対数関数の最大最小②

引き続き対数関数の最大最小問題について見ていきます。
今回は主に2変数関数の問題を扱います。

 

(例題1)
(1)\(x>0\), \(y>0\), \(x+2y=8\) のとき、
\(\log_{10}x+\log_{10}y\) の最大値を求めよ。

(2)\(x^2y=8\), \(x≧1\), \(y≧1\) のとき、
\(z=(\log_{2}x)(\log_{2}y)\) の最大値と最小値を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

2変数関数ですが、\(x+2y=8\) より1文字を簡単に消去できます。
ただし消去する際に範囲を求めることを忘れずに。

\(x+2y=8\) より
\(x=8-2y\)・・・①
ここで、\(x>0\) だから①より \(8-2y>0\)
\(y>0\) とあわせて \(0<y<4\)

\(\log_{10}x+\log_{10}y\)
\(=\log_{10}(8-2y)+\log_{10}y\)
\(=\log_{10}(8-2y)y\)
\(=\log_{10}(-2y^2+8y)\)
\(=\log_{10}\{-2(y-2)^2+8\}\)

底は\(10\)なので、真数が最大値をとるときを考えて
\(y=2\) のとき 最大値 \(\log_{10}8=3\log_{10}2\)
このとき \(x=8-2\cdot2=4\)

最大値 \(3\log_{10}2\) (\(x=4\), \(y=2\))

 

(2)

同様に1文字消去します。(もちろん範囲も忘れずに検討)
\(z\)が\(\log\)で表されているので、\(\log\)に統一するため \(x^2y=8\) の 両辺対数をとります。

\(x^2y=8\) の両辺で底を\(2\)とする対数をとって

\(2\log_{2}x+\log_{2}y=3\)
よって
\(\log_{2}y=3-2\log_{2}x\)・・・②
ここで
\(y≧1\) だから、\(\log_{2}y≧0\)
②より
\(3-2\log_{2}x≧0\)
\(\log_{2}x≦\displaystyle\frac{3}{2}\)
\(x≧1\) より \(\log_{2}x≧0\) と合わせて

\(0≦\log_{2}x≦\displaystyle\frac{3}{2}\)・・・③

\(z=(\log_{2}x)(\log_{2}y)\)
\(=(\log_{2}x)(3-2\log_{2}x)\)

(以下 \(\log_{2}x=X\) (\(0≦X≦\displaystyle\frac{3}{2}\)) とする)

\(=X(3-2X)\)
\(=-2X^2+3X\)
\(=-2(X-\displaystyle\frac{3}{4})^2+\displaystyle\frac{9}{8}\)

最小値
\(X=\displaystyle\frac{3}{4}\) のとき \(\displaystyle\frac{9}{8}\)
このとき \(\log_{2}x=\displaystyle\frac{3}{4}\) より
\(x\)\(=2^{\frac{3}{4}}\)\(=\sqrt[4]{8}\)

②より \(\log_{2}y=3-2\cdot\displaystyle\frac{3}{4}=\displaystyle\frac{3}{2}\) だから
\(y\)\(=2^{\frac{3}{2}}\)\(=2\sqrt{2}\)

 

最大値
(ア)\(X=0\) または (イ)\(X=\displaystyle\frac{3}{2}\) のとき \(0\)

(ア)
\(\log_{2}x=0\) より \(x=1\)
②から \(\log_{2}y=3-2\cdot0=3\) より  \(y=8\)

(イ)
\(\log_{2}x=\displaystyle\frac{3}{2}\) より \(x=2\sqrt{2}\)
②から \(\log_{2}y=3-2\cdot\displaystyle\frac{3}{2}=0\) より  \(y=1\)

 

 

(例題2)
\(\log_{2}x+\log_{2}y=3\) のとき \(x^2+y^2\) の最小値を求めよ。

 

 

\(\log_{2}xy=\log_{2}8\) より、\(xy=8\) で、1文字消去すると
\(x^2+y^2=x^2+\displaystyle\frac{64}{x^2}\)
文字については逆数の和の形になっているので相加相乗平均を使うとしてもよいですが、最初から相加相乗平均を使った方が早いです。

