対数方程式の解の個数

対数方程式の解に関する問題について見ていきます。

 

対数関数は指数関数と同じ1:1対応の関数なので、\(t=\log_{a}x\) とおきかえた場合は\(t\)1個について\(x\)1個対応で、値域\(t\)については実数全体なので基本的な問題についてはそれほど難しくはないです。しかし対数には真数条件がありますし、真数が複雑になったりすると難易度は上がります。

 

 

(例題1)
\((\log_{2}x)^2-(a+1)\log_{2}x+(a^2-\displaystyle\frac{7}{4})=0\)
を満たす相異なる\(x\)の実数値が2個存在するように、定数\(a\)の範囲を求めよ。

 

 

\(t=\log_{2}x\)とおくと、\(t\)の2次方程式です。「\(t\)1個につき\(x\)1個が対応、\(t\)が異なれば\(x\)も異なる」、「\(t\)の範囲は実数全体」なので、条件は (判別式)>0 だけでよいことになります。

(解答)
\(\log_{2}x=t\) とおくと、\(t\)は実数全体をとる。

与式は
\(t^2-(a+1)t+(a^2-\displaystyle\frac{7}{4})=0\)・・・①

\(t\)の方程式①が異なる2つの実数解を持てば、異なる実数値\(x\)が2個存在することになるので
\(D=(a+1)^2-4(a^2-\displaystyle\frac{7}{4})>0\)
\(3a^2-2a-8<0\)
\((3a+4)(a-2)<0\)

したがって
\(-\displaystyle\frac{4}{3}<a<2\)

 

 

(例題2)
(1)\(x\)の関数 \(t=\log_{2}(x^2+\sqrt{2})\) の最小値とそのときの\(x\)を求めよ。

(2)\(a\)を定数とするとき、\(x\)の方程式
\(\{\log_{2}(x^2+\sqrt{2})\}^2-2\log_{2}(x^2+\sqrt{2})+a=0\)・・・・①
が解をもつ条件は \(a≦(ア)\) である。\(a=(ア)\) のとき方程式①は \((イ)\) 個の解をもち、また方程式①が3個の解をもつのは \(a=(ウ)\) のときである。

 

 

(解答)
(1)
底が\(2\)なので、真数が最小値のときを考えて
\(t=\log_{2}(x^2+\sqrt{2})≧\log_{2}(0^2+\sqrt{2})=\displaystyle\frac{1}{2}\)

よって \(x=0\) のとき 最小値 \(\displaystyle\frac{1}{2}\)

 

(2)
方程式①は
\(t^2-2t+a=0\)・・・② (ただし \(t≧\displaystyle\frac{1}{2}\))

\(t≧\displaystyle\frac{1}{2}\) の範囲で方程式②が解をもつ条件を考えます。
②の左辺をそのまま考えても解けますが、定数\(a\)が簡単に分離できるので定数分離します。

②が \(t≧\displaystyle\frac{1}{2}\) の範囲で解をもてば、方程式①は解\(x\)をもつことになる。

②より
\(-t^2+2t=a\)

対数方程式 解の個数 例題2

\(y=-t^2+2t=-(t-1)^2+1\)
\(y=a\)  のグラフを考えて
\(a≦1\)・・・(ア)

 

続いて \(a=1\) のときの解の個数ですが、これは具体的に\(t=1\) のときなので、\(x\)も具体的に出してしまいます。

次に \(a=1\) のとき方程式②は \(t=1\) が解
\(t=\log_{2}(x^2+\sqrt{2})=1\) より
\(x^2+\sqrt{2}=2\)
\(x^2=2-\sqrt{2}\)
\(x=±\sqrt{2-\sqrt{2}}\)

よって 2個・・・(イ)

 

最後に解\(x\)が3つの場合です。
(イ)で具体的に\(t=1\)のときをやりましたが、\(t=\log_{2}(x^2+\sqrt{2})\) で\(x\)のほうも2次式となっているので、\(t\)1個につき、\(x\)が2個対応しています。先ほどのグラフから\(t\)としての解は1個か2個なので、\(x\)としては2個か4個が原則です。
では\(x\)が3個になるのはどういう場合かというと、\(t\)が1個のときはMaxで\(x\)2個なので不適。よって \(t\)は2個となるわけですが、2個の\(t\)のうち一方は\(x\)としての解が2個で、もう一方が\(x\)としての解は1個(\(x\)の重解になっている)ときに合計3個になります。重解になっているのは \(x=0\) とすぐにわかるので\(a\)もすぐに求まります。

