今回からは組合せについて学んでいきます。
リレーに参加する人を4人選ぶ。
走る順番は決めずに、\(A,B,C,D,E\)の5人から4人選ぶ方法は何通りあるか。
\(\{A,B,C,D\}\), \(\{A,C,D,E\}\), \(\{A,B,D,E\}\), \(\{A,B,C,E\}\), \(\{B,C,D,E\}\)
の5通りとなります。
一般に、\(n≧r\)のとき、\(n\)個の異なるものから順序を考慮しないで異なる\(r\)個を取り出して1組としたものを、「\(n\)個のものから\(r\)個を取り出した組合せ」といい、その組合せの総数を \({}_n\mathrm{C}_r\) と表します。上の例では、5個から4個を取り出した組合せになるので、\({}_5\mathrm{C}_4=5\) となります。
上の組合せの1つ目の\(\{A,B,C,D\}\)を順序をつけて並べたものは、\(4!\)通りあります。他の組についても同じく順序をつけて並べたものはそれぞれ\(4!\)通りあるので、全体では \({}_5\mathrm{C}_4×4!\)通りの順列が得られます。この順列の総数は、5個から4個取った順列の総数 \({}_5\mathrm{P}_4\)なので、
\({}_5\mathrm{C}_4×4!\)\(={}_5\mathrm{P}_4\)
つまり
\({}_5\mathrm{C}_4\)\(=\displaystyle\frac{{}_5\mathrm{P}_4}{4!}\)\(=\displaystyle\frac{5\cdot4\cdot3\cdot2}{4\cdot3\cdot2\cdot1}\)\(=5\)
と計算できます。
同様に考えると、一般的に、\(n\)個のものから\(r\)個を取り出した組合せ \({}_n\mathrm{C}_r\) について
\({}_n\mathrm{C}_r×r!={}_n\mathrm{P}_r\) が成り立つので
\({}_n\mathrm{C}_r=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_r}{r!}\)\(=\displaystyle\frac{n(n-1)(n-2)・・・(n-r+1)}{r(r-1)・・・3・2・1}\)
となります。
また、\({}_n\mathrm{P}_r=\displaystyle\frac{n!}{(n-r)!}\) だから
\({}_n\mathrm{C}_r=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_r}{r!}\)\(=\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
と表すこともできます。
①\({}_n\mathrm{C}_r=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_r}{r!}\)\(=\displaystyle\frac{n(n-1)(n-2)・・・(n-r+1)}{r(r-1)・・・3・2・1}\)
②\({}_n\mathrm{C}_r\)\(=\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
\({}_n\mathrm{C}_n\)\(=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_n}{n!}=\)\(1\)
\({}_n\mathrm{C}_0\)\(=\displaystyle\frac{n!}{0!×n!}\)\(=1\) となるので、\({}_n\mathrm{C}_0=1\) と定めます。
また、\(n=r=0\) のとき
\({}_0\mathrm{C}_0\)\(=\displaystyle\frac{0!}{0!×0!}\)\(=1\)となるので、\({}_0\mathrm{C}_0=1\) と定めます。
冷蔵庫にプリンとケーキとシュークリームがあって、おやつに何か食べようと考えたときに、ダイエットしているから食べないという選択をすることもありますね。
\({}_n\mathrm{C}_r\)には以下の性質があります。
② \({}_n\mathrm{C}_r\)\(={}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}+{}_{n-1}\mathrm{C}_{r}\) (\(1≦r≦n-1\))
③ \(r・{}_n\mathrm{C}_r\)\(=n・{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\) (\(1≦r≦n\))
\(n\)個から\(r\)個取るということは、あとに残す(取らない)\(n-r\)個を選ぶことと同じ。
\({}_5\mathrm{C}_4\)\(={}_5\mathrm{C}_1\)
丁寧に証明をすると、以下の通り。
\({}_n\mathrm{C}_{n-r}\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{(n-r)!\{n-(n-r)\}!}\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{(n-r)!・r!}\)
\(={}_n\mathrm{C}_r\)
\(n\)個から\(r\)個取るということは、\(n\)個のうち1つの特定の\(A\)に着目して
(2)特定の\(A\)が\(r\)個に含まれない場合、残りの\(n-1\)個から\(r\)個選ぶことになる。
\({}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}+{}_{n-1}\mathrm{C}_{r}\)
\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\)\(+\displaystyle\frac{(n-1)!}{r!(n-r-1)!}\)
\(=\displaystyle\frac{r(n-1)!}{r(r-1)!(n-r)!}\)\(+\displaystyle\frac{(n-r)(n-1)!}{r!(n-r)(n-r-1)!}\) (通分しているだけです)
\(=\displaystyle\frac{r(n-1)!}{r!(n-r)!}\)\(+\displaystyle\frac{(n-r)(n-1)!}{r!(n-r)!}\)
\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{r!(n-r)!}(r+n-r)\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
\(={}_n\mathrm{C}_r\)
③について
\(n\)人の国民から、\(1\)人の大統領と\(r-1\)人の委員を選ぶ方法を考えます。
(1)\(n\)人から\(r\)人の委員を選んで、その\(r\)人から\(1\)人の大統領を選ぶ。
(2)\(n\)人から\(1\)人の大統領を選んで、残り\(n-1\)人から\(r-1\)人の委員を選ぶ。
(1)(2)ともに、\(n\)人の国民から、\(1\)人の大統領と\(r-1\)人の委員を選ぶ方法なので、(1)(2)の場合の数は同じになります。式にすると
\({}_n\mathrm{C}_r×{}_r\mathrm{C}_1\)\(={}_n\mathrm{C}_1×{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\)
よって
\(r・{}_n\mathrm{C}_r\)\(=n・{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\)
丁寧に証明をすると以下の通りです。
\(r・{}_n\mathrm{C}_r\)
\(=r・\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
\(=\displaystyle\frac{n(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\) (\(r\)を約分、分子は\(n\)をつまみ出す)
\(=n・\displaystyle\frac{(n-1)!}{(r-1)!\{(n-1)-(r-1)\}!}\)
\(=n・{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\)
具体的な基本問題については次回解いてみます。
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。