Sn,anと漸化式

\(S_n\)を含む漸化式について見ていきます。

ポイントは \(S_{n+1}-S_{n}=a_{n+1}\) という等式です。\(S_{n}-S_{n-1}=a_n\) のような等式の場合は、\(n=1\) だと \(S_0\)や\(a_0\) が現れてしまうので原則として\(n≧2\)のような制限がつくことに注意してください。

 

 

(例題1)
数列\(\{a_n\}\)の初項から第\(n\)項までの和を\(S_n\)とする。次の条件で定まる数列\(\{a_n\}\)の一般項をそれぞれ求めよ。(\(n\)は自然数とする)

(1)\(S_n=2a_n+n\)
(2)\(a_1=a_2=1\),  \(a_{n+1}=a_n+2\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}a_k\)  (\(n≧2\))

 

 

(解答)
(1)
\(S_n=2a_n+n\)・・・① より
\(S_{n+1}=2a_{n+1}+n+1\)・・・②

②-①より
\(S_{n+1}-S_{n}=2a_{n+1}-2a_{n}+1\)
よって
\(a_{n+1}=2a_{n+1}-2a_n+1\)
整理して
\(a_{n+1}=2a_n-1\)・・・③

(初項を漸化式①から求めると)
①で\(n=1\)として
\(S_1=2a_1+1\)
\(a_1=2a_1+1\)
\(a_1=-1\)

③の特性方程式 \(α=2α-1\) を解くと
\(α=1\) だから、③は次のように変形できる。

\(a_{n+1}-1=2(a_n-1)\)
よって
\(a_n-1=(a_1-1)2^{n-1}=-2^{n}\)
したがって
\(a_n=-2^n+1\)

 

(2)

シグマの部分は \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}a_k=S_{n-1}\) です。

\(a_1=a_2=1\),
\(a_{n+1}=a_n+2\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}a_k\)  (\(n≧2\))

漸化式は\(S_{n-1}\)を用いると
\(a_{n+1}=a_n+2S_{n-1}\)・・・① (\(n≧2\))
①より
\(a_{n+2}=a_{n+1}+2S_n\)・・・②

②-①より
\(a_{n+2}-a_{n+1}=a_{n+1}-a_n+2(a_n)\)
整理して
\(a_{n+2}-2a_{n+1}-a_n=0\)・・・③ (3項間漸化式) (\(n≧2\))

(\(n=1\)のときも③が成り立つかどうか確認します)
③で\(n=1\)とすると
\(a_3=2a_2+a_1=3\)
もとの漸化式①で\(n=2\)として\(a_3\)を求めると
\(a_3=a_2+2S_1=a_2+2a_1=3\)
よって\(a_3\)は一致するので、③は\(n=1\)でも成り立つ。

漸化式③の特性方程式は
\(x^2-2x-1=0\)
で、解は \(x=1±\sqrt{2}\) となりそれぞれ
\(α=1-\sqrt{2}\),  \(β=1+\sqrt{2}\) とおく。
(無理数で式が複雑になるのでとりあえず文字でおく)

\(α,β\)を用いると、漸化式③は次のように変形できる。
\(a_{n+2}-αa_{n+1}=β(a_{n+1}-αa_{n})\)
\(a_{n+2}-βa_{n+1}=α(a_{n+1}-βa_{n})\)

これより
\(a_{n+1}-αa_{n}=(a_2-αα_1)β^{n-1}=(1-α)β^{n-1}=\sqrt{2}β^{n-1}\)・・・④
\(a_{n+1}-βa_{n}=(a_2-βα_1)α^{n-1}=(1-β)α^{n-1}=-\sqrt{2}α^{n-1}\)・・・⑤

④-⑤より
\((β-α)a_{n}=\sqrt{2}(α^{n-1}+β^{n-1})\)
\(2\sqrt{2}a_{n}=\sqrt{2}(α^{n-1}+β^{n-1})\)

