連立漸化式

連立漸化式の解き方について見ていきます。

 

(例題1)
次の条件で定まる2つの数列\(\{a_n\},\{b_n\}\)の一般項をそれぞれ求めよ。
(1)\(a_1=3\),  \(b_1=1\),  \(a_{n+1}=2a_n+b_n\),  \(b_{n+1}=a_n+2b_n\)

(2)\(a_1=b_1=1\),  \(a_{n+1}=a_n+b_n\),  \(b_{n+1}=4a_n+b_n\)

 

 

解答にあまり関係ないかもしれませんが(1)を例にすると、\(a_1,b_1\) は分かっているので、 \(a_{n+1}=2a_n+b_n\) より\(a_2\)が、\(b_{n+1}=a_n+2b_n\) より\(b_2\)が求まり、さらにこの\(a_2,b_2\)より\(a_3,b_3\)が求まり・・・という仕組みになっています。

(解答)
(1)

漸化式の右辺の係数が\(2,1\)と\(1,2\)と入れ替わった形になっているタイプ(対称形)の連立漸化式は、単純に和と差をとることで解決します。

\(a_1=3\),  \(b_1=1\)

\(a_{n+1}=2a_n+b_n\)・・・①
\(b_{n+1}=a_n+2b_n\)・・・②

①+②より
\(a_{n+1}+b_{n+1}=3(a_n+b_n)\)  (等比型)
よって
\(a_n+b_n=(a_1+b_1)3^{n-1}=4\cdot3^{n-1}\)・・・③

①-②より
\(a_{n+1}-b_{n+1}=a_n-b_n\) (等比 or 等差型)
よって
\(a_n-b_n=(a_1-b_1)\cdot1^{n-1}=2\)・・・④

(③+④)÷2 より
\(a_n=2\cdot3^{n-1}+1\)

(③-④)÷2 より
\(b_n=2\cdot3^{n-1}-1\)

 

(2)

対称形ではないので単純に和や差をとるだけではダメですが、定数倍の和や差をとって同じように等比型に変形していきます。または1文字消去の別解もあります。

\(a_1=b_1=1\)

\(a_{n+1}=a_n+b_n\)・・・①
\(b_{n+1}=4a_n+b_n\)・・・②

数列 \(\{a_n+sb_n\}\) が等比数列になるとすると
\(a_{n+1}+sb_{n+1}=t(a_{n}+sb_{n})\)・・・③

①+s×② より
\(a_{n+1}+sb_{n+1}=(1+4s)a_n+(1+s)b_n\)・・・④
だから、③④の右辺を比較して
\(t=1+4s\),  \(st=1+s\)
\(s,t\)を求めると
\((s,t)=(\displaystyle\frac{1}{2},3),(-\displaystyle\frac{1}{2},-1)\)

よって①+s×②をそれぞれの\(s\)で求めることで次の漸化式が得られる。

\(a_{n+1}+\displaystyle\frac{1}{2}b_{n+1}=3(a_{n}+\displaystyle\frac{1}{2}b_{n})\) (等比型)
\(a_{n+1}-\displaystyle\frac{1}{2}b_{n+1}=-(a_{n}-\displaystyle\frac{1}{2}b_{n})\) (等比型)

ゆえに
\(a_{n}+\displaystyle\frac{1}{2}b_n=(a_1+\displaystyle\frac{1}{2}b_1)3^{n-1}=\displaystyle\frac{3^n}{2}\)・・・⑤

\(a_n-\displaystyle\frac{1}{2}b_n=(a_1-\displaystyle\frac{1}{2}b_1)(-1)^{n-1}=\displaystyle\frac{(-1)^{n-1}}{2}\)・・・⑥

(⑤+⑥)÷2 より
\(a_n=\displaystyle\frac{3^{n}+(-1)^{n-1}}{4}\)

⑤-⑥より
\(b_n=\displaystyle\frac{3^{n}-(-1)^{n-1}}{2}\)

 

(注)(1)では \(s=±1\) ということです。

 

(別解)

連立方程式のように文字消去する方法もあります。((1)でも一応有効です)

\(a_1=b_1=1\)

\(a_{n+1}=a_n+b_n\)・・・①
\(b_{n+1}=4a_n+b_n\)・・・②

①より
\(b_n=a_{n+1}-a_n\)・・・③
だから
\(b_{n+1}=a_{n+2}-a_{n+1}\)・・・④

③④を②に代入して
\(a_{n+2}-a_{n+1}=4a_n+(a_{n+1}-a_n)\)
整理して
\(a_{n+2}-2a_{n+1}-3a_{n}=0\) (3項間漸化式)

特性方程式 \(x^2-2x-3=0\) を解くと
\((x-3)(x+1)=0\) より \(x=3,-1\)

