組合せの基礎①(理論)

 

→高校数学TOP

 

 

今回からは組合せについて学んでいきます。

 

(例)
リレーに参加する人を4人選ぶ。
走る順番は決めずに、\(A,B,C,D,E\)の5人から4人選ぶ方法は何通りあるか。
順列では走る順番も決めましたが、今回は走る順番は決めずに参加する人だけを決めます。選び方を書き出すと
\(\{A,B,C,D\}\), \(\{A,C,D,E\}\), \(\{A,B,D,E\}\), \(\{A,B,C,E\}\), \(\{B,C,D,E\}\)
の5通りとなります。

 

一般に、\(n≧r\)のとき、\(n\)個の異なるものから順序を考慮しないで異なる\(r\)個を取り出して1組としたものを、「\(n\)個のものから\(r\)個を取り出した組合せ」といい、その組合せの総数を \({}_n\mathrm{C}_r\) と表します。上の例では、5個から4個を取り出した組合せになるので、\({}_5\mathrm{C}_4=5\) となります。

\(\mathrm{C}\)は、combination(組合せ)の頭文字です。

 

例では、実際に書き出して組合せの総数を数えましたが、次のように考えることで計算で求めることができます。

 

上の組合せの1つ目の\(\{A,B,C,D\}\)を順序をつけて並べたものは、\(4!\)通りあります。他の組についても同じく順序をつけて並べたものはそれぞれ\(4!\)通りあるので、全体では \({}_5\mathrm{C}_4×4!\)通りの順列が得られます。この順列の総数は、5個から4個取った順列の総数 \({}_5\mathrm{P}_4\)なので、

\({}_5\mathrm{C}_4×4!\)\(={}_5\mathrm{P}_4\)
つまり
\({}_5\mathrm{C}_4\)\(=\displaystyle\frac{{}_5\mathrm{P}_4}{4!}\)\(=\displaystyle\frac{5\cdot4\cdot3\cdot2}{4\cdot3\cdot2\cdot1}\)\(=5\)
と計算できます。

 

同様に考えると、一般的に、\(n\)個のものから\(r\)個を取り出した組合せ \({}_n\mathrm{C}_r\) について

\({}_n\mathrm{C}_r×r!={}_n\mathrm{P}_r\) が成り立つので
\({}_n\mathrm{C}_r=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_r}{r!}\)\(=\displaystyle\frac{n(n-1)(n-2)・・・(n-r+1)}{r(r-1)・・・3・2・1}\)

となります。

また、\({}_n\mathrm{P}_r=\displaystyle\frac{n!}{(n-r)!}\) だから

\({}_n\mathrm{C}_r=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_r}{r!}\)\(=\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)

と表すこともできます。

 

\(n≧r\)のとき
①\({}_n\mathrm{C}_r=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_r}{r!}\)\(=\displaystyle\frac{n(n-1)(n-2)・・・(n-r+1)}{r(r-1)・・・3・2・1}\)

②\({}_n\mathrm{C}_r\)\(=\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
特に\(r=n\)のときは
\({}_n\mathrm{C}_n\)\(=\displaystyle\frac{{}_n\mathrm{P}_n}{n!}=\)\(1\)
となります。
\(n\)個から\(n\)個選ぶ、つまり全部選ぶ方法は1通りです。
なお、\(r=0\)のとき
\({}_n\mathrm{C}_0\)\(=\displaystyle\frac{n!}{0!×n!}\)\(=1\) となるので、\({}_n\mathrm{C}_0=1\) と定めます。
また、\(n=r=0\) のとき
\({}_0\mathrm{C}_0\)\(=\displaystyle\frac{0!}{0!×0!}\)\(=1\)となるので、\({}_0\mathrm{C}_0=1\) と定めます。

 

\({}_n\mathrm{C}_0=1\)は0個選ぶ方法が1通り、つまり1個も選ばない方法も1通りと考えるということで、これは意外と自然な考え方です。
冷蔵庫にプリンとケーキとシュークリームがあって、おやつに何か食べようと考えたときに、ダイエットしているから食べないという選択をすることもありますね。

