等差数列と等比数列

等差数列と等比数列に関する例題(特に共通項に関する例題)について見ていきます。

 

 

(例題1)
数列\(\{a_n\},\{b_n\}\)の一般項を、\(a_n=2^{n}\), \(b_n=3n+2\) とする。\(\{a_n\}\) の項のうち、\(\{b_n\}\)の項でもあるものを小さいものから並べて得られる数列\(\{c_n\}\)の一般項を求めよ。

 

 

具体的に列挙して考えるなら、
\(\{a_n\}:2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024\cdots\)
のうち、\(3n+2\) の形で表されるのは
\(8,32,128,512,\cdots\) となるので、\(a_n\)の1つ飛ばしの数列が\(c_n\)と予想できます。
ただあくまでも予想なので、
①\(a_n\)の奇数項(初項は除く)が共通項である
②偶数項は共通でない
の2点を示します。
なお、合同式や二項定理を利用するとスッキリとした解法になります(別解)。

(解答)
\(\{a_n\}:2,4,8,\cdots\) \(\{b_n\}:5,8,\cdots\) より \(c_1=8\)

ここで、\(\{a_n\}\)の第\(k\)項と\(\{b_n\}\)の第\(l\)項が等しいと仮定すると

\(a_k=2^{k}=3l+2\)・・・①

\(c_1=a_3=8\) より、\(k=3\) (\(l=2\)) のとき①は成立する。

\(a_{k+1}=2^{k+1}=2\cdot2^{k}\)
\(=2(3l+2)\)
\(=3×(2l+1)+1\)

よって \(a_{k+1}\)は、数列\(\{b_n\}\)の項ではない

\(a_{k+2}=2^{k+2}=4\cdot2^{k}\)
\(=4(3l+2)\)
\(=3×(4l+2)+2\)

よって \(a_{k+2}\)は、数列\(\{b_n\}\)の項となる。

したがって数列\(\{c_n\}\)の項は
\(a_3,a_5,a_7,\cdots\)
となり、これは初項\(a_3=8\) 公比\(4\)の等比数列だから

\(c_n=8×4^{n-1}\)

\(k=3\) スタートで、飛び飛びの\(k=5,7,9,\cdots\) が共通項になるという方針で解答しています。数学的帰納法に近い考え方です。

 

(別解)
\(a_n=2^{n}\), \(b_n=3n+2\)

\(a_n\)の項で\(3\)で割って\(2\)余るものが\(c_n\)の項なので

\(2^{n}≡2\) (\(\mathrm{mod}3\))
\((-1)^{n}=-1\) (\(\mathrm{mod}3\))

よって\(n\)は正の奇数であり、\(n=2k+1\) (\(k\)は\(0\)以上の整数) と表せる。

ここで \(b_n≧b_1=5\) だから、\(a_n=2^n\) より \(n≧3\) であり、\(k≧1\)

したがって、数列\(\{c_k\}\)の一般項は
\(c_k=a_{2k+1}=2^{2k+1}\) (\(k=1,2,\cdots\))

\(k\)を\(n\)にすれば
\(c_n=2^{2n+1}(=8×4^{n-1})\)

 

二項定理を使うなら
\(2^{n}=(3-1)^n\) として、これが\(3\)で割って\(2\)余るような数になるときは「\(n\)が奇数になるとき」と導きます。やってることは合同式とさほど変わりません。

 

 

 

 

(例題2)
\(a_1,a_2,\cdots,a_n\) を初項\(1\)、公比\(r\)の等比数列とし
\(b_k=a_k-(a_{k+1}+a_{k+2}+\cdots+a_n)\) (\(k=1,2,\cdots,n-1\))
とおく。ただし、\(r≠0\), \(n≧4\) とする。このとき、\(b_1,b_2,\cdots,b_{n-1}\) が等差数列となるような\(r\)の値とそのときの公差を求めよ。

 

 

括弧内の和の部分は具体的に計算できますが、結局、隣接項の差 \(b_{k+1}-b_k\) を考えるのでそのまま計算していきます。

(解答)
\(a_n\)の一般項は
\(a_n=r^{n-1}\)

\(b_k=a_k-(a_{k+1}+\color{blue}{a_{k+2}+\cdots+a_n})\) (\(k=1,2,\cdots,n-1\))
\(b_{k+1}=a_{k+1}-(\color{blue}{a_{k+2}+a_{k+3}+\cdots+a_n})\) (\(k=0,1,\cdots,n-2\)) より

\(b_{k+1}-b_{k}\)
\(=a_{k+1}-a_k+a_{k+1}\)
\(=2a_{k+1}-a_k\)
\(=2r^{k}-r^{k-1}\)
\(=r^{k-1}(2r-1)\)・・・① (\(k=1,2,\cdots,n-2\))

数列\(\{b_k\}\)が等差数列となるとき、①が\(k\)の値によらず一定の値になるから、\(r≠0\)より

\(r=1\) または \(2r-1=0\)

\(2r-1=0\)のときは①は一定値\(0\)で、\(2r-1≠0\) のときは、
\(0<r<1\), \(r>1\), \(r<0\) のいずれもが\(k\)の値によって①は変化します。

\(r=1\) のとき公差は①より
\(1^{k-1}(2-1)=\)\(1\)

\(r=\displaystyle\frac{1}{2}\) のとき公差は①より
\(0\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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