2次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) において、\(b^2-4ac≧0\)の場合は解をもちますが、\(b^2-4ac<0\)の場合はどうでしょうか。また\(b^2-4ac>0\) と \(b^2-4ac=0\) ではどういった違いがあるのでしょうか。
①\(b^2-4ac>0\)のとき
解の公式より、\(x=\displaystyle\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)となるので
異なる2つの実数解をもつことになります。
②\(b^2-4ac=0\)のとき
解の公式より、\(x=-\displaystyle\frac{b}{2a}\)となるので
ただ1つの実数解をもつことになります。(重解とよびます)
③\(b^2-4ac<0\)のとき
\(ax^2+bx+c=0\)を平方完成して変形した式
\((x+\displaystyle\frac{b}{2a})^2=\displaystyle\frac{b^2-4ac}{4a^2}\)
で、(右辺)\(<0\)となるので、この等式を満たす\(x\)は実数の範囲では存在しないことになります。よって実数解をもたないことになります。
\(b^2-4ac\)の符号が解の個数に関係しているので、\(b^2-4ac\)を \(D\) と表すと以下のようになります。
①\(D>0\) \(→\) 異なる2つの実数解をもつ
②\(D=0\) \(→\) ただ1つの解(重解)をもつ
③\(D<0\) \(→\) 実数解をもたない
\(D\)は判別式とよばれます。
また①~③の逆は、転換法(→(8-4)転換法 参照)により成り立つことがわかるので、結局以下のように必要十分条件となります。
①\(D>0\) \(\leftrightarrow\) 異なる2つの実数解をもつ
②\(D=0\) \(\leftrightarrow\) ただ1つの解(重解)をもつ
③\(D<0\) \(\leftrightarrow\) 実数解をもたない
\(D=4b’^2-4ac=4(b’^2-ac)\) より
例題をやってみます。
(例題1)
\(3x^2-5x+7=0\) の実数解の個数を調べよ。
(解答)
\(D=(-5)^2-4・3・7=-59<0\)より
実数解をもたない
(例題2)
2次方程式 \(x^2-4x+k+5=0\) の実数解の個数を調べよ。ただし\(k\)は定数とする。
(解答)
判別式を\(D\)とすると
\(\displaystyle\frac{D}{4}=(-2)^2-1・(k+5)=-k-1\)
①\(\displaystyle\frac{D}{4}>0\) つまり \(-k-1>0\)のとき \(k<-1\)
②\(\displaystyle\frac{D}{4}=0\) つまり \(-k-1=0\)のとき \(k=-1\)
③\(\displaystyle\frac{D}{4}<0\) つまり \(-k-1<0\)のとき \(k>-1\)
以上より
・\(k<-1\)のとき異なる2つの実数解をもつ
・\(k=-1\)のときただ1つの実数解をもつ
・\(k>-1\)のとき実数解をもたない
(例題3)
\(x\)の方程式 \(ax^2-(2a-3)x+a=0\) が異なる2つの実数解をもつとき、\(a\)の値の範囲を求めよ。
(解答)
①\(a=0\)のとき
方程式は \(3x=0\) となり \(x=0\)とただ1つの解をもつので不適
②\(a≠0\)のとき
判別式\(D\)は
\(D=\{-(2a-3)^2\}-4a・a\)
\(=4a^2-12a+9-4a^2\)
\(=-12a+9\)
異なる2つの実数解をもつとき \(D>0\)より
\(-12a+9>0\) よって \(a<\displaystyle\frac{3}{4}\)
これと \(a≠0\) より求める\(a\)の範囲は
\(a<0\) または \(0<a<\displaystyle\frac{3}{4}\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。