関数のグラフ上を動く点

グラフに沿って動く点の例題です。

少し微分方程式の色がある問題ですが、知識が無くても解くことはできます(置換積分などを利用する)。

 

(例題1)
\(x\)軸上を運動する点\(P\)の時刻\(t\)における座標を \(x=x(t)\) とする。座標\(x\)における速度が \(\displaystyle\frac{1}{\cos^2x+1}\) であるとき、\(t\)を\(x\)を用いて表せ。ただし \(x(0)=0\) とする。

 

直線上の運動ですが、慣れのために最初に扱いたいと思います。条件より
\(\displaystyle\frac{dx}{dt}=\displaystyle\frac{1}{\cos^2x+1}\) ですが、右辺は\(x\)の式になっているのでそのまま\(t\)で積分することができません。しかし変数分離型の微分方程式なので\(x\)の式を左辺に分離すれば置換積分により\(x,t\)の関係式を導くことができます。
本来は\(x\)を\(t\)の式で表したいのですが、この例題だと困難なので\(t\)を\(x\)の式で表します。
なお逆関数の微分を利用すると、直接積分が可能です(別解)。

(解答)
\(\displaystyle\frac{dx}{dt}=\displaystyle\frac{1}{\cos^2x+1}\) (変数分離型の微分方程式) より

\((\cos^2x+1)\cdot\displaystyle\frac{dx}{dt}=1\)

両辺を\(t\)で積分すると
\(\displaystyle\int(\cos^2x+1)\cdot\displaystyle\frac{dx}{dt}dt=\displaystyle\int dt\)

左辺は置換積分により
\(\displaystyle\int(\cos^2x+1)dx=\displaystyle\int dt\)
\(\displaystyle\int(\displaystyle\frac{1+\cos2x}{2}+1)dx=\displaystyle\int dt\)
よって\(C\)を定数とすると
\(\displaystyle\frac{3}{2}x+\displaystyle\frac{1}{4}\sin2x=t+C\)

\(t=0\) のとき \(x=0\) だから
\(0=0+C\)
ゆえに \(C=0\) だから

\(t=\displaystyle\frac{3}{2}x+\displaystyle\frac{1}{4}\sin2x\)

(別解)逆関数の導関数を利用する
\(\displaystyle\frac{dx}{dt}=\displaystyle\frac{1}{\cos^2x+1}\) より

\(\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{dt}{dx}}=\displaystyle\frac{1}{\cos^2x+1}\)

よって
\(\displaystyle\frac{dt}{dx}=\cos^2x+1\) (\(x\)でそのまま積分すればよい。直接積分型)

\(x\)で積分すると
\(t=\displaystyle\int(\cos^2x+1)dx\)
\(t=\displaystyle\int(\displaystyle\frac{1+\cos2x}{2}+1)dx\)
よって\(C\)を定数として
\(t=\displaystyle\frac{3}{2}x+\displaystyle\frac{1}{4}\sin2x+C\)

\(t=0\) のとき \(x=0\) だから
\(0=C\)
したがって
\(t=\displaystyle\frac{3}{2}x+\displaystyle\frac{1}{4}\sin2x\)

 

 

(例題2)
\(xy\)平面において、曲線 \(y=\displaystyle\frac{x^3}{6}+\displaystyle\frac{1}{2x}\) 上の点 \((1,\displaystyle\frac{2}{3})\) を出発し、この曲線上を進む点\(P\)がある。出発してから\(t\)秒後の\(P\)の速度\(\vec{v}\)の大きさは\(\displaystyle\frac{t}{2}\)に等しく、\(\vec{v}\)の\(x\)成分はつねに正または\(0\)であるとする。

(1)出発してから\(t\)秒後の\(P\)の位置を\((x,y)\)として、\(x\)と\(t\)の間の関係式を求めよ。
(2)\(\vec{v}\)がベクトル \((8,15)\) と平行になるのは出発してから何秒後か。

 

(解答)
(1)

分かっている条件で主軸になるのは、\(|\vec{v}|=\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2+(\displaystyle\frac{dy}{dt})^2}=\displaystyle\frac{t}{2}\) です。
点\(P\)は曲線上を動くので、\(y\)座標が \(y=\displaystyle\frac{x^3}{6}+\displaystyle\frac{1}{2x}\) であり\(x\)で表せることに注意してください。
\(\vec{v}\)の\(x\)成分はつねに正または\(0\)であるという条件については、簡単にいうと\(P\)は右方向に動いているということです。式で表すと \(\displaystyle\frac{dx}{dt}≧0\) です。

