確率・場合の数とシグマ計算

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今回はシグマ計算を利用する確率・場合の数の問題です。

直接計算できるパターンです。

 

 

(例題1)
\(n\)を\(2\)以上の整数とする。中の見えない袋に\(2n\)個の玉が入っており、そのうち\(3\)個が赤で残りが白とする。\(A\)君と\(B\)君が交互に\(1\)個ずつ玉を取り出して、先に赤の玉を取り出した方が勝ちとする。取り出した玉は元に戻さないとする。\(A\)君が先に取り始めるとき、\(B\)君が勝つ確率を求めよ。

 

 

(1)直接計算する (2)漸化式を立てる
方法になります。

(解答1)直接計算(シグマ計算)

状況を整理すると、\(2n\)個の玉があって\(A→B→A→B→・・・\)の順で取り出すので、\(B\)君の順番は偶数番目です。よって、2回目、4回目、6回目・・・(\(B\)君だけみると1,2,3・・・回目になる)に勝つチャンスがあります。よって変数\(k\)を導入して\(k\)回目に勝つ確率を計算して、シグマ計算すれば求まることになります。

確率シグマ 例題1

袋に白玉は\(2n-3\)個、赤玉は\(3\)個入っている。
\(B\)君は偶数回目に玉を取り出すことなり、\(A\)君と\(B\)君合わせて白玉を\(2n-3\)回玉を取り出すと、残りは赤玉しか残らない。よって\(B\)君だけに着目すると、\(B\)君が勝つ順番は\(1,2,3\cdots,n-1\)番目になる。

\(B\)君が\(k\)回 (\(2≦k≦n-1\))・・・(注) 玉を取り出したときに初めて赤玉を取り出す確率\(p_k\)は

\(p_k=(\displaystyle\frac{\bcancel{2n-3}}{2n}\cdot\displaystyle\frac{\bcancel{2n-4}}{2n-1})\cdot(\displaystyle\frac{\bcancel{2n-5}}{2n-2}\cdot\displaystyle\frac{\bcancel{2n-6}}{\bcancel{2n-3}})\cdots\)

\(\cdots(\displaystyle\frac{\bcancel{2n-2k+1}}{\bcancel{2n-2k+4}}\cdot\displaystyle\frac{2n-2k}{\bcancel{2n-2k+3}})\cdot(\displaystyle\frac{2n-2k-1}{\bcancel{2n-2k+2}}\cdot\displaystyle\frac{3}{\bcancel{2n-2k+1}})\)

積の最後のほうの分数については、
\(B\)君が\(k\)回目に引くときには、\(A\)君は\(k\)回、\(B\)君は\(k-1\)回引いているので、残っているの玉は \(2n-k-(k-1)=2n-2k+1\) 個です。ここから赤玉を取り出すことになります。
また\(A\)君が最後に白玉を引くときには、\(A,B\)合わせて白玉を\(2(k-1)\)回取り出しているので、白玉は残り \(2n-3-2(k-1)=2n-2k-1\) 個になっています。

よって
\(p_k=\displaystyle\frac{3(2n-2k)(2n-2k-1)}{2n(2n-1)(2n-2)}\)
(\(k=1\)でも成立する)

(注)について
\(k=1\)だと \(p_1=\displaystyle\frac{(2n-3)\cdot3}{2n(2n-1)}\) と2つの積になるので特別扱いしました。

(あとはシグマ計算するだけで)

ゆえに求める確率\(p\)は
\(p=\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}\displaystyle\frac{3(2n-2k)(2n-2k-1)}{2n(2n-1)(2n-2)}\)

\(=\displaystyle\frac{3}{n(2n-1)(2n-2)}\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(n-k)(2n-2k-1)\)

このまま計算してもよいですが、少しだけ工夫してシグマの部分を計算したいと思います。
\(n-k\) という部分が共通であるので \(n-k=i\) とおきます。このとき \(k=1~n-1\) まで変化させると、\(i=n-1~1\) と変化するので、足す順番を逆向きにすれば、\(i=1~n-1\) の和をとればよいことになります。(変数の範囲が変わらない)

\(=\displaystyle\frac{3}{n(2n-1)(2n-2)}\displaystyle\sum_{i=1}^{n-1}i(2i-1)\)

\(=\displaystyle\frac{3}{2n(2n-1)\bcancel{(n-1)}}\left\{\displaystyle\frac{2}{6}\bcancel{(n-1)}n(2n-1)-\displaystyle\frac{1}{2}\bcancel{(n-1)}n\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{4n(2n-1)}\{2n(2n-1)-3n\}\)

\(=\displaystyle\frac{4n^2-5n}{4n(2n-1)}\)

\(=\displaystyle\frac{4n-5}{4(2n-1)}\)

 

(解答2)漸化式を立てる

こちらのほうが立式は簡単ですが、漸化式を解くのが少し難しいです。

\(P_n:\)「白玉\(2n-3\)個、赤玉\(3\)個、合計\(2n\)個の玉が袋に入っているとき\(B\)が勝つ確率」

とする。\(P_{n+1}\) 「白玉\(2n-1\)個、赤玉\(3\)個、合計\(2n+2\)個」については

(ア)最初2回で、\(A\)君が白玉、\(B\)君が赤玉と引く
(イ)最初2回で、\(A\)君、\(B\)君どちらも白玉を引く

場合があり、(イ)については残りの袋の中身は「白玉\(2n-3\)個、赤玉\(3\)個、合計\(2n\)個」になっているので、\(P_{n+1},P_n\) について次の漸化式が成り立つ。