方程式①が3解をもつときは、
\(t^2-2t+a=0\)・・・②
が異なる2つの解\(t\)をもつときで、その2解を\(t_1,t_2\) とおくと

\(t_1=\log_{2}(x^2+\sqrt{2})\)
が2つの異なる実数解\(x\)をもち
\(t_2=\log_{2}(x^2+\sqrt{2})\)
が重解\(x\)をもつときである。

重解は \(x=0\) で、このとき \(t_2=\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(t=\displaystyle\frac{1}{2}\)が②の解となるときは
グラフより \(a=\displaystyle\frac{3}{4}\)・・・(ウ)

(このとき もう一方の解\(t_1\) について解\(x\)は2個となる)

 

 

 

(例題3)
\(a\)を実数とするとき、\(x\)に関する方程式
\(\log_{3}(x-1)=\log_{9}(4x-a-3)\)
が異なる2つの実数解をもつとき、\(a\)のとりうる値の範囲を求めよ。

 

 

 

真数条件、底の変換により式を整理します。一方の真数条件が文字を含んでいてややこしいですが、丁寧に処理していきます。

真数条件より
\(x-1>0\) かつ \(4x-a-3>0\)
つまり
\(x>1\) かつ \(x>\displaystyle\frac{a+3}{4}\)・・・①

\(\log_{3}(x-1)=\log_{9}(4x-a-3)\) より

\(\log_{3}(x-1)=\displaystyle\frac{\log_{3}(4x-a-3)}{2}\)

\(\log_{3}(x-1)^2=\log_{3}(4x-a-3)\)
よって
\((x-1)^2=4x-a-3\)・・・(※)
整理して
\(x^2-6x+a+4=0\)・・・②

 

①の範囲で②が異なる2つの解をもてばよいことになります。
①の2つの範囲の共通部分は、\(a\)によって異なるので場合分けします。\(\displaystyle\frac{a+3}{4}=1\) が境目です。

(i) \(\displaystyle\frac{a+3}{4}≦1\) つまり \(a≦1\) のとき
①の2つの範囲の共通部分は \(x>1\)
したがって
②が\(x>1\)で2つの実数解を持てばよいことになる。

対数方程式 解の個数 例題3-1

\(-x^2+6x-4=a\)
\(-(x-3)^2+5=a\)

\(y=-(x-3)^2+5\) と \(y=a\) のグラフが2つの共有点をもつとき
\(1<a<5\)
\(a≦1\) を満たさないので不適。

 

(ii)\(\displaystyle\frac{a+3}{4}>1\) つまり \(a>1\) のとき
①の2つの範囲の共通部分は \(x>\displaystyle\frac{a+3}{4}\)
したがって
②が\(x>\displaystyle\frac{a+3}{4}\)で2つの実数解を持てばよいことになる。

こちらは範囲に文字を含むので、定数分離せずに考えます。

 

対数方程式 解の個数 例題3-2

\(f(x)=x^2-6x+a+4\) とおくと条件は

(1)判別式 \(\displaystyle\frac{D}{4}=9-(a+4)>0\)
(2)軸 \(3>\displaystyle\frac{a+3}{4}\)
(3)端点 \(f(\displaystyle\frac{a+3}{4})>0\)

(1)より \(a<5\)
(2)より \(a<9\)
(3)より
\((\displaystyle\frac{a+3}{4})^2-6(\displaystyle\frac{a+3}{4})+a+4>0\)
整理して
\(a^2-2a+1>0\)
\((a-1)^2>0\)
\(a≠1\)

\(a>1\) とあわせて
\(1<a<5\)

 

 

(※)の式に着目すると、実はもっと楽な解法もあります。

一旦問題の解く方針を整理すると

\(x>1\) かつ \(x>\displaystyle\frac{a+3}{4}\)・・・①
の範囲で
\(x^2-6x+a+4=0\)・・・②
が2つの実数解をもてばよいということです。

②式を導く途中の式で
\((x-1)^2=4x-a-3\)・・・(※)
という式がありましたが、\(x>1\) (\(x\)は実数) のとき、(※)の右辺は正の数になります。
ということは、\(4x-a-3>0\) であり、これは①の2番目の \(x>\displaystyle\frac{a+3}{4}\) と同じ式です。そうすると、結局①の \(x>1\) を満たすだけでよいことになるので、

\(x^2-6x+a+4=0\)・・・②
が \(x>1\) で2つの異なる実数解をもてばよいことになります。
あとは定数分離すれば簡単に\(a\)の範囲が求まります。

こちらの解法は、真数条件がうまく求まらない場合などに特に有効です。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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