(解答)
真数条件から、\(x>0\), \(y>0\)

\(\log_{2}x+\log_{2}y=3\) より
\(\log_{2}xy=\log_{2}8\)
\(xy=8\)

\(x^2>0\), \(y^2>0\) だから、相加相乗平均の不等式より
\(x^2+y^2≧2\sqrt{x^2y^2}=2|xy|=16\)

等号は \(x^2=y^2\) のときで、\(x>0\), \(y>0\) より
\(x=y\)
\(xy=8\) より \(x^2=8\)
\(x=2\sqrt{2}(=y)\)

最小値 \(16\) \((x=y=2\sqrt{2})\)

 

 

(例題3)
次の等式が成り立っている。
\((\log_{a}x)^2+(\log_{a}y)^2\)\(=\log_{a}x^2+(\log_{a}x)(\log_{a}y)+\log_{a}y^2\)
このとき積\(xy\)の最大値および最小値を求めよ。ただし\(a\)は定数である。

 

 

 

条件式がやや複雑ですがよく見ると2つの関数だけで表されていて、\(\log_{a}x=X\), \(\log_{a}y=Y\) と置き換えれば見やすくなります。最大最小値を求める \(xy\) も条件式にあわせて対数をとって \(\log_{a}xy=X+Y\) としてしまいましょう。

(解答)
底と真数条件から
\(0<a<1\) または \(a>1\)
\(x>0\), \(y>0\)

\(\log_{a}x=X\), \(\log_{a}y=Y\) とおくと条件式は

\(X^2+Y^2=2X+XY+2Y\)・・・①

(注) \(\log_{a}x^2=2\log_{a}x\) としましたが、これは\(x>0\) のときしか成り立ちません。負の場合も考慮すると、一般的には
\(\log_{a}x^2=2\log_{a}|x|\)
です。

\(\log_{a}xy=X+Y\) だから

①の条件のもとで、\(X+Y\) の最大値,最小値を考えればよい。

①式から文字消去できませんが、\(X+Y\) のほうが1次式なのでこちらを \(X+Y=k\) とおいて1文字消去します。\(Y\)を消去すると \(k\) と \(X\) の式になりますが、そもそも\(k\)とおくのは、「\(k\)という値をとる」と仮定していることであり、\(k\)という値をとるときにそれに対応する 実数\(X\)(\(Y\)も) が存在するので、実数\(X\)の存在条件を考えればよいことになります(逆像法)。
今までの問題のように、\(X,Y\)を素直に動かして\(k\)の範囲を求める(\(X,Y\)に対応する\(k\)を探す)ことが困難なのでこのような手法をとっているわけです。
なお、実数\(X\)が存在することを確認できれば、\(k\)は実数として範囲がでてくるので、\(X+Y=k\) より \(Y\)も実数となることが確認できます。

\(X+Y=k\) とおくと
\(Y=k-X\)・・・②

①に②を代入して
\(X^2+(k-X)^2=2k+X(k-X)\)
整理すると
\(3X^2-3kX+k^2-2k=0\)・・・③

③を満たす実数\(X\)の存在条件だから、\(X\)の2次方程式③が解をもつ条件、つまり単純に「(判別式)≧0」です。\(X=\log_{a}x\) は、実数全体をとりうるので\(X\)が正とか負とかという考慮をする必要はありません。

③を満たす実数\(X\)が存在すればよいので

\(D=9k^2-12(k^2-2k)≧0\)
\(3k(k-8)≦0\)
\(0≦k≦8\) (このとき\(Y\)も実数)

よって
\(0≦X+Y≦8\)
\(0≦\log_{a}xy≦8\)
\(\log_{a}1≦\log_{a}xy≦\log_{a}a^8\)・・・④

最後に \(xy\) の範囲を求めます。底\(a\)が1より小さいと大小関係が逆転するので、底\(a\)が1より大きいときと小さいときで場合分けです。

(ア) \(0<a<1\) のとき
④より
\(a^8≦xy≦1\)
最大値 \(1\)  最小値 \(a^8\)

(イ) \(a>1\) のとき
④より
\(1≦xy≦a^8\)
最大値 \(a^8\) 最小値 \(1\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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