極方程式と対称性・回転移動

極方程式の表す曲線の対称性や、曲線の回転移動について見ていきます。

極座標では角\(θ\)を用いて座標を表すので回転移動に強く、直線(座標軸)に対する対称移動も比較的しやすいです。一方平行移動は扱いにくくなっています。

 

・極方程式と対称性
極方程式 \(r=f(θ)\) で表された曲線の概形を描く際に、グラフの対称性を発見できると作業が楽になります。そこでグラフの対称性の判断方法について検討してみます。

極方程式 対称1

(1)始線について対称
\(f(θ)=f(-θ)\) が成り立つとき
\(r=f(θ)=f(-θ)\) より、始線について対称な \((r,θ)\) と \((r,-θ)\) がともに \(r=f(θ)\) 上にあることになるので \(r=f(θ)\) が始線について対称となります。

また、\((-r,π-θ)\) も \((r,-θ)\) と同じ点を表すので
\(f(θ)=-f(π-θ)\) が成り立つときも
\(r=f(θ)\)、\(-r=f(π-θ)\) より、始線について対称な \((r,θ)\) と \((-r,π-θ)\) がともに \(r=f(θ)\) 上にあることになるので、この場合も \(r=f(θ)\) が始線について対称となります。

(2)極を通る始線に垂直な直線について対称
(1)と同様の議論で
\(f(θ)=f(π-θ)\) が成り立つならば、\(r=f(θ)\) は極を通る始線に垂直な直線について対称となります。
また、 \(f(θ)=-f(-θ)\) が成り立つならば、同じく \(r=f(θ)\) は極を通る始線に垂直な直線について対称となります。

(3)極について対称
(1)と同様の議論で
\(f(θ)=f(θ+π)\) が成り立つならば、\(r=f(θ)\) は極について対称になります。

これらは \(F(r,θ)=0\) の形の極方程式にも応用できます。例えば \(F(r,-θ)=0\) が成り立てば、\(F(r,θ)=0\) は始線について対称です。

 

しかし以上の条件はあくまでも十分条件であることに注意です。それは \((r,-θ)\) を例に挙げると \((r,-θ+2kπ)\) (\(k\)は整数) も同じ点を表すからです。実際
\(r=f(θ)=\sin\displaystyle\frac{1}{2}θ\)
は、\(f(θ)=f(-θ)\) と \(f(θ)=-f(π-θ)\) のどちらも満たしませんが、

\(f(-θ+2π)=\sin\displaystyle\frac{1}{2}(-θ+2π)=\sin(π-\displaystyle\frac{1}{2}θ)=\sin\displaystyle\frac{1}{2}θ=f(θ)\)

となるので、始線について対称になります。

 

極方程式のままで詰まったら、直交座標に直すのも手段の1つです。

 

 

・極方程式と回転移動・対称移動
曲線 \(r=f(θ)\) を回転移動や対称移動した場合、その方程式がどうなるかは直交座標のときと同じようにして求めることができます。

(回転移動)
曲線 \(r=f(θ)\) を「極を中心として\(+α\)だけ回転移動」させた曲線の方程式は

\(r=f(θ-α)\)

\(F(r,θ)=0\) についても同様に、移動後の曲線の方程式は
\(F(r,θ-α)=0\)

極方程式 対称2

(証明)
\(r=f(θ)\)・・・① 上の点\((r,θ)\)として、この点の移動後の点を \((r’,θ’)\) とすれば
\(r’=r\)、\(θ’=θ+α\)
よって
\(r=r’\)、\(θ=θ’-α\)・・・②
②を①に代入して
\(r’=f(θ’-α)\)

変数を変えれば求める極方程式が得られる。
\(F(r,θ)=0\) 型についても同じ。

極方程式 対称3

これを利用すると、極を通る直線に関する対称性を調べることができます。
曲線 \(r=f(θ)\) が 直線 \(θ=α\) について対称かどうかは、まず \(r=f(θ)\) を極を中心として\(-α\) だけ回転移動すると
\(r=f(θ+α)\)
そうすると対称軸が始線に移るので、条件(十分条件)は
\(f(θ+α)=f(-θ+α)\)・・・③ など
になります。③は \(α\) を基準として\(±θ\)だけ動かしたとき\(r\)が変化しないことを表しているので、感覚的にも分かりやすい式になっています。

 

(対称移動)
対称移動についても、回転移動と同様に移動前後の関係式を用いると求めることができます。

極方程式 対称4

例として始線対称について検討すると
\(r=f(θ)\)・・・① 上の点を \((r,θ)\)、対称移動後の点を\((r’,θ’)\) とすると
\(r’=r\)、\(θ’=-θ\) だから
\(r=r’\)、\(θ=-θ’\)・・・②
②を①に代入すると、\(r=f(θ)\) を始線について対称移動した曲線の方程式は
\(r’=f(-θ’)\)
であり、変数を戻すと
\(r=f(-θ)\)
となります。\(F(r,θ)=0\) で表された曲線についても同様に
\(F(r,-θ)=0\)
となります。

\(r’=-r\)、\(θ’=π-θ\) として求めても構いません。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→極方程式と曲線の概形① back→極方程式②(2次曲線)

タイトルとURLをコピーしました