桁数の発展的な問題について見ていきます。
(例題1)
\(a,b,c\) は正の整数であり、\(a^2b\) は \(7\)桁の整数、\(\displaystyle\frac{b^2}{c^8}\) は小数で表すと小数第\(10\)位に初めて\(0\)でない数字が現れる数である。次の問いに答えよ。
(1)\(ac^2\) の桁数を求めよ。
(2)\(\displaystyle\frac{ab\sqrt{b}}{c^4}\) は小数で表すと小数第何位に初めて\(0\)でない数字が現れるか。
その2つから、目標の不等式を逆算することで目指します。
(解答)
条件より
\(10^6≦a^2b<10^7\)
\(10^{-10}≦\displaystyle\frac{b^2}{c^8}<10^{-9}\)
それぞれ常用対数をとると
\(6≦2\log_{10}a+\log_{10}b<7\)・・・①
\(-10≦2\log_{10}b-8\log_{10}c<-9\)・・・②
(1)
の範囲が知りたいので、①②より、\(\log a\) と \(\log c\) の係数比が1:2になるようにします。
②×(\(-\displaystyle\frac{1}{2}\)) より
\(4.5<-\log_{10}b+4\log_{10}c≦5\)・・・③
①+③から
\(10.5<2\log_{10}a+4\log_{10}c<12\)
\(5.25<\log_{10}a+2\log_{10}c<6\)
\(5.25<\log_{10}ac^2<6\)
したがって \(ac^2\) は\(6\)桁
(2)
\(\log_{10}\displaystyle\frac{ab\sqrt{b}}{c^4}=\log_{10}a+\displaystyle\frac{3}{2}\log_{10}b-4\log_{10}c\)
より、係数比 2:3:-8 を目指します。
①+② より
\(-4≦2\log_{10}a+3\log_{10}b-8\log_{10}c<-2\)
\(-2≦\log_{10}a+\displaystyle\frac{3}{2}\log_{10}b-4\log_{10}c<-1\)
\(-2≦\log_{10}\displaystyle\frac{ab\sqrt{b}}{c^4}<-1\)
したがって、\(\displaystyle\frac{ab\sqrt{b}}{c^4}\) は
小数第\(2\)位に初めて\(0\)でない数が現れる。
(例題2)
\(\log_{10}7=0.8451\cdots\) である。
(1)\(7^6\) の桁数を求めよ。
(2)\(7^{7^{7}}\) の桁数が \(10^n\) より大きく、\(10^{n+1}\) より小さくなるような整数\(n\)を求めよ。
(解答)
(1)
\(\log_{10}7^{6}=6\log_{10}7=6×0.8451\cdots=5.0706\cdots\)
\(5<\log_{10}7^{6}<6\) より
\(6\)桁
(2)
よって、\(7^{7^{7}}\) の桁数を\(k\)とおいて、\(k\)に関する不等式を導くことを目指します。
\(7^{7^{7}}\) の桁数を\(k\)とおくと
\(10^{k-1}≦7^{7^{7}}<10^{k}\)
\(k-1≦\log_{10}7^{7^{7}}<k\)
\(k\)について整理すると
\(\log_{10}7^{7^{7}}<k≦\log_{10}7^{7^{7}}+1\)
最終的に、\(10^{n}<k<10^{n+1}\) を目指すことを意識しつつ
\(\log_{10}7^{7^{7}}\) について考えていきましょう。
\(\log_{10}7^{7^{7}}=7^7\log_{10}7=7^7×0.8451\cdots\)
\(7^{7}\)について
\(\log_{10}7^7=7\log_{10}7=7×0.8451\cdots=5.9157\cdots\)
したがって
\(7^7=10^{5.9157\cdots}\) (\(7^7\)を\(10\)の累乗で表す)
よって
\(\log_{10}7^{7^{7}}=10^{5.9157\cdots}×0.8451\cdots\)
\(10^{n}<k<10^{n+1}\)が目標なので、\(\log_{10}7^{7^{7}}<10^{n+1}-1\) の形を目指します。
\(10^{5.9157\cdots}×0.8451\cdots\)
\(<10^{6}×0.8451\cdots\)
\(<845200\)
\(<999999\)
\(=10^6-1\)
よって
\(\log_{10}7^{7^{7}}<10^6-1\) だから
\(k≦\log_{10}7^{7^{7}}+1<10^6\)
\(k<10^6\)
また、
\(\log_{10}7^{7^{7}}=7^6×7\log_{10}7=7^6×(7×0.8451\cdots)\)
(1)
\(\log_{10}7^{6}=5.0706\cdots\) より
\(7^{6}=10^{5.0706\cdots}\) だから
\(\log_{10}7^{7^{7}}\)
\(=10^{5.0706\cdots}×(7×0.8451\cdots)\)
\(=10^{5.0706\cdots}×(5.9157\cdots)\)
\(>10^{5}×1\)
よって
\(10^{5}<\log_{10}7^{7^{7}}<k\)
\(10^{5}<k\)
以上より
\(10^{5}<k<10^{6}\)
だから \(n=5\)
(参考)
\(10^{10^{n}}\) は、 \(10^{n}+1\) 桁 の最小の整数 (\(10^{n}\)桁の最大の整数より\(1\)だけ大きい)
\(10^{10^{n+1}-1}\) は、 \(10^{n+1}\) 桁 の最小の整数
問題文の条件は 桁数が \(10^{n}\) より大きく、\(10^{n+1}\) より小さいことなので
\(10^{10^{n}}≦7^{7^{7}}<10^{10^{n+1}-1}\)
常用対数をとって
\(10^{n}≦\log_{10}7^{7^{7}}<10^{n+1}-1\)
あとはこれを満たす\(n\) を求めればよい。(本解答とほぼ同じになる)
(例題3)
\(p=\displaystyle\frac{2^{148}+1}{17}\) は整数である。\(p\)は何桁の整数か答えよ。
ただし、\(0.301<\log_{10}2<0.302\) である。
分母は、\(16<17<32\)で、
分子は \(2^{148}<2^{148}+1<2^{148}+2^{148}(=2^{149})\)
で評価します。
(解答)
\(2^{148}<2^{148}+1<2^{149}\)
また、
\(2^4<17<2^5\) より
\(\displaystyle\frac{1}{2^5}<\displaystyle\frac{1}{17}<\displaystyle\frac{1}{2^4}\)
よって
\(\displaystyle\frac{2^{148}}{2^5}<p<\displaystyle\frac{2^{149}}{2^4}\)
\(2^{143}<p<2^{145}\)
常用対数をとって
\(143\log_{10}2<\log_{10}p<145\log_{10}2\)
ここで
\(143×0.301<143\log_{10}2\) だから
\(43.043<143\log_{10}2\)
\(145\log_{10}2<145×0.302\)
\(145\log_{10}2<43.79\)
したがって
\(43.043<\log_{10}p<43.79\)
\(43<\log_{10}p<44\)
\(p\)は \(44\)桁 の整数
※ちなみに\(p\)が整数であることの証明は
\(2^{148}+1\)
\(=(2^{4})^{37}+1\) (奇数乗+1 の形)
(\(2^4=m\) とおくと)
\(=m^{37}+1\)
\(=(m+1)(m^{36}-m^{35}+・・・-m+1)\)
\(=17(m^{36}-m^{35}+・・・-m+1)\)
\(2^{148}+1=17×N\) (\(N\)は自然数)
であるから、\(p\)は整数(自然数)
(\(\mathrm{mod}17\) を考えてもできる)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→ある桁の数 back→桁数①