等比数列の和

等比数列の和について見ていきます。

 

・等比数列の和
初項\(a\)、公比\(r\)の等比数列の初項から第\(n\)項までの和を\(S_n\)とします。
\(S_n\)を具体的に表すと

\(S_n=a+\color{blue}{ar+ar^2+\cdots+ar^{n-2}+ar^{n-1}}\)・・・①

となります。ここで①の両辺に公比\(r\)を掛けると、1つずれたものが次々に現れ

\(rS_n=\color{blue}{ar+ar^2+ar^3+\cdots+ar^{n-1}}+ar^{n}\)・・・②

①-②より
\((1-r)S_n=a-ar^{n}\)

\(r≠1\) のときは両辺を \(1-r\) で割ることにより

\(S_n=\displaystyle\frac{a(1-r^{n})}{1-r}\) (\(S_n=\displaystyle\frac{a(r^{n}-1)}{r-1}\))

\(r=1\) のときは、公比が\(1\)で\(a_n=a\)となり、すべての項が\(a\)になるので

\(S_n=a+a+a+\cdots+a\)\(=na\)

となります。

 

(等比数列の和)
初項\(a\)、公比\(r\)の等比数列の初項から第\(n\)項までの和\(S_n\)は
\(r≠1\) のとき \(S_n=\displaystyle\frac{a(1-r^{n})}{1-r}\) (\(S_n=\displaystyle\frac{a(r^{n}-1)}{r-1}\))
\(r=1\) のとき \(S_n=na\)
\(r≠1\) のときの和の公式は日本語で表すと
「(初項)×(1-公比の項数乗)/(1-公比) 」
です。分母と分子の符号の入れ替えについてはどちらかを覚えていればよいですが、両方覚えるなら\(r\)が\(1\)より大きいか小さいかで使い分けてください。(\(r<1\)のときは\(1-r\)のほうを使う)

(参考)
\(S_n=\displaystyle\frac{a(1-r^{n})}{1-r}\)

の分子を因数分解すると

\(S_n=\displaystyle\frac{a(1-r)(1+r+r^2+\cdots+r^{n-1})}{1-r}\)

\(=a(1+r+r^2+\cdots+r^{n-1})\)

\(=a+ar+ar^2+\cdots+ar^{n-1}\)

と各項を列挙した式になります。

 

 

 

 

(例題1)
(1)初項\(1\)、公比\(2\)の等比数列\(\{a_n\}\)に対し、次の和を求めよ。
\(S_n=\displaystyle\frac{1}{a_1}+\displaystyle\frac{1}{a_2}+\displaystyle\frac{1}{a_3}+\cdots+\displaystyle\frac{1}{a_n}\)

(2)正の整数\(a,b\)に対し、\(N=2^a\cdot3^b\) とするとき、\(N\)の正の約数の総和を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

\(a_n=2^{n-1}\) なので、\(\displaystyle\frac{1}{a_n}=(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}\) です。具体的に和を書くなら
\(S_n=1+\displaystyle\frac{1}{2}+\displaystyle\frac{1}{2^2}+\cdots+\displaystyle\frac{1}{2^{n-1}}\)
となります。

\(\displaystyle\frac{1}{a_n}=(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}\)

\(S_n\)は、初項\(1\)、公比\(\displaystyle\frac{1}{2}\)、項数\(n\)の等比数列の和だから

\(S_n=\displaystyle\frac{1\cdot\{1-(\displaystyle\frac{1}{2})^n\}}{1-\displaystyle\frac{1}{2}}\)

(分母分子に\(2\)を掛けて)

\(=2\{1-(\displaystyle\frac{1}{2})^n\}\)

\(=2-\displaystyle\frac{1}{2^{n-1}}\)

 

(2)

\(2^a\)の正の約数の和は \(1+2+2^2+\cdots+2^a\)
\(3^{b}\)の正の約数の和は \(1+3+3^2+\cdots+3^b\)
そして、これらの積
\((1+2+2^2+\cdots+2^a)(1+3+3^2+\cdots+3^b)\)
は展開すると分かりますが、\(2^a\cdot3^b\)の正の約数の和です。等比数列の和の積になっていますが、項数は\(2^{0}=3^{0}=1\) であるから、それぞれ\(a+1\),\(b+1\)項です。

\(N=2^a\cdot3^b\) の正の約数の和は

\((1+2+2^2+\cdots+2^a)(1+3+3^2+\cdots+3^b)\)

\(=\displaystyle\frac{1\cdot(2^{a+1}-1)}{2-1}×\displaystyle\frac{1\cdot(3^{b+1}-1)}{3-1}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}(2^{a+1}-1)(3^{b+1}-1)\)

 

 

 

 

(例題2)
初めの\(10\)項の和が\(2\)、初めの\(20\)項の和が\(6\)である等比数列について
(1)初項から第\(30\)項までの和を求めよ。
(2)初項から第\(40\)項までの和を求めよ。

 

 

条件が2つあるので、初項\(a\)、公比\(r\)を求めることができますが、\(a,r\)そのものを求めるより\(r^{10}\)などの途中式のまま進めていくほうがスッキリします。

(解答)
(1)
初項\(a\)公比を\(r\)、初項から第\(n\)項までの和を\(S_n\)とする。

\(S_{10}=2\), \(S_{20}=6\) より、\(a≠0\)。
また\(r=1\)とすると、\(2S_{10}=S_{20}\) となるが、\(2×2≠6\) より不適。

よって \(r≠1\) で

\(\displaystyle\frac{a(1-r^{10})}{1-r}=2\)・・・①
\(\displaystyle\frac{a(1-r^{20})}{1-r}=6\)・・・②

②より
\(\displaystyle\frac{a(1-r^{10})(1+r^{10})}{1-r}=6\)

これに①を代入して
\(2(1+r^{10})=6\)
よって
\(r^{10}=2\)

\(r\)が仮に実数だと \(r=±\sqrt[10]{2}\) ですが、\(r^{10}\)のまま進めていきます。

\(S_{30}\)\(=\displaystyle\frac{a(1-r^{30})}{1-r}\)

\(=\displaystyle\frac{a\{1-(r^{10})^3\}}{1-r}\)

(\(1-x^3=(1-x)(1+x+x^2)\) より )

\(=\displaystyle\frac{a(1-r^{10})}{1-r}(1+r^{10}+r^{20})\)

(①より)

\(=2\cdot(1+2+2^2)\)

\(=14\)

 

(2)
\(S_{40}=\displaystyle\frac{a(1-r^{40})}{1-r}\)

\(=\displaystyle\frac{a(1-r^{20})}{1-r}(1+r^{20})\)

((1)の②より)

\(=6\cdot(1+2^2)\)

\(=30\)

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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