定積分と漸化式①

積分漸化式の例題です。

\(\displaystyle\int\sin^nxdx\) のような\(n\)乗を含む積分計算では、漸化式(積分漸化式)を利用して解くことになります。積分漸化式の問題の大半は部分積分法が肝になります。何故かというと、部分積分では一部の関数を微分するので、その微分により\(n\)次の次数を下げることができて、\(n\)次の前後関係が分かるからです。

 

(例題1)
\(I_n=\displaystyle\int_{0}^{1}(1-x^2)^{\frac{n}{2}}dx\) について次の問い答えよ。ただし、\(n\)は正の整数とする。

(1)\(I_1\)を求めよ。
(2)\(I_n\) と \(I_{n+2}\) との間に成り立つ関係を求めよ。
(3)\(I_5\)を求めよ。

 

(解答)
(1)
\(I_1=\displaystyle\int_{0}^{1}(1-x^2)^{\frac{1}{2}}dx\)
\(=\displaystyle\int_{0}^{1}\sqrt{1-x^2}dx\)

(\(x=\sinθ\) で置換してもよいですが、円の面積で考えると楽です)

\(I_1\) は半径\(1\)の円の面積の\(\displaystyle\frac{1}{4}\)だから

\(I_1=\displaystyle\frac{1}{4}\cdot1^2\cdotπ\)
\(=\displaystyle\frac{π}{4}\)

 

(2)

\(I_{n+2}=\displaystyle\int_{0}^{1}(1-x^2)^{\frac{n+2}{2}}dx\) から \(I_n\) を作るために部分積分をします。積の形になっていませんが、\(1×(1-x^2)^{\frac{n+2}{2}}\) とみて部分積分します。

\(I_{n+2}=\displaystyle\int_{0}^{1}1\cdot(1-x^2)^{\frac{n+2}{2}}dx\)
\(=[x(1-x^2)^{\frac{n+2}{2}}]_{0}^{1}-\displaystyle\int_{0}^{1}x\cdot\displaystyle\frac{n+2}{2}(1-x^2)^{\frac{n+2}{2}-1}\cdot(-2x)dx\)

(1項目は\(0\))

\(=(n+2)\displaystyle\int_{0}^{1}x^2(1-x^2)^{\frac{n}{2}}dx\)

\(x^2\) の箇所が邪魔なので、これをうまく変形して\(I_{n}\)や\(I_{n+2}\)に結び付けるために\(1-x^2\)の形にします。(分からなかったら、\(x^2\)を \(1-x^2\) で割ればよい)

\(=(n+2)\displaystyle\int_{0}^{1}-\{(1-x^2)-1\}(1-x^2)^{\frac{n}{2}}dx\)

\(=-(n+2)\displaystyle\int_{0}^{1}(1-x^2)^{\frac{n+2}{2}}dx+(n+2)\displaystyle\int_{0}^{1}(1-x^2)^{\frac{n}{2}}dx\)

\(=-(n+2)I_{n+2}+(n+2)I_n\) (同形出現)

よって
\(I_{n+2}=-(n+2)I_{n+2}+(n+2)I_n\)
となるから

\((n+3)I_{n+2}=(n+2)I_n\)

\(I_{n+2}=\displaystyle\frac{n+2}{n+3}I_n\)

(3)

\(I_5=\displaystyle\int_{0}^{1}(1-x^2)^{\frac{5}{2}}dx\) を求めればよいのですが、直接置換積分などで求めずに、(2)で漸化式を手に入れたのでこれを繰り返し利用して求めます。漸化式は1つ飛ばしになっているので、\(I_5\) スタートで\(n\)を下げていくと最後には(1)で求めた\(I_1\)になります。

\(I_{n+2}=\displaystyle\frac{n+2}{n+3}I_n\) より

(\(n=3\)を代入して)
\(I_5=\displaystyle\frac{5}{6}\color{blue}{I_3}\)