(最後に\(α,β\)を具体的な値にして)
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{2}\{(1-\sqrt{2})^{n-1}+(1+\sqrt{2})^{n-1}\}\)

 

 

 

(例題2)
数列\(\{a_n\}\)の初項から第\(n\)項までの和を\(S_n\)とする。\(S_n\)が次の条件を満たすとき、一般項\(a_n\)と和\(S_n\)を求めよ。(\(n\)は自然数とする)

\(S_1=-4\),  \(S_2=-6\),  \(S_{n+2}=3S_{n+1}-2S_n+6\)

 

\(S_n\)の3項間漸化式(定数項あり) or \(S_{n}-S_{n-1}=a_n\) を利用して\(a_n\)の漸化式にする 方法があります。

(解答)
\(S_1=-4\),  \(S_2=-6\)

\(S_{n+2}=3S_{n+1}-2S_n+6\)・・・① (\(n≧1\))
①より
\(S_{n+1}=3S_{n}-2S_{n-1}+6\)・・・② (\(n≧2\))

①-②より
\(a_{n+2}=3a_{n+1}-2a_{n}\)・・・③ (\(n≧2\))

(後々必要になってくる\(a_1,a_2,a_3\)を求めておきます)
\(a_1=S_1=-4\)
\(a_2=S_2-S_1=-2\)
①より \(S_3=3S_2-2S_1+6=-4\) だから
\(a_3=S_3-S_2=2\)

ここで③で\(n=1\)とすると
\(a_3=3a_2-2a_1=2\) で\(a_3\)は一致するので、③は\(n=1\)でも成り立つ。

③の特性方程式
\(x^2=3x-2\) を解くと
\(x^2-3x+2=0\)
\((x-1)(x-2)=0\)
\(x=1,2\) だから、③は次のように変形できる。

\(a_{n+2}-a_{n+1}=2(a_{n+1}-a_n)\)・・・④
\(a_{n+2}-2a_{n+1}=a_{n+1}-2a_n\)・・・⑤

よって
\(a_{n+1}-a_{n}=(a_2-a_1)2^{n-1}=2^{n}\)・・・⑥
\(a_{n+1}-2a_{n}=a_{n}-2a_{n-1}=\cdots=a_2-2a_1=6\)・・・⑦

⑥-⑦より
\(a_n=2^{n}-6\)

(あとは\(S_n\)を求めるだけです)

\(S_n=\displaystyle\sum_{k=1}^n(2^k-6)\)

\(=\displaystyle\frac{2(2^n-1)}{2-1}-6n\)

\(=2^{n+1}-2-6n\)

 

(別解)
\(S_1=-4\),  \(S_2=-6\)
\(S_{n+2}=3S_{n+1}-2S_n+6\)・・・①

\(S_{n+2}=3S_{n+1}-2S_n\) として
特性方程式 \(x^2=3x-2\) を解くと
\(x=1,2\)

よって①は次のように変形できる。
\(S_{n+2}-S_{n+1}=2(S_{n+1}-S_n)+6\)・・・②
\(S_{n+2}-2S_{n+1}=(S_{n+1}-2S_n)+6\)・・・③

②③の両方を利用して\(S_n\)を求めてもよいですが、②から\(a_n\)の漸化式に変形できます。(\(S_n\)を先に求める場合には、\(S_{n}-S_{n-1}=a_{n}\) から\(a_n\)を求めます)

②より
\(a_{n+2}=2a_{n+1}+6\)・・・④ (\(n≧1\))

ここで
\(a_1=S_1=-4\)
\(a_2=S_2-S_1=-2\) であり

④で\(n=0\)とすると
\(a_2=2a_1+6\)
となるが、この等式は \(-2=2\cdot(-4)+6\) から成り立つので、④は\(n=0\) でも成り立つ。

よって④から次の等式が成り立つ。
\(a_{n+1}=2a_{n}+6\)・・・⑤ (\(n≧1\))

あとは、この2項間漸化式から\(a_n\)を求めて、\(S_n\)を求めればよい。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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