分数型の漸化式

分数型(1次式)の漸化式の解き方について見ていきます。

難しい内容も含むため(例)を挙げて具体的に説明していきます。最後にまとめとして一般化します。

 

・分数型の漸化式(単純逆数型)
(例1)
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{a_n}{6a_n+7}\)・・・① \(a_1=\displaystyle\frac{1}{6}\)

この例のように分子に定数項がない場合には、逆数をとるだけで基本の漸化式の形に変形できます。ただし、逆数をとるときに新たに分母になる式が\(0\)にならないことの確認は必要です。少し帰納法の考え方になりますが、

\(a_1>0\) と漸化式①より \(a_2>0\)
\(a_2>0\) と漸化式①より \(a_3>0\)
\(a_3>0\) と漸化式①より \(a_4>0\)
・・・以下繰り返し

となることから \(a_n≠0\) だから①で逆数をとって

\(\displaystyle\frac{1}{a_{n+1}}=\displaystyle\frac{6a_n+7}{a_n}\)

右辺を帯分数の形にすることで

\(\displaystyle\frac{1}{a_{n+1}}=6+\displaystyle\frac{7}{a_n}\)  (\(a_{n+1}=pa_n+q\) 型)

あとは \(b_n=\displaystyle\frac{1}{a_n}\) とおけば

\(b_{n+1}=7b_n+6\) (\(b_1=\displaystyle\frac{1}{a_1}=6\))

と見慣れた漸化式になります。実際に\(b_n,a_n\)を求めていくと特性方程式で解\(α=-1\)を求めて
\(b_{n+1}+1=7(b_n+1)\)
より
\(b_n+1=(b_1+1)7^{n-1}=7^{n}\)
よって
\(b_n=7^{n}-1\) となるから

\(a_n=\displaystyle\frac{1}{7^{n}-1}\)
です。

 

 

・分数型の漸化式(一般形)
(例2)
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{4a_n-2}{a_n+1}\), \(a_{1}=3\) (異なる2解型)

(例3)
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{4a_n-9}{a_n-2}\), \(a_{1}=4\) (重解型)

 

(例2),(例3)いずれも漸化式において逆数をとってもうまくいきません。そこで変形して(両辺同じだけ幾らか差をとる)、分子に定数項がない場合(単純逆数型)に帰着させることを考えます。

まず(例2)について両辺\(x\)だけ引くと
\(a_{n+1}-x=\displaystyle\frac{4a_n-2}{a_n+1}-x\)

右辺を計算して
\(a_{n+1}-x=\displaystyle\frac{(4-x)a_n-(2+x)}{a_n+1}\)

最終的に \(b_n=a_{n}-x\)  (\(b_{n+1}=a_{n+1}-x\)) と置き換えることを意識すると、右辺の分子が \(a_n-x\) の定数倍になればよいので
\(1:(-x)=(4-x):(-2-x)\)
よって
\(2+x=4x-x^2\)・・・(1)
\(x^2-3x+2=0\)
\((x-1)(x-2)=0\)
より、\(x=1,2\) のときにうまく単純に逆数をとる形にできることになります。

この2次方程式(1)が分数型の特性方程式になりますが、(1)を移項すると
\(x^2+x=4x-2\)
であり、これはもとの漸化式

\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{4a_n-2}{a_n+1}\)

\(a_n,a_{n+1}\)を\(x\)に置き換えた

\(x=\displaystyle\frac{4x-2}{x+1}\)・・・(2) (分数型の特性方程式)

の分母を払った式になっています。なので1次式の分数型の漸化式では(2)の形の特性方程式の解を求めて、両辺その解との差をとれば単純逆数型に帰着できることになります。

実際に\(a_n\)を求めていくと、解は\(x=1,2\)よりもとの漸化式は

\(a_{n+1}-1=\displaystyle\frac{3(a_n-1)}{a_n+1}\)・・・(3)

\(a_{n+1}-2=\displaystyle\frac{2(a_n-2)}{a_n+1}\)・・・(4)

の2通りに変形でき、(3)(4)のどちらかで逆数をとることで\(a_n\)を求めることができます。
実際に(3)を利用すると、まず\(a_n≠1\)を示すと

\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{4a_n-2}{a_n+1}\)

において、ある\(n\)で \(a_{n+1}=1\) と仮定すると
\(1=\displaystyle\frac{4a_n-2}{a_n+1}\)
\(a_n+1=4a_n-2\) より
\(a_n=1\) となり、ある項が\(1\)だと1つ前が\(1\)になるので
\(a_{n+1}=a_n=a_{n-1}=\cdots=a_1=1\) (逆方向に帰納的に考える)
となってしまい、\(a_{1}=3\) に反してしまいます。

したがってすべての\(n\)で \(a_n≠1\) となり、\(a_{n}-1=b_n\) とおくと \(b_n≠0\) で、(3)は

\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{3b_n}{b_n+2}\) (\(b_1=a_1-1=2\))

となり逆数をとって
\(\displaystyle\frac{1}{b_{n+1}}=\displaystyle\frac{2}{3}\cdot\displaystyle\frac{1}{b_n}+\displaystyle\frac{1}{3}\)

特性方程式 \(α=\displaystyle\frac{2}{3}α+\displaystyle\frac{1}{3}\) を解いて \(α=1\) だから

\(\displaystyle\frac{1}{b_{n+1}}-1=\displaystyle\frac{2}{3}(\displaystyle\frac{1}{b_n}-1)\) より

