重複部分と回転体

回転させる図形が、\(x\)軸について上下 (\(y\)軸について左右) に存在する場合の例題です。

例えば\(x\)軸回転の場合、上半分の回転体と下半分の回転体に重複する部分がでてくるので、単純に2乗の差をとることができません。
この場合一方を折り返して、片側に寄せるのが基本です。

 

(例題)
\(a\)を \(0≦a<\displaystyle\frac{π}{2}\) の範囲にある実数とする。2つの直線 \(x=0\)、\(x=\displaystyle\frac{π}{2}\) および 2つの曲線 \(y=\cos(x-a)\)、\(y=-\cos x\) によって囲まれる図形を\(G\)とする。

(1)図形\(G\)を\(x\)軸の周りに1回転させてできる立体の体積を\(V\)とする。\(V\)を\(a\)を用いて表せ。
(2)\(a\)を条件の範囲で変化させる。\(V\)の最大値とそのときの\(a\)の値を求めよ。

 

(解答)
(1)

図示すると分かりますが、図形\(G\)は\(x\)軸にまたがって存在しています。
よって一方を折り返すことになります。(解答では下半分を折り返すことにします)

回転体重複 例題1-1

\(0≦x≦\displaystyle\frac{π}{2}\) のとき \(0≦a<\displaystyle\frac{π}{2}\) より
\(-\displaystyle\frac{π}{2}<x-a≦\displaystyle\frac{π}{2}\)
よって、\(\cos(x-a)≧0\) となるから、図形\(G\)を図示すると上記のようになる。

図形\(G\)の \(y≦0\) の部分を\(x\)軸について折り返してできる図形の回転体の体積が求める\(V\)である。

\(y=\cos x\) と \(y=\cos(x-a)\) の交点の情報が必要になります。(今回は具体的に求まる)。\(\cos x=\cos (x-a)\) を解くには、和積の公式角の見比べになります。角の見比べの場合には \(\cosθ=\cos(-θ)\) と一般角も考慮して、\(x=±(x-a)+2kπ\) で調べる必要があります。

回転体重複 例題1-2

\(\cos x=\cos(x-a)\) を解くと
\(\cos x-\cos(x-a)=0\)
\(-2\sin\displaystyle\frac{2x-a}{2}\sin\displaystyle\frac{a}{2}=0\)

よって、\(0≦x≦\displaystyle\frac{π}{2}\) における \(y=\cos x\) と \(y=\cos(x-a)\) の交点の\(x\)座標は、
\(a≠0\) のとき
\(-\displaystyle\frac{a}{2}≦x-\displaystyle\frac{a}{2}≦\displaystyle\frac{π}{2}-\displaystyle\frac{a}{2}\) と \(0<a<\displaystyle\frac{π}{2}\) より

\(x-\displaystyle\frac{a}{2}=0\) つまり \(x=\displaystyle\frac{a}{2}\)

また \(a=0\) のときは \(y=\cos x\) の回転体を考えればよいので、\(V\)は\(a=0\)の場合も含めて次のように表される。
\(V=π\displaystyle\int_{0}^{\frac{a}{2}}\cos^2xdx+π\displaystyle\int_{\frac{a}{2}}^{\frac{π}{2}}\cos^2(x-a)dx\)
\(=π\displaystyle\int_{0}^{\frac{a}{2}}\displaystyle\frac{1+\cos2x}{2}dx+π\displaystyle\int_{\frac{a}{2}}^{\frac{π}{2}}\displaystyle\frac{1+\cos(2x-2a)}{2}dx\)
\(=\displaystyle\frac{π}{2}\left[x+\displaystyle\frac{1}{2}\sin2x\right]_{0}^{\frac{a}{2}}+\displaystyle\frac{π}{2}\left[x+\displaystyle\frac{1}{2}\sin(2x-2a)\right]_{\frac{a}{2}}^{\frac{π}{2}}\)

\(=\displaystyle\frac{π}{2}(\displaystyle\frac{a}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}\sin a)+\displaystyle\frac{π}{2}\{\displaystyle\frac{π}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}\sin(π-2a)-\displaystyle\frac{a}{2}-\displaystyle\frac{1}{2}\sin(-a)\}\)

\(=\displaystyle\frac{π}{2}(\displaystyle\frac{a}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}\sin a)+\displaystyle\frac{π}{2}(\displaystyle\frac{π}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}\sin2a-\displaystyle\frac{a}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}\sin a)\)

\(=\displaystyle\frac{π}{4}(\sin 2a+2\sin a+π)\)

 

(2)
(微分するだけです)
\(f(a)=\sin 2a+2\sin a+π\) (\(0≦a<\displaystyle\frac{π}{2}\)) とおく。

\(f'(a)=2\cos2a+2\cos a\)
\(=2(2\cos^2a-1)+2\cos a\)
\(=2(2\cos^2a+\cos a-1)\)
\(=2(2\cos a-1)(\cos a+1)\)

よって \(a=\displaystyle\frac{π}{3}\) のとき \(f(a)\)は最大値をとるので
このとき\(V\)も最大値
\(V_{MAX}=\displaystyle\frac{π}{4}f(\displaystyle\frac{π}{3})\)

\(=\displaystyle\frac{π}{4}(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}+\displaystyle\frac{2\sqrt{3}}{2}+π)\)

\(=\displaystyle\frac{π}{8}(3\sqrt{3}+2π)\)

をとる。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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