(\(n=1\)を代入して)
\(=\displaystyle\frac{5}{6}\cdot\color{blue}{\displaystyle\frac{3}{4}I_1}\)

\(=\displaystyle\frac{5}{6}\cdot\displaystyle\frac{3}{4}\cdot\displaystyle\frac{π}{4}\)

\(=\displaystyle\frac{5}{32}π\)

 

 

(例題2)
\(I_n=\displaystyle\int_{0}^{1}x^ne^{-x}dx\) とする。(\(n\)は\(0\)以上の整数)

(1)\(I_n\) と \(I_{n-1}\) の関係式をつくれ。
(2)\(I_n\) を \(S_n\) を用いて表せ。ただし \(S_n=\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\displaystyle\frac{1}{k!}\) とする。

 

(解答)
(1)

同様に部分積分をします。次数を下げるために微分するのは\(x^n\)のほうです。

\(I_n=\displaystyle\int_{0}^{1}x^ne^{-x}dx\)

\(=[x^n(-e^{-x})]_{0}^{1}+\displaystyle\int_{0}^{1} nx^{n-1}e^{-x}dx\)

\(=-e^{-1}+n\displaystyle\int_{0}^{1} x^{n-1}e^{-x}dx\)

\(=-\displaystyle\frac{1}{e}+nI_{n-1}\)

よって
\(I_n=nI_{n-1}-\displaystyle\frac{1}{e}\) (\(n=1,2,\cdots\))

(2)

漸化式を解くことになります。\(I_{n-1}\) に係数\(n\)がついているので、両辺で1つずれた形にするために、\(n!\)で割ります。

\(I_n=nI_{n-1}-\displaystyle\frac{1}{e}\) (\(n=1,2,\cdots\))
の両辺を\(n!\)で割ると

\(\displaystyle\frac{I_n}{n!}=\displaystyle\frac{I_{n-1}}{(n-1)!}-\displaystyle\frac{1}{e}\cdot\displaystyle\frac{1}{n!}\)

(このまま進めてもよいですが、置き換えをすると)
\(\displaystyle\frac{I_n}{n!}=a_n\) とおくと

\(a_n=a_{n-1}-\displaystyle\frac{1}{e}\cdot\displaystyle\frac{1}{n!}\) (階差型)

\(n≧1\) のとき
\(a_n=a_0+\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(-\displaystyle\frac{1}{e}\cdot\displaystyle\frac{1}{k!})\)

\(a_0\) スタートになっているので、シグマは \(k=n\) まで加えます。
確認用に、\(n=1,2\) あたりを代入して成り立っているか調べてみるとよいです。

ここで、\(a_0=\displaystyle\frac{I_0}{0!}\) であり
\(I_0=\displaystyle\int_{0}^{1}e^{-x}dx=[-e^{-x}]_{0}^{1}\)
\(=-\displaystyle\frac{1}{e}+1\) だから

\(a_0=1-\displaystyle\frac{1}{e}\)

よって
\(a_n=(1-\displaystyle\frac{1}{e})-\displaystyle\frac{1}{e}\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\displaystyle\frac{1}{k!}\)

(\(0!=1\) だから \(-\displaystyle\frac{1}{e}\) もシグマに入れて)

\(a_n=1-\displaystyle\frac{1}{e}\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\displaystyle\frac{1}{k!}\)・・・① (\(n=1,2,\cdots\))

また①で \(n=0\) を代入すると
\(a_0=1-\displaystyle\frac{1}{e}\) となるので、①は\(n=0\) でも成立する。

したがって
\(I_n=n!a_n\) より

\(I_n=n!-\displaystyle\frac{n!}{e}\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\displaystyle\frac{1}{k!}\)

\(I_n=n!-\displaystyle\frac{n!}{e}S_n\)  (\(n=0,1,2,\cdots\))

 

 

次回は三角関数の積分漸化式を主に扱いたいと思います。

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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