対称移動と曲線の方程式

関数\(f(x)\)や曲線を対称移動させたとき、どのような方程式に変わるか考えていきます。

 

平行移動や対称移動(\(x\)軸,\(y\)軸,原点について)の基礎に自信のない方は、
→(2-1)グラフの平行移動 →(2-2)グラフの対称移動 (2次関数のところで扱っています) を参照してください。

 

 

(例題1)
直線 \(y=-1\) に関して 放物線 \(y=x^2-4x+1\) と対称な曲線の方程式を求めよ。

 

 

2通りの解法を紹介します。
まずは、放物線\(y=f(x)\)上の点 \(P(t,f(t))\) と対称な点を \(Q(X,Y)\) とおいて、\(X,Y\)の方程式を求める方法です(軌跡による解法)。

(解法1)軌跡による解法
放物線\(y=f(x)=x^2-4x+1\) 上の点 \(P(t,f(t))\) と対称な点を\(Q(X,Y)\)とおく。

線対称移動 軌跡解法

\(y=-1\)に関して対称なので図より
\(X=t\)・・・① (\(x\)座標は同じ)
\(\displaystyle\frac{f(t)+Y}{2}=-1\)・・・② (中点が\(y=-1\)上にある)

②より
\(Y=\)\(-f(t)-2\)\(=-t^2+4t-3\)・・・③

①③は\(t\)の媒介変数表示です。あとは\(t\)を消去するだけです(③の\(t\)に\(X\)を代入するだけです)。

①③より
\(Y=-X^2+4X-3\)

答 放物線 \(y=-x^2+4x-3\)

 

(解法2)\(x\)軸についての対称移動を利用する方法

\(x\)軸対称の移動なら、\(y→-y\) と変換するだけです。
よって 対称軸 \(y=-1\) と \(y=x^2-4x+1\) を軸が\(x\)軸に重なるように平行移動させます。そしてこれを\(x\)軸について対称移動させて、最後に元に戻すように平行移動させます。

線対称移動 軸の移動を利用

\(y=f(x)=x^2-4x+1\)・・・(1) と対称軸 \(y=-1\) を\(y\)軸方向に1だけ平行移動させると

放物線:\(y=f(x)+1\)・・・(2) 対称軸:\(y=0\) (\(x\)軸)

これを\(x\)軸に関して対称移動すると
放物線: \(-y=f(x)+1\) つまり \(y=-f(x)-1\)・・・(3)

\(y\)軸方向に \(-1\)だけ平行移動させて戻すと
放物線: \(y=-f(x)-2\)・・・(4)

よって求める曲線の方程式は
\(y\)\(=-(x^2-4x+1)-2\)\(=-x^2+4x-3\)

 

この例題は対称軸が\(x\)軸に平行な直線でしたが、\(x\)軸に垂直な直線が対称軸となっている場合でも同じように解くことができます。

 

 

次は点対称に関する問題です。

(例題2)
関数 \(y=f(x)\) を 点\((p,q)\)に関して対称移動させた曲線の方程式は、
\(y=-f(2p-x)+2q\) となることを示せ。

 

 

こちらも同じように軌跡による方法と、グラフを平行移動させる方法で解いてみます。

(解法1)軌跡による解法
\(y=f(x)\) 上の 点\(P(t,f(t))\) の対称点を\(Q(X,Y)\) とおく。

点対称 グラフ 軌跡

\((p,q)\)について対称なので
\(\displaystyle\frac{t+X}{2}=p\)・・・①
\(\displaystyle\frac{f(t)+Y}{2}=q\)・・・②

①②より
\(X=2p-t\)・・・③
\(Y=2q-f(t)\)・・・④

③④より\(t\)を消去する。
③より \(t=2p-X\) ④に代入して
\(Y=-f(2p-X)+2q\)

よって対称移動後の曲線の方程式は
 \(y=-f(2p-x)+2q\)

 

(解法2)原点に関する対称移動を利用する方法

\((p,q)\)が原点にくるようにグラフを平行移動させます。
そしてそのグラフを原点について対称移動させて、最後に元に戻します。
なお原点について対称移動すると、\(x→-x\), \(y→-y\) と変化します。

点対称移動 原点対称に

\(y=f(x)\)・・・(1)のグラフを \((p,q)\)が原点にくるように、\(x\)軸方向に\(-p\),\(y\)軸方向に\(-q\)だけ平行移動させる。移動後のグラフの方程式は

\(y+q=f(x+p)\) より \(y=f(x+p)-q\)・・・(2)

次に原点について対称移動させると
\(-y=f(-x+p)-q\) より \(y=-f(-\)\(x\)\(+p)+q\)・・・(3)

最後に \(x\)軸方向に\(p\),\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動させて戻すと
\(y-q=-f(-\)\((x-p)\)\(+p)+q\)・・・(注) より
\(y=-f(2p-x)+2q\)・・・(4)

(4)が求める対称移動後の曲線の方程式となる。

 

(注)について
(3)→(4)のところは \(x\)軸方向に\(+p\)平行移動するので、\(x→x-p\) と変換するから、\(f(-(x-p)+p)\)となります。\(f(-x-p+p)\)ではありません。

 

 

(例題3)
直線 \(x-y+1=0\) に関して、曲線 \(x^2+y^2-x+2y=0\) と対称な曲線の方程式を求めよ。

 

 

曲線 \(x^2+y^2-x+2y=0\) を変形すると
\((x-\displaystyle\frac{1}{2})^2+(y+1)^2=\displaystyle\frac{5}{4}\) より円です。これを直線に関して対称移動させても円で、大きさ(半径)も変わりません。なので、中心の位置がどう変わるかだけに着目します。

(解答)

円の対称移動

曲線 \(x^2+y^2-x+2y=0\) を変形すると
\((x-\displaystyle\frac{1}{2})^2+(y+1)^2=\displaystyle\frac{5}{4}\)
これは円であり、この円と直線 \(x-y+1=0\) に関して対称な曲線は半径が同じ大きさの円である。

中心 \((\displaystyle\frac{1}{2},-1)\) の対称点を \((s,t)\)とおくと、\((s,t)\)は求める円の中心であり次のことが成り立つ。

\(\displaystyle\frac{s+\displaystyle\frac{1}{2}}{2}-\displaystyle\frac{t-1}{2}+1=0\)・・・① (2円の中心の中点が \(x-y+1=0\) 上にある)

\(\displaystyle\frac{t+1}{s-\displaystyle\frac{1}{2}}・1=-1\)・・・② (中心どうしを結ぶ直線と \(x-y+1=0\)は垂直)

①より \(s-t=-\displaystyle\frac{7}{2}\)
②より \(s+t=-\displaystyle\frac{1}{2}\)
よって \(s=-2\), \(t=\displaystyle\frac{3}{2}\)

したがって求める曲線(円)の方程式は
\((x+2)^2+(y-\displaystyle\frac{3}{2})^2=\displaystyle\frac{5}{4}\)

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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