_0^1f(t)dt\) は定数です。第1式をいきなり微分するには積の微分(\(xg(x)\)の微分)が必要なので、まず第2式を定数のところを文字で置いて表して、第1式に代入します。

(解答)
\(\displaystyle\int_1^xf(t)dt=xg(x)+ax+1\)・・・①
\(g(x)=x^2-x\displaystyle\int_0^1f(t)dt-1\)・・・②

\(\displaystyle\int_0^1f(t)dt=k\)・・・③ (\(k\)は定数) とおくと
②は
\(g(x)=x^2-kx-1\)・・・④

④を①に代入して
\(\displaystyle\int_1^xf(t)dt=x(x^2-kx-1)+ax+1\)
\(\displaystyle\int_1^xf(t)dt=x^3-kx^2+(a-1)x+1\)・・・⑤
両辺\(x\)で微分して
\(f(x)=3x^2-2kx+(a-1)\)・・・⑥

⑤に\(x=1\) を代入して
\(0=1-k+(a-1)+1\)
\(a-k+1=0\)・・・⑦

⑥を③に代入して
\(\displaystyle\int_0^1\{3t^2-2kt+(a-1)\}dt=k\)
\(\left[t^3-kt^2+(a-1)t\right]_0^1=k\)
\(1-k+a-1=k\)
\(a=2k\)・・・⑧

⑦⑧より\(a,k\)を求めると
\(a=-2\), \(k=-1\)

したがって⑥④から
\(f(x)=3x^2+2x-3\)
\(g(x)=x^2+x-1\)

 

 

 

 

(例題2)
整式 \(f(x)\) と実数\(C\)が
\(\displaystyle\int_0^xf(y)dy+\displaystyle\int_0^1(x+y)^2f(y)dy=x^2+C\)
を満たすとき、この \(f(x)\) と \(C\) を求めよ。

 

 

\(dy\) は\(y\)についての積分なので、\(x\)は定数扱いです。

(解答)
(左辺)
\(=\displaystyle\int_0^xf(y)dy+\displaystyle\int_0^1(x^2+2xy+y^2)f(y)dy\)
\(=\displaystyle\int_0^xf(y)dy+x^2\displaystyle\int_0^1f(y)dy+2x\displaystyle\int_0^1yf(y)dy+\displaystyle\int_0^1y^2f(y)dy\)

1つめの積分は変数、後半3つの積分はすべて定数です。よって後半3つの積分を\(p,q,r\) とおきます。

ここで
\(\displaystyle\int_0^1f(y)dy=p\)・・・①
\(\displaystyle\int_0^1yf(y)dy=q\)・・・②
\(\displaystyle\int_0^1y^2f(y)dy=r\)・・・③
とおくと、与式は

\(\displaystyle\int_0^xf(y)dy+px^2+2qx+r=x^2+C\)・・・④

④の両辺を\(x\)で微分して
\(f(x)+2px+2q=2x\)
よって
\(f(x)=2(1-p)x-2q\)・・・⑤

⑤を①②③に代入していきます。
また\(C\)を求めるために④に\(x=0\)も代入しておきます。

④に \(x=0\) を代入して
\(r=C\)・・・⑥

⑤を①に代入して
\(\displaystyle\int_0^1\{2(1-p)y-2q\}dy=p\)
\(\left[(1-p)y^2-2qy\right]_0^1=p\)
\(1-p-2q=p\)
\(2p+2q=1\)・・・⑦

⑤を②に代入して
\(\displaystyle\int_0^1\{2(1-p)y^2-2qy\}dy=q\)
\(\left[\displaystyle\frac{2(1-p)}{3}y^3-qy^2\right]_0^1=q\)
\(\displaystyle\frac{2(1-p)}{3}-q=q\)
\(p+3q=1\)・・・⑧

⑦⑧より
\(p=\displaystyle\frac{1}{4}\), \(q=\displaystyle\frac{1}{4}\)

したがって⑤より
\(f(x)=\displaystyle\frac{3}{2}x-\displaystyle\frac{1}{2}\)

あとは③に代入しますが、\(f(x)\)が具体的に求まったので、これを③に代入して\(r(=C)\)を求めます。

よって③より
\(\displaystyle\int_0^1(\displaystyle\frac{3}{2}y^3-\displaystyle\frac{1}{2}y^2)dy=r\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\int_0^1(3y^3-y^2)dy=r\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}\left[\displaystyle\frac{3}{4}y^4-\displaystyle\frac{1}{3}y^3\right]_0^1=r\)
\(\displaystyle\frac{1}{2}(\displaystyle\frac{3}{4}-\displaystyle\frac{1}{3})=r\)
\(r=\displaystyle\frac{5}{24}\)

\(r=C\)・・・⑥ だから
\(C=\displaystyle\frac{5}{24}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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