円の接線の方程式③

円の接線の方程式に関する発展的な問題について見ていきます。

 

(例題)
\(xy\)平面上の円周 \(x^2+y^2=1\) 上の接線\(l\)に、定点\(P(p,0)\),\(Q(-q,0)\) \((1<q<p)\) から引いた垂線の足をそれぞれ\(R,S\)とする。
(1)\(PR^2+QS^2\)の最小値を求めよ。
(2)\(PR+QS\)を最小にする接線\(l\)を求めよ。

 

 

接点を\((s,t)\)として始めてみます。

(解答)
(1)

円の接線 応用例題1

接点を\((s,t)\)とおくと、円上の点なので
\(s^2+t^2=1\),  (\(-1≦s≦1\))

また接線の方程式は \(sx+ty=1\) (\(sx+ty-1=0\)) より

\(PR=\displaystyle\frac{|sp-1|}{\sqrt{s^2+t^2}}\)\(=|sp-1|\)
\(QS=\displaystyle\frac{|-sq-1|}{\sqrt{s^2+t^2}}\)\(=|sq+1|\)

よって
\(PR^2+QS^2\)
\(=(sp-1)^2+(sq+1)^2\)

\(P,Q\)は定点より\(p,q\)は定数なので、\(s\)(円上の定まっていない点より変数)について整理します。

\(=(p^2+q^2)s^2-2(p-q)s+2\) (\(s\)の2次関数なので平方完成します)
\(=(p^2+q^2)(s^2-\displaystyle\frac{2(p-q)}{p^2+q^2}s)+2\)
\(=(p^2+q^2)(s-\displaystyle\frac{p-q}{p^2+q^2})^2\)\(-\displaystyle\frac{(p-q)^2}{p^2+q^2}\)\(+2\)
\(=(p^2+q^2)(s-\displaystyle\frac{p-q}{p^2+q^2})^2\)\(+\displaystyle\frac{p^2+2pq+q^2}{p^2+q^2}\)
(ただし \(-1≦s≦1\))

 

2次関数の最小値なので、軸 \(\displaystyle\frac{p-q}{p^2+q^2}\)がどの範囲にあるかを検討します。
まず、\(p>q\)より 軸\(>0\)
さらに、\(p,q\)は1より大きい数なので、2乗の和になっている分母の方が大きくなりそうなので軸は\(1\)より小さくなりそうです。
解答では丁寧に \(p^2+q^2\) と \(p-q\)の大小を確かめてみて、\(p^2+q^2\)のほうが大きいことを示しておきます。

ここで、\(p>q\)より
\(\displaystyle\frac{p-q}{p^2+q^2}>0\)
また
\(p^2+q^2-(p-q)\)
\(=p(p-1)+q^2+q\)\(>0\) (\(p>1,q>1\) より)
よって \(p^2+q^2>p-q\) であり、\(p^2+q^2>0\)より
\(\displaystyle\frac{p-q}{p^2+q^2}<1\)

ゆえに 軸が\(-1≦s≦1\)の範囲内にあるので
最小値は \(\displaystyle\frac{p^2+2pq+q^2}{p^2+q^2}\)

 

(2)
(1)より
\(PR+QS=|ps-1|+|qs+1|\) (\(-1≦s≦1\))

今度は絶対値を含む\(s\)の1次関数です。(\(p,q\)は定数)
境目は \(\displaystyle\frac{1}{p}\)と \(-\displaystyle\frac{1}{q}\) で、\(-1<-\displaystyle\frac{1}{q}\)\(<\displaystyle\frac{1}{p}\)\(<1\) なので
①\(-1≦s≦-\displaystyle\frac{1}{q}\) ②\(-\displaystyle\frac{1}{q}≦s≦\displaystyle\frac{1}{p}\) ③\(\displaystyle\frac{1}{p}≦s≦1\)
で場合分けします。
円の接線 発展例題 場合分け

①\(-1≦s≦-\displaystyle\frac{1}{q}\) のとき
\(ps-1<0\), \(qs+1≦0\) より
\(PR+QS\)\(=-(ps-1)-(qs+1)\)\(=-(p+q)s\)
傾き\(-(p+q)\)は負の値なので、常に減少(右下がりのグラフ)

②\(-\displaystyle\frac{1}{q}≦s≦\displaystyle\frac{1}{p}\) のとき
\(ps-1≦0\), \(qs+1≧0\) より
\(PR+QS\)\(=-(ps-1)+(qs+1)\)\(=-(p-q)s+2\)
傾き\(-(p-q)s+2\)は負の値なので、常に減少(右下がりのグラフ)

③\(\displaystyle\frac{1}{p}≦s≦1\)のとき
\(ps-1≧0\), \(qs+1>0\) より
\(PR+QS\)\(=(ps-1)+(qs+1)\)\(=(p+q)s\)
傾き\(p+q\)は正の値なので、常に増加(右上がりのグラフ)

①~③より\(PR+QS\)のグラフは次のようになる。

接線の方程式 応用例題 折れ線グラフ

ゆえに 最小値をとるとき \(s=\displaystyle\frac{1}{p}\)

このとき \(s^2+t^2=1\) より
\(t=±\sqrt{1-\displaystyle\frac{1}{p^2}}\)

したがって接線の方程式は
\(\displaystyle\frac{1}{p}x±\sqrt{1-\displaystyle\frac{1}{p^2}}y=1\)

 

出てきた2本の接線(\(x\)軸対称)は両方答えとなります。なぜなら対称性から一方の接点\((s,t)\)の接線に対して、\(x\)軸対称な点\((s,-t)\)における接線も条件が同じになるからです。
ちなみに\(\displaystyle\frac{1}{p}x±\sqrt{1-\displaystyle\frac{1}{p^2}}y=1\) を図示すると次の通りです。この接線は\(P(p,0)\)を通ります。
接線 折れ線 最小値 図

 

 

少し難しかったでしょうか。じっくり考えて理解しましょう。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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