引き続き空間の斜軸の回転体です。
今回は立方体を対角線を軸として回転させてできた立体の体積を求める例題です。
積分する際に調整用の項を掛けるのも忘れずに。
(例題)
座標空間内で、
\(O(0,0,0)\)、\(A(1,0,0)\)、\(B(1,1,0)\)、\(C(0,1,0)\)、\(D(0,0,1)\)、\(E(1,0,1)\)、\(F(1,1,1)\)、\(G(0,1,1)\)
を頂点にもつ立方体を考える。この立方体を対角線\(OF\)を軸にして回転させて得られる回転体の体積を求めよ。
なお、\(O'(\displaystyle\frac{t}{\sqrt{3}},\displaystyle\frac{t}{\sqrt{3}},\displaystyle\frac{t}{\sqrt{3}})\) (\(0≦t≦\sqrt{3}\)) とおくと \(OO’=t\) となるのでそのまま\(t\)で積分すればよいことになります。今回は練習のため \((t,t,t)\) でおくことにします。
\(OF\)に垂直な平面で切断した場合の断面を考える。
対角線\(OF\)上に点 \(O'(t,t,t)\) (\(0≦t≦1\)) をとる。
\(O’\)を通り、\(OF\)に垂直な平面の方程式は
\(1\cdot(x-t)+1\cdot(y-t)+1\cdot(z-t)=0\)
\(x+y+z=3t\)・・・①
①が\(A\)を通るとき (このとき\(C,D\)も通る)
\(1+0+0=3t\) より
\(t=\displaystyle\frac{1}{3}\)
よって対称性も考慮すると、\(t=\displaystyle\frac{1}{3},\displaystyle\frac{2}{3}\) を境目に平面①による立方体の断面は、三角形→六角形→三角形 に変化する。
(調べると分かりますが、三角形は正三角形になります。六角形は1つ飛ばしの辺が等しい六角形です)
(i)\(0≦t≦\displaystyle\frac{1}{3}\) のとき
\(t≠0\) では平面①は立方体の3辺と交わり、その交点の座標は \((3t,0,0),\ (0,3t,0)\ (0,0,3t)\)。これら3点の\(O’\)からの距離はいずれも \(\sqrt{4t^2+t^2+t^2}=\sqrt{6}t\) で、立方体の断面の三角形は\(O’\)を中心とする半径\(\sqrt{6}t\)の円に内接する。したがって回転体の断面積\(S(t)\)は
\(S(t)=6πt^2\) (\(t=0\)のときも満たす)
(ii)\(\displaystyle\frac{1}{3}<t<\displaystyle\frac{2}{3}\) のとき
平面①は立方体の6辺と交わり、そのうち\(AB\)との交点を\(P\)とする。\(P(1,y,0)\) と表せるから、①にこの座標の成分を代入すると
\(1+y+0=3t\)
よって \(P(1,3t-1,0)\)
他の5交点も同様に求めることができ (\((1,3t-1,0)\) を入れかえた座標になる)、いずれの点においても\(O’\)からの距離は
\(\sqrt{(t-1)^2+(2t-1)^2+t^2}=\sqrt{6t^2-6t+2}\)
で等しい。よって立方体の断面の六角形は\(O’\)を中心とする半径 \(\sqrt{6t^2-6t+2}\) の円に内接するから
\(S(t)=π(6t^2-6t+2)\)
(iii)\(\displaystyle\frac{2}{3}≦t≦1\) のとき
\(F\)を原点のように考えると、(i)の範囲における積分結果を利用すればよいことが分かる。
また、\(OO’=T\) とおくと
\(T=\sqrt{3}t\)
となるので、求める体積\(V\)は
\(V=\displaystyle\int_{0}^{\sqrt{3}}S(t)dT\)
\(=\displaystyle\int_{0}^{1}S(t)\cdot\sqrt{3}dt\)
\(=2\displaystyle\int_{0}^{\frac{1}{3}}\sqrt{3}\cdot6πt^2dt+\displaystyle\int_{\frac{1}{3}}^{\frac{2}{3}}\sqrt{3}\cdotπ(6t^2-6t+2)dt\)
\(=2\sqrt{3}π\left[2t^3\right]_{0}^{\frac{1}{3}}+\sqrt{3}π\left[2t^3-3t^2+2t\right]_{\frac{1}{3}}^{\frac{2}{3}}\)
\(=\displaystyle\frac{4\sqrt{3}}{27}π+\sqrt{3}\left(2\cdot\displaystyle\frac{7}{27}-3\cdot\displaystyle\frac{3}{9}+2\cdot\displaystyle\frac{1}{3}\right)\)
\(=\displaystyle\frac{4\sqrt{3}}{27}π+\displaystyle\frac{5\sqrt{3}}{27}π\)
\(=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{3}π\)
(参考)
回転体の断面である円の半径\(r\)は
\(r=\sqrt{6}t\)・・・(ア) (\(0≦t≦\displaystyle\frac{1}{3}\))
\(r=\sqrt{6t^2-6t+2}\)・・・(イ) (\(\displaystyle\frac{1}{3}<t<\displaystyle\frac{2}{3}\))
(ア)は\(t\)の比例式(1次式)になっているので、この範囲の回転体は円錐になります。(\(\displaystyle\frac{2}{3}≦t≦1\) も同様)
(イ)については、\(r=\sqrt{6(t-\displaystyle\frac{1}{2})^2+\displaystyle\frac{1}{2}}\) より \(t=\displaystyle\frac{1}{2}\) のとき (範囲のちょうど真ん中で) 最小値をとり、ここから両側に対称的に半径が増えていきます。
よって回転体は、くぼんだ円柱に円錐を2つくっつけた形状をしています。
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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