\(P_{n+1}=\displaystyle\frac{(2n-1)\cdot3}{(2n+2)(2n+1)}+\displaystyle\frac{(2n-1)(2n-2)}{(2n+2)(2n+1)}P_n\)

かなり複雑ですが、\(P_{n+1},P_{n}\)の係数が1つずれた形を目指すという基本に沿って変形していきます。

分母を払って
\((2n+2)(2n+1)P_{n+1}=(2n-1)(2n-2)P_n+3(2n-1)\)

\(2(2n+1)(n+1)P_{n+1}=2(2n-1)(n-1)P_n+3(2n-1)\)

\((2n+1),\ (2n-1)\) の部分は1つずれた形になっているので、あとは\((n+1),\ (n-1)\) の部分だけです。間の\(n\)を埋めることで調節します。

両辺\(n\)倍して
\(2(2n+1)(n+1)nP_{n+1}=2(2n-1)n(n-1)P_n+3n(2n-1)\) (\(n≧2\)) (階差型)

\(b_n=2(2n-1)n(n-1)P_n\) とおくと

\(b_{n+1}=b_n+3n(2n-1)\)
また
\(b_2=2\cdot3\cdot2\cdot1\cdot P_2=12P_2=3\)
(\(P_2\)は「白玉\(1\)個、赤玉\(3\)個、合計\(4\)個の玉が袋に入っているとき\(B\)が勝つ確率」だから
\(P_2=\displaystyle\frac{1}{4}\))

(\(n=2\)スタートに注意して)

よって\(n≧3\)のとき
\(b_{n}=b_2+\displaystyle\sum_{k=2}^{n-1}3k(2k-1)\)

\(=3+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}3k(2k-1)-3\cdot1\)

\(=\displaystyle\frac{6}{6}(n-1)n(2n-1)-\displaystyle\frac{3}{2}(n-1)n\)

\(=\displaystyle\frac{n(n-1)(4n-5)}{2}\) (\(n=2\)でも成立)

したがって
\(P_n=\displaystyle\frac{b_n}{2(2n-1)n(n-1)}\)

\(=\displaystyle\frac{n(n-1)(4n-5)}{2}\cdot\displaystyle\frac{1}{2(2n-1)n(n-1)}\)

\(=\displaystyle\frac{4n-5}{4(2n-1)}\)

 

 

 

 

 

(例題2)
\(n\)枚のカードを積んだ山があり、各カードには上から順番に\(1\)から\(n\)まで番号がつけられている。ただし \(n≧2\) とする。このカードの山に対して次の試行を繰り返す。\(1\)回の試行では、一番上のカードを取り、山の一番上にもどすか、あるいはいずれかのカードの下に入れるという操作を行う。これら\(n\)通りの操作はすべて同じ確率であるとする。\(n\)回の試行を終えたとき、最初一番下にあったカード (番号\(n\)) が山の一番上にきている確率を求めよ。

 

 

同様に直接計算していきます。(漸化式の解法はちょっと思いつきませんでした)

(解答)

少しだけ具体例で考えてみます。\(n=4\)として、カードが\(4\)枚で\(4\)回の試行のときは、\(4\)番のカードの下側に常にカードを入れるようにすると、3回で\(4\)のカードが一番上にきます。よって「どこかで1度だけ\(4\)より上側にカードを入れるか、最後に\(4\)のカードを一番上に置き直すか」になります。
確率 シグマ 例題2-1
これを一般化して、\(k\)回目にカード\(n\)より上側に入れるとして(残りの\(n-1\)回は下側に入れる)、シグマ計算します。\(k=n\) のときは特殊な場合(カード\(n\)より上側にカードがない状態)になるので別に考えます。(あとで\(k\)に関する数式を立てるときにも別になることは分かります)

(i)最初から\(n-1\)回の試行までカード\(n\)より下のほうに入れるとき

(1個ずつ入れる箇所が増えていって、最後に一番上のカード\(n\)を置き直す)

その確率は
\(\displaystyle\frac{1}{n}\cdot\displaystyle\frac{2}{n}\cdot\displaystyle\frac{3}{n}\cdots\displaystyle\frac{n-1}{n}\cdot\displaystyle\frac{1}{n}\)

\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{n^n}\)

(ii)\(k\)回目 (\(1≦k≦n-1\)) の試行のときだけカード\(n\)より上のほうにカードを入れるとき

\(k-1\)回目の試行のときには、\(k-1\)箇所入れるところがある。
\(k\)回目の試行のときには、カード\(n\)より上には\(n-k\)枚ある。
\(k+1\)回目の試行のときには、\(k\)箇所入れるところがある。

よって確率は
\(\displaystyle\frac{1}{n}\cdot\displaystyle\frac{2}{n}\cdots\displaystyle\frac{k-1}{n}\cdot(\displaystyle\frac{n-k}{n})\cdot\displaystyle\frac{k}{n}\cdots\displaystyle\frac{n-1}{n}\)

\(=\displaystyle\frac{(n-1)!(n-k)}{n^n}\)

\(k=n\) を(ii)に混ぜると、\(\displaystyle\frac{n-k}{n}\) の分子が\(0\)になってしまうので、この式からも場合分けが必要なことが分かります。

したがって求める確率\(p\)は

\(p=\displaystyle\frac{(n-1)!}{n^n}+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}\displaystyle\frac{(n-1)!(n-k)}{n^n}\)

\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{n^n}+\displaystyle\frac{(n-1)!}{n^n}\left\{n\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}1-\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}k\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{n^n}+\displaystyle\frac{(n-1)!}{n^n}\left\{n(n-1)-\displaystyle\frac{1}{2}(n-1)n\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{n^n}\cdot\displaystyle\frac{n^2-n+2}{2}\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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