\(a_{n+1}=pa_n+f(n)\) (\(p≠1\)) の形の漸化式の解き方について見ていきます。
その解法については具体的な例題で扱っていきます。
(例題1)
次の条件によって定められる数列\(\{a_n\}\)の一般項を求めよ。
\(a_{1}=1\), \(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+n\)
(解法1)1つずれた形(等比型)にする方法
漸化式 \(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+n\)
を、\(a_{n+1}-〇=\displaystyle\frac{1}{2}(a_n-〇)\)
の形に変形することを目指しますが、今回はもとの漸化式に\(n\)(1次式)が混ざっているのでこれを考慮して\(n\)について1つずれた形になるように
\(a_{n+1}-\{a(n+1)+b\}=\displaystyle\frac{1}{2}\{a_n-(an+b)\}\)
として、\(a,b\)を求めていきます。
\(a_{n+1}-\{a(n+1)+b\}=\displaystyle\frac{1}{2}\{a_n-(an+b)\}\) とすると
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+\displaystyle\frac{1}{2}an+(a+\displaystyle\frac{1}{2}b)\)
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+n\)
と比べると
\(\displaystyle\frac{1}{2}a=1\), \(a+\displaystyle\frac{1}{2}b=0\)
よって \(a=2\), \(b=-4\) だから、与えられた漸化式は次のように変形できる。
\(a_{n+1}-\{2(n+1)-4\}=\displaystyle\frac{1}{2}\{a_n-(2n-4)\}\)
慣れないうちは、\(a_n-(2n-4)=b_{n}\) と置き換えて
\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}b_n\)
としておくとよいです。
ここで
\(b_n=a_n-(2n-4)\)
とおくと
\(b_1=a_1-(2-4)=3\)
\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}b_n\)
より
\(b_n=3\cdot(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}\)
したがって
\(a_n-(2n-4)=\displaystyle\frac{3}{2^{n-1}}\)
\(a_n=2n-4+\displaystyle\frac{3}{2^{n-1}}\)
(解法2)\(n\)を消去する方法
と、この式で \(n→n+1\) とした
\(a_{n+2}=\displaystyle\frac{1}{2}a_{n+1}+(n+1)\)・・・②
において②-①で\(n\)を消去すると
\(a_{n+2}-a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}(a_{n+1}-a_n)+1\)・・・③
という漸化式が導かれます。すると③は両辺が1つずれた形になっているので、\(b_n=a_{n+1}-a_n\) とおけば
\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}b_n+1\)
となり、これは \(a_{n+1}=pa_n+q\) 型です。
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+n\)・・・①
より
\(a_{n+2}=\displaystyle\frac{1}{2}a_{n+1}+(n+1)\)・・・②
②-①より
\(a_{n+2}-a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}(a_{n+1}-a_n)+1\)・・・③
\(b_n=a_{n+1}-a_n\) とおくと
\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}b_n+1\)・・・④
特性方程式 \(α=\displaystyle\frac{1}{2}α+1\) より
\(α=2\) だから④は次のように変形できる。
\(b_{n+1}-2=\displaystyle\frac{1}{2}(b_n-2)\)・・・⑤
また ①より
\(a_2=\displaystyle\frac{1}{2}a_1+1=\displaystyle\frac{3}{2}\) だから
\(b_1=a_2-a_1=\displaystyle\frac{3}{2}-1\)\(=\displaystyle\frac{1}{2}\)
(⑤については置き換えずに進めていきます)
ゆえに⑤より
\(b_n-2=(b_1-2)\cdot(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}\)
\(b_n=-\displaystyle\frac{3}{2}\cdot(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}+2\)
よって
\(a_{n+1}-a_n=-\displaystyle\frac{3}{2}\cdot(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}+2\)
だから、\(n≧2\)のとき
\(a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}\{-\displaystyle\frac{3}{2}\cdot(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}+2\}\)
\(=1-\displaystyle\frac{3}{2}\cdot\displaystyle\frac{1-(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}}{1-\displaystyle\frac{1}{2}}+2(n-1)\)
\(=1-3\{1-(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}\}+2(n-1)\)
\(=\displaystyle\frac{3}{2^{n-1}}+2n-4\)
