対数と数列

対数を利用する数列問題についてみていきます。

等比数列の一般項や和は指数を含む式になるので、指数の\(n\)について考えるとき対数を利用することがあります。

 

 

(例題1)
初項が\(2\)、公比が\(3\)の等比数列\(\{a_n\}\)について、次の問いに答えよ。ただし、\(\log_{10}2=0.3010\), \(\log_{10}3=0.4771\) とする。

(1)\(10^2<a_n<10^5\) を満たす\(n\)の値の範囲を求めよ。
(2)初項から第\(n\)項までの和が\(30000\)を超える最小の\(n\)の値を求めよ。

 

 

いずれも\(3^n(3^{n-1})\)の形がでてくるので、最終的に対数をとることになります。

(解答)
(1)
\(a_n=2\cdot3^{n-1}\) より

\(10^2<2\cdot3^{n-1}<10^5\)

辺々、底を\(10\)とする対数をとると
\(2<\log_{10}2\cdot3^{n-1}<5\)
\(2<\log_{10}2+\log_{10}3^{n-1}<5\)
\(2-\log_{10}2<(n-1)\log_{10}3<5-\log_{10}2\)
\(2-0.3010<0.4771(n-1)<5-0.3010\)
\(\displaystyle\frac{1.6990}{0.4771}<n-1<\displaystyle\frac{4.6990}{0.4771}\)

よって
\(4.56\cdots<n<10.84\cdots\) より
\(5≦n≦10\)

 

(2)
初項から第\(n\)項までの和は
\(\displaystyle\frac{2(3^n-1)}{3-1}\)\(=3^{n}-1\) だから

\(3^n-1>30000\)・・・①

ダイレクトに解こうとすると \(3^n>30001\) より、\(n\log_{10}3>\log_{10}30001\) となりますが、右辺の値が分かりません。よって近い値で求めることができるものを考えて、①を満たす\(n\)で最小となるものを探ります。

ここで、
\(3^n>30000\) を満たす\(n\)は

\(n\log_{10}3>\log_{10}3\cdot10^{4}\)
\(n\log_{10}3>\log_{10}3+4\)
\(n>\displaystyle\frac{4.4771}{0.4771}=9.38\cdots\)

\(n=9,10\) 付近が候補になるので、実際に計算します。

また
\(3^{10}-1\)\(=(3^{5}+1)(3^5-1)\)
\(=244\cdot242\)
\(=59048\)\(>30000\)

\(3^9<30000\) より \(3^9-1<30000\)

\(n\)が増加すると \(3^{n}-1\) は増加するので最小の\(n\)は
\(n=10\)

 

 

 

 

 

(例題2)
等比数列\(2,4,8,\cdots\) と 等比数列\(3,9,27,\cdots\) のすべての項を小さい順に並べてできる数列の第\(1000\)項は、2つの等比数列のどちらの第何項か。(\(\log_{6}2=0.386852\cdots\) を使ってよい)

 

 

\(a_n=2^n\), \(b_n=3^n\) 、\(1000\)個並べたときの\(\{a_n\},\{b_n\}\)の項の個数を\(k,l\)とすれば、\(k+l=1000\) であり、
(ア)\(1000\)番目が、\(\{a_n\}\)のほうだと、\(a_k\)よりも小さい\(\{b_n\}\)の項がちょうど\(l\)個あるので \(3^l<2^k<3^{l+1}\)
(イ)\(1000\)番目が、\(\{b_n\}\)のほうだと同様に \(2^k<3^l<2^{k+1}\)
となり、\(1000\)番目は\(\{a_n\},\{b_n\}\)のどちらかなので、(ア)(イ)の一方のみが成り立ち、成り立つほうが答えです。
(仮に(ア)で、\(3^{400}<2^{600}<3^{401}\) が成り立つとすると、\(2^{600}\)より小さいものについて、\(3^n\)の項が400個、\(2^n\)の項が599個あり、\(2^{600}\)が\(1000\)番目になります)

(解答)
\(a_n=2^n\), \(b_n=3^n\) とし、\(1000\)個並べたときの\(\{a_n\},\{b_n\}\)の項の個数を\(k,l\)とすれば
\(k+l=1000\)・・・①

(ア)\(1000\)番目が\(a_k\)のとき
\(3^l<2^k<3^{l+1}\)・・・②

①と\(\log_{6}2\)が利用できるように、②の辺々に\(2^l\)を掛けます。

②より
\(2^l×3^l<2^l×2^{k}<2^l×3\cdot3^{l}\)
\(6^l<2^{k+l}<3\cdot6^l\)
①より
\(6^l<2^{1000}<3\cdot6^l\)

底を\(6\)とする対数をとって
\(l<1000\log_62<\log_63+l\)

\(l\)について解くと
\(1000\log_62-\log_63<l<1000\log_62\)
\(1000\log_62-\log_6\displaystyle\frac{6}{2}<l<1000\log_62\)
\(1000\log_62-1+\log_62<l<1000\log_62\)

\(\log_{6}2=0.386852\cdots\) より
\(386.23\cdots<l<386.85\cdots\)

この不等式を満たす自然数\(l\)は存在しない。

(イ)\(1000\)番目が\(b_l\)のとき
\(2^k<3^l<2^{k+1}\)・・・③

辺々に\(3^k\)を掛けて
\(6^k<3^{1000}<2\cdot6^k\)

底を\(6\)とする対数をとって
\(k<1000\log_63<k+\log_62\)

\(k\)について解くと
\(1000\log_63-\log_62<k<1000\log_63\)
\(1000\log_6\displaystyle\frac{6}{2}-\log_62<k<1000\log_6\displaystyle\frac{6}{2}\)
\(1000(1-\log_62)-\log_62<k<1000(1-\log_62)\)

\(\log_{6}2=0.386852\cdots\) より
\(612.76\cdots<k<613.14\cdots\)

この不等式を満たす自然数\(k\)は \(k=613\)

\(k+l=1000\)・・・① より
\(l=387\)

\(1000\)番目が\(b_l=b_{387}\) だから、小さい順に並べた数列の第\(1000\)項は、
等比数列\(3,9,27,\cdots\) の第\(387\)項

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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