等差×等比 の和

等差数列×等比数列 の形になっている数列の和を求める例題です。

この形の数列の和\(S\)の求め方は、等比数列の和を求める方法と同様になります。
つまり等比数列の部分の公比を\(r\)とすると、\(S-rS\) を考えます。

 

(例題1)次の和を求めよ。
(1)
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(2k-1)3^{k-1}\)

(2)
\(1-2x+3x^2-4x^3+\cdots+(-1)^{n-1}nx^{n-1}\)

 

 

(解答)
(1)

等差数列×等比数列 の形になっています。もとの数列の和\(S\)と\(3\)倍(公比倍)した\(3S\)の差をとります。差をとるときには具体的に和を書くとよいです。

\(S=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(2k-1)3^{k-1}\) とすると

\(S=1\cdot1\color{blue}{+3\cdot3+5\cdot3^2+\cdots+(2n-1)3^{n-1}}\)
\(3S=\hspace{24pt}\color{blue}{1\cdot3+3\cdot3^2+\cdots+(2n-3)3^{n-1}}+(2n-1)3^{n}\)

\(S-3S\) とると
\(-2S=1+\color{blue}{2(3+3^2+\cdots+3^{n-1})}-(2n-1)3^{n}\)

差をとると中間の部分が等比数列の和になっています(項数は\(n-1\)項)。
これは、\(S\)のほうの\(3^{k-1}\)の項が\((2k-1)3^{k-1}\)、\(3S\)のほうの\(3^{k-1}\)の項が\(\{2(k-1)-1\}3^{k-1}=(2k-3)3^{k-1}\) で、
\((2k-1)3^{k-1}-(2k-3)3^{k-1}=2\cdot3^{k-1}\)
となり、ただの等比数列になっているからです。

よって
\(-2S=1+2\cdot\displaystyle\frac{3(3^{n-1}-1)}{3-1}-(2n-1)3^{n}\)
\(-2S=1+3^n-3-(2n-1)3^{n}\)
\(-2S=-2n\cdot3^{n}+2\cdot3^{n}-2\)

したがって
\(S=n\cdot3^{n}-3^{n}+1\)

 

(2)

\((-1)^{n-1}\)を\(x^{n-1}\)に織り込むと
\(1+2(-x)+3(-x)^2+4(-x)^3+\cdots+n(-x)^{n-1}\)
と、等差×等比 の形になっています。同様に\(-x\)倍(公比倍)して差をとりますが、最後に\((1+x)\)で割ることになるので、\(x≠-1\)と\(x=-1\)で場合分けします。

\(S=1-2x+3x^2-4x^3+\cdots+(-1)^{n-1}nx^{n-1}\)
\(=1+2(-x)+3(-x)^2+4(-x)^3+\cdots+n(-x)^{n-1}\) とおくと

\(\hspace{10pt}S=1+2(-x)+3(-x)^2+4(-x)^3+\cdots+n(-x)^{n-1}\)
\(-xS=\hspace{13pt}1(-x)+2(-x)^2+3(-x)^3+\cdots+(n-1)(-x)^{n-1}+n(-x)^n\)

\(S-(-xS)\) より
\((1+x)S=1+(-x)+(-x)^2+\cdots+(-x)^{n-1}-n(-x)^n\)

\((-x)^{0}=1\) なので、\(1\)も含めて等比数列の和を求めます。項数は\(n\)です。

\((1+x)S=\displaystyle\frac{1-(-x)^n}{1-(-x)}-n(-x)^n\)

よって \(x≠-1\) のとき
\(S=\displaystyle\frac{1-(-x)^n}{(1+x)^2}-\displaystyle\frac{n(-x)^n}{1+x}\)

また \(x=-1\) のときは
\(S=1+2+3+\cdots+n\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}n(n+1)\)

 

 

 

(例題2)
次の和を求めよ。
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2\cdot2^{k-1}\)

 

 

等差数列×等比数列ではないですが、同様に公比倍して差をとります。
一般に、整式(\(k^n\))×等比 の形の和はこの方法をとります。

(解答)
\(S=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2\cdot2^{k-1}\) とすると

\(S=1^2\cdot1+2^2\cdot2+3^2\cdot2^2+\cdots+n^2\cdot2^{n-1}\)
\(2S=\hspace{28pt}1^2\cdot2+2^2\cdot2^2+\cdots+(n-1)^2\cdot2^{n-1}+n^2\cdot2^{n}\)

\(S-2S\) より
\(-S=\color{green}{1+3\cdot2+5\cdot2^2+\cdots+(2n-1)2^{n-1}}-n^2\cdot2^{n}\)

公比倍との差をとることで2次の部分が消えました。
\(1+3\cdot2+5\cdot2^2+\cdots+(2n-1)2^{n-1}\) は、等差×等比 の形なのでこれについても同様に公比倍との差をとって求めます。

ここで
\(T=1+3\cdot2+5\cdot2^2+\cdots+(2n-1)2^{n-1}\)
とおくと

\(2T=\hspace{12pt}1\cdot2+3\cdot2^2+\cdots+(2n-3)2^{n-1}+(2n-1)2^{n}\)

\(T-2T\) より
\(-T=1+2(2+2^2+\cdots+2^{n-1})-(2n-1)2^{n}\)
\(-T=1+2\cdot\displaystyle\frac{2(2^{n-1}-1)}{2-1}-(2n-1)2^{n}\)
\(-T=1+2\cdot2^n-4-2n\cdot2^n+2^n\)
\(-T=-2n\cdot2^{n}+3\cdot2^{n}-3\)

したがって
\(S=-T+n^2\cdot2^{n}\)
\(=-2n\cdot2^{n}+3\cdot2^{n}-3+n^2\cdot2^{n}\)
\(=(n^2-2n+3)2^{n}-3\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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