動点 微分方程式 例題2

\(t\)秒後の点\(P\)の座標は、\(P(x,\displaystyle\frac{x^3}{6}+\displaystyle\frac{1}{2x})\)

それぞれの座標を\(t\)で微分すると、合成関数の微分より
\(\vec{v}=(\displaystyle\frac{dx}{dt},\ (\displaystyle\frac{1}{2}x^2-\displaystyle\frac{1}{2x^2})\cdot\displaystyle\frac{dx}{dt})\)

よって\(\vec{v}\)の大きさは
\(|\vec{v}|=\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2+(\displaystyle\frac{1}{2}x^2-\displaystyle\frac{1}{2x^2})^2(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2}\)

\(=\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2\left\{1+(\displaystyle\frac{1}{2}x^2-\displaystyle\frac{1}{2x^2})^2\right\}}\)

\(=\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2(\displaystyle\frac{1}{2}x^2+\displaystyle\frac{1}{2x^2})^2}\)

\(=\displaystyle\frac{dx}{dt}\cdot(\displaystyle\frac{1}{2}x^2+\displaystyle\frac{1}{2x^2})\)
(∵ 条件より \(\displaystyle\frac{dx}{dt}≧0\)。また \(\displaystyle\frac{1}{2}x^2+\displaystyle\frac{1}{2x^2}>0\) )

条件より \(|\vec{v}|=\displaystyle\frac{1}{2}t\) だから
\(\displaystyle\frac{dx}{dt}\cdot(\displaystyle\frac{1}{2}x^2+\displaystyle\frac{1}{2x^2})=\displaystyle\frac{1}{2}t\)
よって
\((x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2})\displaystyle\frac{dx}{dt}=t\)・・・① (変数分離型の微分方程式)

両辺\(t\)で積分して
\(\displaystyle\int(x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2})\displaystyle\frac{dx}{dt}dt=\displaystyle\int tdt\)
左辺は置換積分により
\(\displaystyle\int(x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2})dx=\displaystyle\int tdt\)
\(C\)を定数として
\(\displaystyle\frac{1}{3}x^3-\displaystyle\frac{1}{x}=\displaystyle\frac{1}{2}t^2+C\)・・・②

ここで\(P\)の初期位置は \((1,\displaystyle\frac{2}{3})\) だから
\(t=0\) のとき \(x=1\)
よって②より
\(\displaystyle\frac{1}{3}-1=0+C\)
\(C=-\displaystyle\frac{2}{3}\)

したがって\(x,t\)の関係式は
\(\displaystyle\frac{1}{3}x^3-\displaystyle\frac{1}{x}=\displaystyle\frac{1}{2}t^2-\displaystyle\frac{2}{3}\)・・・③

 

(2)

(1)で求めた \(\vec{v}\) を利用して、まず\(x\)の値(平行になるときの\(x\)座標)を求めます。

(1)より
\(\vec{v}=\displaystyle\frac{dx}{dt}(1,\ \displaystyle\frac{1}{2}x^2-\displaystyle\frac{1}{2x^2})\)・・・④

\((x^2+\displaystyle\frac{1}{x^2})\displaystyle\frac{dx}{dt}=t\)・・・①
より、\(\displaystyle\frac{dx}{dt}=0\) となるのは \(t=0\) のみで、\(t>0\) のときは \(\displaystyle\frac{dx}{dt}≠0\)
よって、\(\vec{v}\)が ベクトル \((8,15)\) と平行になるのは\(t>0\)

\(\vec{v}\)がベクトル \((8,15)\) と平行になるとき④より
\(1:(\displaystyle\frac{1}{2}x^2-\displaystyle\frac{1}{2x^2})=8:15\)
\(4(x^2-\displaystyle\frac{1}{x^2})=15\)
両辺\(x^2\)倍して整理すると
\(4x^2-15x^2-4=0\)
\((4x^2+1)(x^2-4)=0\)

ここで、\(t=0\) のとき \(x=1\) であることと、\(\displaystyle\frac{dx}{dt}≧0\) より \(x≧1\) であるから、平行になるときの\(P\)の\(x\)座標は
\(x=2\)

ゆえに(1)の結果③より
\(\displaystyle\frac{8}{3}-\displaystyle\frac{1}{2}=\displaystyle\frac{1}{2}t^2-\displaystyle\frac{2}{3}\)
したがって
\(t^2=\displaystyle\frac{17}{3}\)
\(t=\sqrt{\displaystyle\frac{17}{3}}\) (\(t≠0\)を満たす)

\(\sqrt{\displaystyle\frac{17}{3}}\) 秒後

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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