対数の近似値・大小比較①

対数の近似値や大小比較をする問題について見ていきます。

 

この分野は、直接計算できない\(\log\)の値の評価をします。
ポイントはその値に近い、計算できる(計算しやすい)ものを考えることです。また、結論の関係式(不等式)から逆算して考えることも重要です。

 

 

(例題1)対数表を見ずに答えよ。
(1)\(0.3<\log_{10}2<0.4\) を示せ。
(2)\(\displaystyle\frac{3}{10}<\log_{10}2<\displaystyle\frac{4}{13}\)

 

 

 

(解答)
(1)

示したい式から逆算していきます。
\(\log_{10}10^{0.3}<\log_{10}2<\log_{10}10^{0.4}\)
\(10^{0.3}<2<10^{0.4}\)
10乗して
\(10^3<2^{10}<10^4\)・・・①
よって ①を示してあとは逆を辿るだけです。\(2^{10}=1024\) は覚えておきましょう。

\(1000<1024<10000\) だから

\(10^3<2^{10}<10^4\)

底を\(10\)とする対数をとって
\(3<10\log_{10}2<4\)

したがって
\(0.3<\log_{10}2<0.4\)

 

(2)

同様に
\(10^{\frac{3}{10}}<2<10^{\frac{4}{13}}\)
左辺と中辺については(1)と同じで10乗して、\(10^3<2^{10}\)
中辺と右辺については13乗して、\(2^{13}<10^{4}\)
なお、\(2^{13}=2^{10}\cdot2^{3}=1024\cdot8=8192\) です。

\(10^3<2^{10}(=1024)\) より

底を\(10\)とする対数をとって
\(3<10\log_{10}2\)

よって
\(\displaystyle\frac{3}{10}<\log_{10}2\)・・・②

また
\(8192<10000\) より
\(2^{13}<10^4\)

底を\(10\)とする対数をとって
\(13\log_{10}2<4\)

よって
\(\log_{10}2<\displaystyle\frac{4}{13}\)・・・③

②③から
\(\displaystyle\frac{3}{10}<\log_{10}2<\displaystyle\frac{4}{13}\)

 

(1)は \(0.3<\log_{10}2<0.4\)
(2)は小数表記にすると \(0.3<\log_{10}2<0.308\)
となり、(2)がより精度の高い不等式になっていることが分かります。
右側の不等式は (1)では「1024<10000」から (2)では「8192<10000」から求めたので(2)でより精度の高い不等式になるのは当然です。
このようにはさみこむ値をより近い値に変えることによってより精度の高い値を求めることができます。
なお\(\log_{10}2\) のような底が\(10\)の対数を常用対数といいますが、常用対数はよく使われるので値が表(対数表)として完成されていて、問題文でもその値が出ている場合が多いです。対数の値が出ていないときでも、その値が必要なときは本問のようにある程度は値を絞り込むことが可能です。

 

 

(例題2)
(1) \(3^5<250\), \(2^{10}>1000\) を用いて、\(\log_{10}3<\displaystyle\frac{12}{25}\) を示せ。
(2) 任意の自然数\(n\)で \((1+\displaystyle\frac{1}{n})^{n}<3\) が成り立つことを利用して、\(\log_{10}3>\displaystyle\frac{9}{19}\) を示せ。

 

 

(解答)
(1)

使用する不等式が与えられているのでそこまで難しくはありません。
もし与えられていないとすると、\(2^{10}>10^3\) のほうはいいとして、\(3^5=243<250\) については、\(250\)が \(1000÷2^2\)で表されることと、証明する不等式から \(3^{25}=(3^5)^5\) が出てくることから予測できます。
解答の方針は、最終的な式 \(\log_{10}3<\displaystyle\frac{12}{25}\) から逆算して
\(3<10^{\frac{12}{25}}\)
\(3^{25}<10^{12}\)・・・①
だから、①を示します。\(3^{25}\)が計算できれば例題1のように簡単にいくのですが、無理なので与えられた不等式を使うわけです。

\(3^{25}=(3^5)^5<(250)^5=(\displaystyle\frac{1000}{4})^5\)\(=\displaystyle\frac{10^{15}}{2^{10}}<\displaystyle\frac{10^{15}}{10^3}=10^{12}\)

(分母が小さくなるほど全体としては大きくなることに注意)

よって
\(3^{25}<10^{12}\) が成り立つので
両辺 底を\(10\)とする対数をとって
\(25\log_{10}3<12\)

したがって
\(\log_{10}3<\displaystyle\frac{12}{25}\)

 

(2)

今までとは傾向が違う問題です。任意の自然数\(n\)で成り立つといっているので、好きな数字を入れて利用できるので、適当な数を入れることになります。
証明したい式 \(\log_{10}3>\displaystyle\frac{9}{19}\) より
\(3^{19}>10^9\)
なので、\((1+\displaystyle\frac{1}{n})^{n}<3\)  の\(n\)に代入する値の候補は、左辺が「\(3,10\)」 のみで構成される場合です。色々\(n\)を代入して試してみると、\(n=9\) が適当なことが分かります。

\(n=9\) を代入して

\((\displaystyle\frac{10}{9})^{9}<3\)

よって
\(10^9<3^{19}\)

両辺 底を\(10\)とする対数をとって
\(9<19\log_{10}3\)

したがって
\(\log_{10}3>\displaystyle\frac{9}{19}\)

 

 

(例題3)対数表を見ずに答えよ。
(1)\(\log_{2}3\) の値を小数第2位以下を切り捨てて、小数第1位まで求めよ。
(2)\(n\log_{7}3\) の整数部分が\(4\)であるような整数\(n\)を求めよ。

 

 

いずれも結論から逆算します。

(解答)
(1)

まず、\(\log_{2}2<\log_{2}3<\log_{2}4\) より、\(\log_{2}3\)の整数部分は\(1\)です。
よって、1.〇〇・・・となるので
\(1+\displaystyle\frac{k}{10}<\log_{2}3<1+\displaystyle\frac{k+1}{10}\)・・・① (\(k\)は整数 \(0≦k≦9\) )
と表すことができて、\(k\)の値を求めれば答えとなります。①より
\(2^{1+\frac{k}{10}}<3<2^{1+\frac{k+1}{10}}\)
\(2^{10+k}<3^{10}<2^{11+k}\)
であり、\(3^{10}=59049\) (243×243で計算できる) から \(k\) の値を絞り込みます。計算は大変ですが頑張りましょう。

\(2^{15}=2^{10}×2^{5}=32768\)
\(3^{10}=3^5×3^5=59049\)
\(2^{16}=2^{15}×2=65536\)
より

\(2^{15}<3^{10}<2^{16}\)

底を\(2\) とする対数をとって
\(15<10\log_{2}3<16\)
\(1.5<\log_{2}3<1.6\)

したがって小数第2位を切り捨てると \(1.5\)

 

(2)
\(4≦n\log_{7}3<5\) だから

\(\log_{7}7^4≦\log_{7}3^n<\log_{7}7^5\)

\(7^4≦3^n<7^5\)

\(2401≦3^n<16807\)・・・②

具体的にいろいろ\(n\)に整数を代入します。

\(3^7=2187\)
\(3^8=6561\)
\(3^9=19683\)
だから②を満たす整数\(n\)は

\(n=8\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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