約数の個数と総和と総乗

 

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約数に関する問題について見ていきましょう。

 

(例題1)
\(504\)の正の約数について
(1)約数はいくつあるか。
(2)約数の総和を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

\(504\)を素因数分解すると、\(504=2^3・3^2・7\) です。
\(504\)の約数はこの掛け合わせされている数の全部または一部を取り出したものの積となるので、(正の約数は、その数を割り切れる正の整数なので、\(504\)も\(1\)も約数)
正の約数を、\(2^k・3^l・7^m\) (\(k,l,m\)は整数)と表したときに、\(k,l,m\)はそれぞれ、\(0≦k≦3\), \(0≦l≦2\), \(0≦m≦1\) の範囲を動きます。(ただし正の数\(a\)について \(a^0=1\) とします。(数Ⅱ、指数関数))
\((k,l,m)\)の取り方だけ約数があるので、
\(k\)の取り方は4通り、\(l\)の取り方は3通り、\(m\)の取り方は2通りより、積の法則より答えが求まります。
\(504=2^3・3^2・7\) であるから、
正の約数を \(2^k・3^l・7^m\) とすると
\(0≦k≦3\), \(0≦l≦2\), \(0≦m≦1\) (\(k,l,m\)は整数) である。
\((k,l,m)\)の取り方だけ約数があるので、求める個数は
\(4×3×2=\)\(24\)(個)

 

\(4×3×2=(3+1)(2+1)(1+1)\) なので、素因数分解したときの指数に1を足したものを掛け合わせたものが約数の個数となります。
一般に、正の整数\(N\)が、\(N=p^kq^lr^m\)  と素因数分解されるとき、約数の個数は
\((k+1)(l+1)(m+1)\)個
となります。

 

 

(2)

24個の約数の和を求めることになります。まともに計算するのは大変なので、次の形の式を考えます。

\((1+2+2^2+2^3)\)\((1+3+3^2)(1+7)\)・・・(※)

この式は、例えば1つめの和は、正の約数を \(2^k・3^l・7^m\) としたとき、\(2\)の指数がとりうる値 (\(k=0,1,2,3\)) で\(2^k\)の和をとったものになります。
この式を展開すると、\(4×3×2=24\)(個)の項が表れ、どの項も\(504\)の正の約数となっていて、それぞれの項の値は違うので、(※)はすべての約数の和となっています。

\(504\)の正の約数は
\((1+2+2^2+2^3)\)\((1+3+3^2)(1+7)\) を展開した項にすべて現れる。
よって求める和は
\((1+2+2^2+2^3)\)\((1+3+3^2)(1+7)\)
\(=15×13×8=\)\(1560\)

 

 

一般に、正の整数\(N\)が、\(N=p^kq^lr^m\)  と素因数分解されるとき、約数の総和は

\((1+p+p^2+・・・+p^k)\)×\((1+q+q^2+・・・+q^l)\)×\((1+r+r^2+・・・+r^m)\)

となります。

 

 

 

(例題2)
\(60\)の全ての正の約数の積は\(60^n\)と表される。このとき\(n\)の値を求めよ。

 

 

\(60=2^2・3・5\)なので、約数の個数は \(3・2・2=12\)個です。
全ての約数の積\(P\)は
\(P=1×2×3×4×5×6\)\(×10×12×15×20×30×60\)
なので、これらのうち \(2,3,5\)が何回掛けられているかを調べてもよいですが、解答では違う解法でやってみます。
(解答)
全ての約数の積を\(P\)とすると、
\(P=1×2×3×4×5×6\)\(×10×12×15×20×30×60\)・・・①
また掛ける順番を変えると
\(P=60×30×20×15×12×10\)\(×6×5×4×3×2×1\)・・・②
よって、①②の辺々を掛けると
\(P^2=(1×60)(2×30)(3×20)\)\(・・・(30×2)(60×1)\)
約数の数は\(12\)個だから
\(P^2=(60)^{12}\)
\(P>0\)だから
\(P=60^6\) となり、 \(n=6\)

 

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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