(\(n=1\)でも成立)
したがって
\(a_n=\displaystyle\frac{3}{2^{n-1}}+2n-4\)
(解法3)ダイレクトに1つずれた形にする方法
\(2^{n}a_{n+1}=2^{n-1}a_n+n\cdot2^{n}\)
という形になり、\(2^{n-1}a_n=b_n\) とおくことで
\(b_{n+1}=b_n+n\cdot2^{n}\) という階差数列型に帰着できます。
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+n\)
の両辺に\(2^n\)を掛けて
\(2^{n}a_{n+1}=2^{n-1}a_{n}+n\cdot2^{n}\)
\(2^{n-1}a_n=b_n\) とおくと
\(b_1=2^{0}a_1=1\)
\(b_{n+1}=b_n+n\cdot2^{n}\)
よって \(n≧2\) のとき
\(b_n=b_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}k\cdot2^{k}\)
ここで、\(S=\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}k\cdot2^{k}\) とすると
\(S=1\cdot2+2\cdot2^2+3\cdot2^3+\cdots+(n-1)2^{n-1}\)
\(2S=\hspace{24pt}1\cdot2^2+2\cdot2^{3}+\cdots+(n-2)2^{n-1}+(n-1)2^{n}\)
\(S-2S\) より
\(-S=2+2^2+2^{3}+\cdots+2^{n-1}-(n-1)2^{n}\)
(等比数列\(2^{□}\)の部分の項数は\(n-1\))
\(-S=\displaystyle\frac{2(2^{n-1}-1)}{2-1}-(n-1)2^{n}\)
\(S=-2^{n}+2+n\cdot2^{n}-2^{n}\)
\(S=-2\cdot2^{n}+n\cdot2^{n}+2\)
\(S=-2^{n+1}+n\cdot2^{n}+2\)
ゆえに
\(b_n=b_1+S\)
\(=1-2^{n+1}+n\cdot2^{n}+2\)
\(=-2^{n+1}+n\cdot2^{n}+3\)
(\(n=1\)のときも成立する)
\(2^{n-1}a_n=b_n\) より
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{2^{n-1}}b_n\) だから
\(a_n=\displaystyle\frac{-2^{n+1}+n\cdot2^{n}+3}{2^{n-1}}\)
\(=\displaystyle\frac{-4\cdot2^{n-1}+2n\cdot2^{n-1}+3}{2^{n-1}}\)
\(=-4+2n+\displaystyle\frac{3}{2^{n-1}}\)
(例題2)
次の条件を満たす数列\(\{a_n\}\)の一般項を求めよ。
\(a_1=3\), \(a_{n+1}=2a_n-n^2+n\)
(解法1)が一番楽な方法なので、(解法2,3)については概略だけやっておきます。
(解法1)1つずれた形(等比型)にする方法
\(a_{n+1}-〇=2(a_n-〇)\)
の形を目指すことになり、今回は2次式になっているので
\(a_{n+1}-\{a(n+1)^2+b(n+1)+c\}=2\{a_n-(an^2+bn+c)\}\)
より、\(a,b,c\)を決定します。
\(a_{n+1}-\{a(n+1)^2+b(n+1)+c\}=2\{a_n-(an^2+bn+c)\}\) とすると
\(a_{n+1}=2a_n-an^2+(2a-b)n+(a+b-c)\)
\(a_{n+1}=2a_n-n^2+n\) と比べて
\(a=1\), \(2a-b=1\), \(a+b-c=0\)
よって
\(a=1\), \(b=1\), \(c=2\) だからもとの漸化式は次のように変形できる。
\(a_{n+1}-\{(n+1)^2+(n+1)+2\}=2\{a_n-(n^2+n+2)\}\)
ここで、\(b_n=a_n-(n^2+n+2)\) とおくと
\(b_1=a_1-(1+1+2)=-1\)
\(b_{n+1}=2b_n\)
よって
\(b_n=(-1)\cdot2^{n-1}\) だから
\(a_n-(n^2+n+2)=-2^{n-1}\)
\(a_n=-2^{n-1}+n^2+n+2\)
(解法2)\(n^2,n\)を消去する方法
\(a_{n+1}=2a_n-n^2+n\)・・・① より
\(a_{n+2}=2a_{n+1}-(n+1)^2+(n+1)\)・・・②
②-①より
\(a_{n+2}-a_{n+1}=2(a_{n+1}-a_n)-2n\)
\(a_{n+1}-a_{n}=b_n\) とおくと
\(b_{n+1}=2b_n-2n\)・・・③
\(b_{n+2}=2b_{n+1}-2(n+1)\)・・・④として ④-③より
\(b_{n+2}-b_{n+1}=2(b_{n+1}-b_n)-2\)
となり、\(b_{n+1}-b_n=c_n\) とおけば
\(c_{n+1}=2c_n-2\) です。(あとは特性方程式で変形して\(c_n\)を求めて、階差数列より\(b_n\)を求めて、さらに階差数列より\(a_n\)を求めればよい)
(解法3)ダイレクトに1つずれた形にする方法
(\(a_n\)の係数\(2\)に着目して)
\(a_{n+1}=2a_n-n^2+n\) の両辺を\(2^{n}\)で割って
\(\displaystyle\frac{a_{n+1}}{2^{n}}=\displaystyle\frac{a_n}{2^{n-1}}-n^2\cdot\displaystyle\frac{1}{2^n}+n\cdot\displaystyle\frac{1}{2^n}\)
\(b_n=\displaystyle\frac{a_n}{2^{n-1}}\) とおくと
\(b_{n+1}=b_n-n^2\cdot\displaystyle\frac{1}{2^n}+n\cdot\displaystyle\frac{1}{2^n}\) (階差型)
\(n≧2\) のとき
\(b_n=b_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(-k^2\cdot\displaystyle\frac{1}{2^k}+k\cdot\displaystyle\frac{1}{2^k})\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
next→an+1=p・an+r^n 型 back→an+1=p・an+q 型