 

・組合せ\({}_n\mathrm{C}_r\)の性質
\({}_n\mathrm{C}_r\)には以下の性質があります。

\({}_n\mathrm{C}_r\)\(={}_n\mathrm{C}_{n-r}\) (\(0≦r≦n\))
\({}_n\mathrm{C}_r\)\(={}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}+{}_{n-1}\mathrm{C}_{r}\) (\(1≦r≦n-1\))
\(r・{}_n\mathrm{C}_r\)\(=n・{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\) (\(1≦r≦n\))
順番に見ていきましょう。①が一番大事な公式です。

 

①について
\(n\)個から\(r\)個取るということは、あとに残す(取らない)\(n-r\)個を選ぶことと同じ。
上の例 \({}_5\mathrm{C}_4\) では、\(5\)人から\(4\)人リレーの参加者を選ぶということは、参加しない\(1\)人((\(5-4\))人)を選ぶことと同じなので、
\({}_5\mathrm{C}_4\)\(={}_5\mathrm{C}_1\)

 

丁寧に証明をすると、以下の通り。
\({}_n\mathrm{C}_{n-r}\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{(n-r)!\{n-(n-r)\}!}\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{(n-r)!・r!}\)
\(={}_n\mathrm{C}_r\)

 

 

②について
\(n\)個から\(r\)個取るということは、\(n\)個のうち1つの特定の\(A\)に着目して

 

(1)特定の\(A\)が\(r\)個に含まれる場合、残りの\(n-1\)個から\(r-1\)個選ぶことになる。
(2)特定の\(A\)が\(r\)個に含まれない場合、残りの\(n-1\)個から\(r\)個選ぶことになる。

 

(1)(2)の総数が \({}_n\mathrm{C}_r\) だから
\({}_n\mathrm{C}_r\)\(={}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}+{}_{n-1}\mathrm{C}_{r}\)

 

丁寧に証明をすると、以下の通りです。

\({}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}+{}_{n-1}\mathrm{C}_{r}\)

\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\)\(+\displaystyle\frac{(n-1)!}{r!(n-r-1)!}\)

\(=\displaystyle\frac{r(n-1)!}{r(r-1)!(n-r)!}\)\(+\displaystyle\frac{(n-r)(n-1)!}{r!(n-r)(n-r-1)!}\) (通分しているだけです)

\(=\displaystyle\frac{r(n-1)!}{r!(n-r)!}\)\(+\displaystyle\frac{(n-r)(n-1)!}{r!(n-r)!}\)

\(=\displaystyle\frac{(n-1)!}{r!(n-r)!}(r+n-r)\)

\(=\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)

\(={}_n\mathrm{C}_r\)

 

 

③について
\(n\)人の国民から、\(1\)人の大統領と\(r-1\)人の委員を選ぶ方法を考えます。

(1)\(n\)人から\(r\)人の委員を選んで、その\(r\)人から\(1\)人の大統領を選ぶ。
(2)\(n\)人から\(1\)人の大統領を選んで、残り\(n-1\)人から\(r-1\)人の委員を選ぶ。

(1)(2)ともに、\(n\)人の国民から、\(1\)人の大統領と\(r-1\)人の委員を選ぶ方法なので、(1)(2)の場合の数は同じになります。式にすると

\({}_n\mathrm{C}_r×{}_r\mathrm{C}_1\)\(={}_n\mathrm{C}_1×{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\)
よって
\(r・{}_n\mathrm{C}_r\)\(=n・{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\)

 

丁寧に証明をすると以下の通りです。
\(r・{}_n\mathrm{C}_r\)
\(=r・\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}\)

\(=\displaystyle\frac{n(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\) (\(r\)を約分、分子は\(n\)をつまみ出す)

\(=n・\displaystyle\frac{(n-1)!}{(r-1)!\{(n-1)-(r-1)\}!}\)

\(=n・{}_{n-1}\mathrm{C}_{r-1}\)

 

 

 

具体的な基本問題については次回解いてみます。

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

→高校数学TOP next→組合せの基礎② back→完全順列

タイトルとURLをコピーしました