順列の基礎

 

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次の問題について考えてみます。

 

リレーの走者を4人選ぶ。
\(A,B,C,D,E\)の5人から、4人を選んで第1,2,3,4走者を選ぶ方法は何通りあるか。
第1走者を決める方法は、5人の中から1人選ぶので、5通り。
第2走者を決める方法は、最初に選んだ人を除いた4人から1人選ぶので、4通り。
第3走者を決める方法は、第1,2走者を除いた3人から1人選ぶので、3通り。
第4走者を決める方法は、第1,2,3走者を除いた2人から1人選ぶので、2通り。

 

第1走者の決め方(5通り)各々に対して第2走者の決め方が4通りあり、
第2走者の決め方(4通り)各々に対して第3走者の決め方が3通りあり、
第3走者の決め方(3通り)各々に対して第4走者の決め方が2通りあるので、
積の法則により、求める選ぶ方法は
\(5×4×3×2=120\)(通り) となります。

 

\(A,B,C,D,E\)の5人から、4人を選んで第1,2,3,4走者を決める方法の総数は、
\(A,B,C,D,E\)の5個から、4個を選んで順序をつけて並べる方法の総数と同じことです。

 

いくつかのものを順序をつけて1列に並べた結果、あるいはその並べ方を順列といいます。この例では異なる5個のものから異なる4個をとって1列に並べる順列ということになりますが、これを「5個のものから4個をとる順列」といい、また、その総数120通りを記号\(\mathrm{P}\)を用いて、\({}_5\mathrm{P}_4\) と表します。

\(\mathrm{P}\)は、permutation(順列)の頭文字です。

 

 

今の例をもとに一般的な場合について考えていきます。
つまり、\(n\)個の異なるものから異なる\(r\)個を取り出して1列に並べる順列の総数、\({}_n\mathrm{P}_r\)について考えます。(ただし、\(n≧r\)とします。)

 

1番目の選び方は、\(n\)通り。
2番目の選び方は、残りが\(n-1\)個なので、\(n-1\)通り。
3番目の選び方は、残りが\(n-2\)個なので、\(n-2\)通り。
繰り返して
\(r\)番目の選び方は、すでに\(r-1\)個選んだので、残りが\(n-(r-1)\) 個。よって\(n-r+1\)通り。

 

以上より
\({}_n\mathrm{P}_r\)
\(=n(n-1)(n-2)\)\(・・・(n-r+2)(n-r+1)\)
となります。また、特に\(r=n\)のとき(\(n\)個の中から\(n\)個をとる順列)について
\({}_n\mathrm{P}_n\)
\(=n(n-1)(n-2)\)\(・・・3・2・1\) であり、1から\(n\)までの自然数の積となり、これを\(n\)の階乗とよびます。また\(n\)の階乗を\(n!\)と表します。(\({}_n\mathrm{P}_n=\)\(n!\) )

 

\(!\)を使って\({}_n\mathrm{P}_r\)を変形すると、\(n>r\)のとき
\({}_n\mathrm{P}_r\)
\(=n(n-1)・・・(n-r+1)\)\(\displaystyle\frac{(n-r)!}{(n-r)!}\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{(n-r)!}\)
となり、\(r=n\)を代入すると \(n!=\displaystyle\frac{n!}{0!}\) だから、等式が成り立つように、\(0!=1\) と定めます。同様に、\(r=0\)のとき \({}_n\mathrm{P}_0\)\(=\displaystyle\frac{n!}{n!}=1\) だから、\({}_n\mathrm{P}_0=1\) と定めます。

 

 

(例題)
6個の整数、\(1,2,3,4,5,6\)から異なる3個を取り出して1列に並べる。
(1)できる3桁の整数は何個あるか。
(2)(1)のうち偶数は何個あるか。
(3)(1)のうち4の倍数は何個あるか。
(4)(1)のうち5の倍数は何個あるか。

 

(解答)
(1)
3桁の整数の総数は \({}_6\mathrm{P}_3\)\(=6・5・4=\)\(120\)(個)

(2)
一の位が偶数であればよいので、一の位は\(2,4,6\)のいずれか。
十と百の位は、一の位で使った数字以外の5個から2個とる順列を考えればよいので、
\(3×{}_5\mathrm{P}_2=3・5・4=\)\(60\)(個)

(3)
下2桁が4の倍数であればよいので、書き上げると
\(12,16,24,32\)\(,36,52,56,64\) の\(8\)通り。
百の位は下2桁で使った数字以外の4個から1個選べばよいので、
\(4×8=\)\(32\)(個)

(4)
一の位が\(5\)であればよい。十、百の位は5以外の5個から2個とる順列を考えると、
\({}_5\mathrm{P}_2=5・4=\)\(20\)(個)

 

倍数の判定法については、整数の分野でまた扱います。

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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