\(\displaystyle\frac{1}{b_n}-1=(\displaystyle\frac{1}{b_1}-1)\cdot(\displaystyle\frac{2}{3})^{n-1}=-\displaystyle\frac{1}{2}\cdot(\displaystyle\frac{2}{3})^{n-1}\)

よって
\(b_n=\displaystyle\frac{1}{1-\displaystyle\frac{1}{2}\cdot(\displaystyle\frac{2}{3})^{n-1}}=\displaystyle\frac{2\cdot3^{n-1}}{2\cdot3^{n-1}-2^{n-1}}\)

したがって
\(a_n=b_n+1\)

\(=\displaystyle\frac{4\cdot3^{n-1}-2^{n-1}}{2\cdot3^{n-1}-2^{n-1}}\)

となります。

もしくは(例2)のように特性方程式の解が2つある場合には2通りに漸化式を変形できるので、その2つの等式を割ることによっても\(a_n\)を求めることができます。

\(a_{n+1}-1=\displaystyle\frac{3(a_n-1)}{a_n+1}\)・・・(3)

\(a_{n+1}-2=\displaystyle\frac{2(a_n-2)}{a_n+1}\)・・・(4)

において(4)÷(3)より \((a_n+1)\) が消去できて

\(\displaystyle\frac{a_{n+1}-2}{a_{n+1}-1}=\displaystyle\frac{2}{3}\cdot\displaystyle\frac{a_n-2}{a_n-1}\)

と等比型の漸化式に帰着できます。(もちろん分母が\(0\)にならないことは確認する)

 

一方
(例3)
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{4a_n-9}{a_n-2}\), \(a_{1}=4\) (重解型)

では、特性方程式 \(x=\displaystyle\frac{4x-9}{x-2}\) を解くと

\(x^2-2x=4x-9\)
\(x^2-6x+9=0\)
\((x-3)^2=0\)
\(x=3\) (重解)

となるので、漸化式は

\(a_{n+1}-3=\displaystyle\frac{4a_n-9}{a_n-2}-3\)

\(=\displaystyle\frac{a_n-3}{a_n-2}\)

と1通りにしか変形できません。よってこの等式1つから逆数をとることにより一般項を求めることになります。(例2)のように \(a_n≠3\) を示すか、先に \(b_n=a_n-3\) とおいて

\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{b_n}{b_n+1}\)・・・(5) (\(b_1=a_1-3=1\))

\(b_1>0\) と漸化式から \(b_2>0\)
\(b_2>0\) と漸化式から \(b_3>0\)
・・・と帰納的に \(b_n>0\) となるから、(5)で逆数をとって

\(\displaystyle\frac{1}{b_{n+1}}=\displaystyle\frac{1}{b_n}+1\)  (等差型)

よって
\(\displaystyle\frac{1}{b_n}=\displaystyle\frac{1}{b_1}+(n-1)\cdot1=n\)

ゆえに
\(b_n=\displaystyle\frac{1}{n}\) だから

\(a_n=b_n+3\)\(=\displaystyle\frac{1}{n}+3\)

となります。

 

以上のことをまとめて一般化すると、分母が\(0\)にならないことに注意するとして

\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{ra_n+s}{pa_n+q}\) (\(p,q,r,s\)は定数)

(ただし、\(p,s≠0\), \(ps-qr≠0\))

\(p=0\) のときは分母が定数になるのでただの \(a_{n+1}=pa_n+q\) 型
\(s=0\) のときは単純に逆数をとる場合
\(ps-qr=0\) のときは \(ps=qr\) より \(p:q=r:s\) だから分数が約分できて定数になるのでこれらは除きます。

の解法は、特性方程式

\(x=\displaystyle\frac{rx+s}{px+q}\)

つまり
\(px^2+(q-r)x-s=0\)
の2解を \(x=α,β\) とすると

\((pα-r)α=s-qα\)
\((pβ-r)β=s-qβ\)
より

\(a_{n+1}-α=\displaystyle\frac{ra_n+s}{pa_n+q}-α\)

\(=\displaystyle\frac{(r-pα)a_n+(s-qα)}{pa_n+q}\)

\(=\displaystyle\frac{(r-pα)a_n+(pα-r)α}{pa_n+q}\)

\(=\displaystyle\frac{(r-pα)(a_{n}-α)}{pa_n+q}\)

\(=\displaystyle\frac{(r-pα)(a_{n}-α)}{p(a_n-α)+pα+q}\) (分母の\(a_n\)にも同じ形を作る)

\(β\)についても同様に変形すると次の2式が得られます。

\(a_{n+1}-α=\displaystyle\frac{(r-pα)(a_{n}-α)}{p(a_n-α)+pα+q}\)・・・(A)

\(a_{n+1}-β=\displaystyle\frac{(r-pβ)(a_{n}-β)}{p(a_n-β)+pβ+q}\)・・・(B)

すると(A)(B)はそれぞれ \(a_{n}-α\),  \(a_n-β\) をカタマリとしてみると分子に定数項がない形なので逆数をとることで一般項を求めることができます。この方法は1つの式だけあればよいので、特性方程式の解が2つでも1つ(重解)でも使える方法になります。

そして、解が異なる2解となる場合には、(B)÷(A)より
((A)も(B)も右辺の分母はどちらも同じだから)

\(\displaystyle\frac{a_{n+1}-β}{a_{n+1}-α}=\displaystyle\frac{r-pβ}{r-pα}\cdot\displaystyle\frac{a_n-β}{a_n-α}\)

と等比型の漸化式に帰着させることもできます。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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