よって\(a_n\)のみの漸化式は次のように変形できる。
\(a_{n+2}-3a_{n+1}=-(a_{n+1}-3a_{n})\)
\(a_{n+2}+a_{n+1}=3(a_{n+1}+a_{n})\)

(\(a_1,a_2\)が必要です。\(a_2\)については漸化式①から求めます)

\(a_1=b_1=1\) と①より
\(a_2=a_1+b_1=2\) だから

\(a_{n+1}-3a_n=(a_2-3a_1)(-1)^{n-1}=(-1)^{n}\)・・・⑤
\(a_{n+1}+a_{n}=(a_1+a_2)3^{n-1}=3^{n}\)・・・⑥

(⑥-⑤)÷4 より
\(a_n=\displaystyle\frac{3^{n}-(-1)^n}{4}\)

\(b_n=a_{n+1}-a_n\)・・・③ より

\(b_n=\displaystyle\frac{3^{n+1}-(-1)^{n+1}}{4}-\displaystyle\frac{3^{n}-(-1)^n}{4}\)

\(=\displaystyle\frac{3\cdot3^{n}+(-1)^{n}}{4}-\displaystyle\frac{3^{n}-(-1)^n}{4}\)

\(=\displaystyle\frac{3^{n}+(-1)^{n}}{2}\)

 

 

 

(例題2)
数列\(\{a_n\},\{b_n\},\{c_n\}\)は次の条件を満たしている。
\(a_1=\displaystyle\frac{1}{2}\),  \(b_1=\displaystyle\frac{1}{2}\),  \(c_1=0\)
\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+\displaystyle\frac{1}{2}b_n\)・・・①

\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+\displaystyle\frac{1}{2}c_n\)・・・②

\(c_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}b_n+\displaystyle\frac{1}{2}c_n\)・・・③

(1)\(a_n+b_n+c_n\) を求めよ。
(2)数列\(\{a_n\},\{b_n\},\{c_n\}\)の一般項をそれぞれ求めよ。

 

 

3つの数列が登場する連立漸化式です。対称性のある漸化式となっているので和や差をとっていきますが、①③と②は少し異質であることに注意して下さい。

(解答)
(1)
①+②+③より
\(a_{n+1}+b_{n+1}+c_{n+1}=a_n+b_n+c_n\)

よって
\(a_{n}+b_n+c_n=a_{n-1}+b_{n-1}+c_{n-1}=\cdots=a_1+b_1+c_1=1\)
(公差\(0\)の等差数列 or 公比\(1\)の等比数列としてもよい)

\(a_n+b_n+c_n=1\)

(2)

あと2つ\(a_n,b_n,c_n\)の関係式が得られればそれぞれの一般項が分かります。
①③は2種類の数列が、②は3種類の数列が登場するので区別していきます。

\(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+\displaystyle\frac{1}{2}b_n\)・・・①

\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_n+\displaystyle\frac{1}{2}c_n\)・・・②

\(c_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}b_n+\displaystyle\frac{1}{2}c_n\)・・・③

(1)より \(a_n+c_n=1-b_n\)・・・④
④と②から
\(b_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}(a_n+c_n)=\displaystyle\frac{1}{2}(1-b_n)\)
よって
\(b_{n+1}=-\displaystyle\frac{1}{2}b_n+\displaystyle\frac{1}{2}\) (\(b_1=\displaystyle\frac{1}{2}\))

これより\(b_n\)を求めると(詳細略)
\(b_n=\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{3}(-\displaystyle\frac{1}{2})^{n}\)

次に①-③より
\(a_{n+1}-c_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}(a_n-c_n)\)
よって
\(a_{n}-c_{n}\)\(=(a_1-c_1)(\displaystyle\frac{1}{2})^{n-1}\)\(=(\displaystyle\frac{1}{2})^{n}\)・・・⑤

(1)の等式(変形したのが④)と、\(b_n\)と、⑤より、3つの数列の一般項がすべて出揃うことになります。

また④より
\(a_n+c_n\)\(=1-\{\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{3}(-\displaystyle\frac{1}{2})^{n}\}\)

\(=\displaystyle\frac{2}{3}+\displaystyle\frac{1}{3}(-\displaystyle\frac{1}{2})^{n}\)・・・⑥

(⑤+⑥)÷2 より
\(a_n=\displaystyle\frac{1}{3}+(\displaystyle\frac{1}{2})^{n+1}+\displaystyle\frac{1}{6}(-\displaystyle\frac{1}{2})^{n}\)

(⑥-⑤)÷2 より
\(c_n=\displaystyle\frac{1}{3}-(\displaystyle\frac{1}{2})^{n+1}+\displaystyle\frac{1}{6}(-\displaystyle\frac{1}{2})^{n}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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