折り返しと最短距離

平面上の最短距離(直線図形)について見ていきます。

 

・最短距離と直線図形

折り返し 最短1

平面上での最短距離は、2点間を結ぶ線分に着目するのが基本です。上図で\(A\)から\(B\)への行き方は無数に存在しますが、最短になるような経路は\(AB\)を直線で結ぶ経路です。(三角不等式を使えばよい)

最短経路(円以外の直線図形)の基本パターンとしては次の通りです。

(対称移動型)

折り返し 最短2

\(A,B\)は固定された点で、直線\(l\)上を\(P\)が動くとします。\(A \to P \to B\) と進む経路で最も短いものを探すには、\(B\)(\(A\)でもよい)を\(l\)について対称移動させればよいです。すると元々\(l\)について同じ側にあった\(A,B\)が反対側に位置するので折れ線を解消できます。つまり
\(AP+PB=AP+PB’\)
より、\(A,B’\)の最短経路を考えればよく、線分\(AB’\)と\(l\)の交点を\(P’\)とすれば\(A \to P’ \to B\)が最短経路になります。

 

(平行移動型)

折り返し 最短3

\(A,B\)は固定された点で、図の川を渡るときは川岸に垂直に移動しなければならないとして、\(A \to B\)の最短経路を考えます。垂直方向の移動は必ずしなければならないので、\(B\)からその分\(L\)だけ平行移動した点を\(B’\)とします。そうすると\(A,B’\)の移動を考えればよくなります。川を渡る箇所の川岸を\(P,Q\)とすれば、四角形\(PQBB’\)は平行四辺形になるので
\(AP+PQ+QB=AP+L+PB’\)
より、\(A,P,B’\)が一直線上にあれば\(AP+PB’\)は最小となるので、図の赤色の経路\(A \to P \to Q \to B\)が最短経路になります。

(\(A\)を平行移動してもよいです)

 

その他にも、動点が複数ある場合には一部をとりあえず固定して後で動かすという方法も有効です。

 

 

(例題)
図のような \(\angle A=60°\) の鋭角三角形\(ABC\)がある。辺\(BC\)上に点\(P\)、辺\(AB,AC\)上に点\(Q,R\)があるとする。

折り返し 最短 例題1

(1)点\(P\)は定点、点\(Q,R\)は辺上を動く動点とする。\(AP=6\) のとき\(△PQR\)の周長の最小値を求めよ。
(2)点\(P\)も動点とするとき、\(△PQR\)の周長が最小となるときの点\(P,Q,R\)の位置を求めよ。

 

(解答)
(1)

折れ線になっているので、対称移動して直線で考えられるようにします。

折り返し 最短 例題1-2

\(P\)の\(AB,AC\)に対する対称な点を\(P_1,P_2\)とする。
\(PQ+QR+RP=P_1Q+QR+RP_2\)
となるから、周長が最小となるとき\(P_1,Q,R,P_2\)が一直線上にある。(図の\(Q’,R’\))・・・(注)

\(△AP_1P_2\)において ×+▲=60° だから、\(P_1,P_2\)が\(P\)の対称点であることに着目すると
\(\angle P_1AP_2=120°\)、\(AP_1=AP_2=6\)

周長の最小値は\(P_1P_2\)の長さだから余弦定理より・・・(注)

\(P_1P_2=\sqrt{6^2+6^2-2\cdot6\cdot6\cdot\cos120°}\)

\(=6\sqrt{3}\)

 

(注)
動点が\(Q,R\)の2つですが、片方\(R\)を固定すると経路を小さくするには
「\(P_1,Q,R\)が一直線上」
となるようにすればよく(\(R\)を決めれば\(Q\)は\(P_1R\)上の点に決まる)、さらに\(R\)を動すとき
「\(P_1,R,P_2\)が一直線上」
となるようにすればよいので、4点が一直線上にあることになります。

また、余弦定理を使わなくても\(A\)から\(P_1P_2\)に垂線を下ろせば、\(30°,60°,90°\)の直角三角形を2つ合わせた形になることから、\(P_1P_2\)の長さを求めることができます。

 

(2)

\(AP\)を\(x\)とおけば、同様に\(P_1P_2\)を\(x\)で表すことができます。(相似な三角形になるだけ)
\(x\)を小さくすれば周長が小さくなるので、\(AP\)は垂線になることが分かります。今、\(P\)を最初に固定して動かすという方法をとっていますが、他の点\(Q,R\)でも同じことが言えるはずです。

折り返し 最短 例題1-3

\(AP=x\) とすると(1)と同様に考えて周長の最小値は
\(P_1P_2=\sqrt{3}x\)
となる。よって\(x\)が最小値をとるとき周長は最小値となるので、このとき\(AP\)は\(BC\)に対する垂線となり、\(Q,R\)は1通りに決定される。
ここで、\(Q\)または\(R\)を最初に固定しても同様の結果が得られるため、\(CQ\)も\(BR\)も、それぞれ\(AB,AC\)に対する垂線となる。
よって、\(P,Q,R\)の位置は頂点\(A,C,B\)から対辺に下ろした垂線の足になる。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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