3項間漸化式①

今までは2項間漸化式(\(a_{n+1},a_{n}\)の漸化式)について学んできましたが、今回は3つの項の漸化式の解き方です。3項間についても特性方程式がキーワードになります。

 

・3項間漸化式
\(a_1=0\), \(a_2=1\),  \(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=0\)・・・①

を例として、この条件で定められる数列\(\{a_n\}\)の漸化式の一般項を求めてみます。2項間漸化式
\(a_{n+1}=pa_n+q\)
では、変形して等比型
\(a_{n+1}-α=p(a_n-α)\)
の形を目指しましたが、この3項間漸化式でも同様の操作を行います。

①の\(a_{n+2}\)の係数が\(1\)であり定数項がないことから、例えば
\(a_{n+2}-a_{n+1}=k(a_{n+1}-a_{n})\)・・・②
の形を目指すとしてこの式を変形すると
\(a_{n+2}-(k+1)a_{n+1}+ka_n=0\)・・・③
となり、①と係数を見比べると
\(k+1=5\),  \(k=6\)
となりますが、1つ目の\(k\)の式が\(k=4\)となってしまうので、漸化式②の形に変形できません。これは③の\(a_{n+1},a_{n}\)の係数の一方を決めてしまうともう一方が決まるために自由が利かない状態になっているからです。
(同様の理由で \(a_{n+2}-ka_{n+1}=a_{n+1}-ka_{n}\) の形もダメ)

そこでもう1つ文字を設定し

\(a_{n+2}-αa_{n+1}=β(a_{n+1}-αa_{n})\)・・・④

の形を目指すことを考えます。④より
\(a_{n+2}-(α+β)a_{n+1}+αβa_{n}=0\)
となり、①と見比べると
\(α+β=5\), \(αβ=6\)
となり、\(α,β\)は2次方程式
\(x^2-5x+6=0\)・・・⑤
の2解となるので求まり、④の形に変形できることになります。

2次方程式なので解は
(i)異なる2つの実数解  (ii)重解(実数解1つ) (iii)虚数解2つ
のパターンがありますが、2つの異なる解があれば④の\(α,β\)それぞれに代入することで2通りの変形ができることになります。よって重要なのは重解をもつか、もたないかの場合分けになってきます。(もちろん虚数解のときは式が複雑になってくるので敢えて漸化式を解かないという方針をとる問題もあります)

ここで2次方程式⑤はもとの漸化式
\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=0\)・・・①
について、\(a_{n+2}→x^2\), \(a_{n+1}→x\), \(a_n→1\) としたものであり、この2次方程式⑤が3項間漸化式における特性方程式になります。

さて、実際に一般項を求めてみると特性方程式
\(x^2-5x+6=0\)
より \((x-2)(x-3)=0\)
だから、\(x=2,3\) となり、\((α,β)=(2,3),(3,2)\) として④に代入すると

\(a_{n+2}-2a_{n+1}=3(a_{n+1}-2a_{n})\)
\(a_{n+2}-3a_{n+1}=2(a_{n+1}-3a_{n})\)

それぞれ等比型の漸化式になっているので、\(a_1=0,\ a_2=1\) より
\(a_{n+1}-2a_{n}=(a_2-2a_1)\cdot3^{n-1}=3^{n-1}\)・・・⑥
\(a_{n+1}-3a_{n}=(a_2-3a_1)\cdot2^{n-1}=2^{n-1}\)・・・⑦

⑥ー⑦より\(a_{n+1}\)を消去することで
\(a_{n}=3^{n-1}-2^{n-1}\)
と一般項が求まります。

⑥は指数型の2項間漸化式になっているので、⑥のみ(⑦のみ)でも一般項を求めることができます。同様に重解の場合は漸化式を1通りにしか変形できませんが、一般項が求まります。

 

 

 

(例題)次の条件によって定められる数列の一般項をそれぞれ求めよ。
(1)\(a_1=1\), \(a_2=1\),  \(a_{n+2}-a_{n+1}-2a_{n}=0\)
(2)\(a_1=1\), \(a_2=2\),  \(a_{n+2}-6a_{n+1}+9a_{n}=0\)

 

 

どちらも特性方程式を解くことになります。
(1)は異なる2つの実数解 (2)は重解 になります。

(解答)
\(x^2-x-2=0\) を解くと
\((x-2)(x+1)=0\)
\(x=2,-1\)

よって漸化式は次のように変形できる。
\(a_{n+2}-2a_{n+1}=-(a_{n+1}-2a_n)\)
\(a_{n+2}+a_{n+1}=2(a_{n+1}+a_n)\)

このまま等比型として解きますが、慣れないうちは上の式だと \(b_{n}=a_{n+1}-2a_n\) と置き換えてもよいです。

\(a_1=1\), \(a_2=1\) だから
\(a_{n+1}-2a_n=(a_2-2a_1)(-1)^{n-1}=(-1)^{n}\)・・・①
\(a_{n+1}+a_n=(a_2+a_1)2^{n-1}=2^n\)・・・②

(②-①)÷3 より
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{3}\{2^n-(-1)^{n}\}\)

 

(2)
\(x^2-6x+9=0\) を解くと
\((x-3)^2=0\)
\(x=3\)

(\(α=β=3\)として)
よって漸化式は次のように変形できる。
\(a_{n+2}-3a_{n+1}=3(a_{n+1}-3a_n)\)

\(a_1=1\), \(a_2=2\) だから
\(a_{n+1}-3a_n=(a_2-3a_1)3^{n-1}=-3^{n-1}\)

ゆえに
\(a_{n+1}=3a_n-3^{n-1}\)  (指数型)

両辺を\(3^{n-1}\)で割って
\(\displaystyle\frac{a_{n+1}}{3^{n-1}}=\displaystyle\frac{a_n}{3^{n-2}}-1\)

1つずれた形になっていて、文字のところの係数が等しいので等差型です。
このまま解いてもよいですが、一応置き換えてやっておきます。

\(b_n=\displaystyle\frac{a_n}{3^{n-2}}\) とおくと

\(b_1=\displaystyle\frac{a_1}{3^{-1}}=3\)
\(b_{n+1}=b_n-1\) (等差型)

よって
\(b_n=3+(n-1)\cdot(-1)\)
\(=-n+4\)

したがって
\(a_n=3^{n-2}b_n\)

\(=(-n+4)3^{n-2}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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