対数関数の微分

対数関数の微分について見ていきます。

 

・対数関数の導関数(ネイピア数\(e\)への収束)
底を\(a\)(\(1\)ではない正の定数)とする対数関数
\(f(x)=\log_{a}x\)
の導関数を微分の定義により求めてみると

\(f'(x)=\displaystyle\lim_{Δx \to 0}\displaystyle\frac{\log_{a}(x+Δx)-\log_{a}x}{Δx}\)

\(=\displaystyle\lim_{Δx \to 0}\displaystyle\frac{1}{Δx}\cdot\log_{a}(\displaystyle\frac{x+Δx}{x})\)

\(=\displaystyle\lim_{Δx \to 0}\displaystyle\frac{1}{Δx}\cdot\log_{a}(1+\displaystyle\frac{Δx}{x})\)

(見やすくするために \(\displaystyle\frac{Δx}{x}=h\) とおくと、\(Δx→0\) のとき \(h \to 0\) になるから)

\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{1}{x}\cdot\displaystyle\frac{1}{h}\log_{a}(1+h)\)

\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{1}{x}\cdot\log_{a}(1+h)^{\frac{1}{h}}\)・・・(i)

よって次の極限
\(\displaystyle\lim_{h \to 0}(1+h)^{\frac{1}{h}}\)・・・①
が分かれば、導関数も分かることになります。

この極限①は収束することが知られていて(注)、その値は\(0\)に近い値を代入することにより
\(2.71828・・・\)という値になることが分かっています。そこでこの極限値を\(e\)(ネイピア数とも呼ばれる)として表記します。

\(e=\displaystyle\lim_{h \to 0}(1+h)^{\frac{1}{h}}\)・・・②
具体的には \(e=2.71828・・・\)  (「似てないや」で覚えるとよい。なお無理数である)

②は両側極限が一致していることを表していますが、\(h \to +0\) と \(h \to -0\) に分けて、\(h=\displaystyle\frac{1}{n}\) と変換すると、次のように表すこともできます。

\(e=\displaystyle\lim_{n \to \infty}(1+\displaystyle\frac{1}{n})^n=\displaystyle\lim_{n \to -\infty}(1+\displaystyle\frac{1}{n})^n\)

この極限値は形式上では \(1^{\infty}\ (1^{-\infty})\) (不定形)の形になっています。
(注)の収束性に関しては高校範囲では収束することを知識としておさえておけばよいです。

 

ここで(i)について底を\(e\)にすれば、\(\log_{e}e=1\) となることから、対数関数では底を\(e\)とする場合がとても多いです。\(e\)を底とする対数は自然対数とよばれ、\(e\)を省略して単に\(\log x\) と表記されます。

したがって(i)より対数関数の導関数は次のようになります。
\((\log x)’=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{1}{x}\cdot\log(1+h)^{\frac{1}{h}}=\displaystyle\frac{1}{x}\log e=\)\(\displaystyle\frac{1}{x}\)

\((\log_{a} x)’=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{1}{x}\cdot\log_{a}(1+h)^{\frac{1}{h}}=\displaystyle\frac{1}{x}\log_{a} e=\)\(\displaystyle\frac{1}{x\log a}\) (最後は底を変換した)

または、自然対数の導関数を微分の定義から
\((\log x)’=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{1}{x}\cdot\log(1+h)^{\frac{1}{h}}=\)\(\displaystyle\frac{1}{x}\)
と求めてから、底を\(a\)とする対数の導関数は、底の変換により
\((\log_{a}x)’=(\displaystyle\frac{\log x}{\log a})’=\)\(\displaystyle\frac{1}{x\log a}\)
と求めてもよいです。

(対数関数の導関数1)
\((\log x)’=\displaystyle\frac{1}{x}\)、\((\log_{a}x)’=\displaystyle\frac{1}{x\log a}\)

 

そして、\(f(x)=\log|x|\) の導関数についても場合分けすることにより

\(x>0\) のとき
\(f'(x)=(\log x)’=\displaystyle\frac{1}{x}\)

\(x<0\) のとき
合成関数の微分を利用して
\(f'(x)=\{\log(-x)\}’=\displaystyle\frac{1}{-x}\cdot(-1)=\displaystyle\frac{1}{x}\)

となるので、同じ式になります。\(f(x)=\log_{a}|x|\) も同様です。

(対数関数の導関数2)
\((\log |x|)’=\displaystyle\frac{1}{x}\)、\((\log_{a}|x|)’=\displaystyle\frac{1}{x\log a}\)

 

 

 

(例題)次の関数を微分せよ。
(1)\(y=(\log x)^3\)

(2)\(y=\log_{10}(-x^2+4x-3)\)

(3)\(y=\displaystyle\frac{\log x}{x^2}\)

(4)\(y=\log(\log x)\)

(5)\(y=\log\sqrt{1+\sin^2x}\)

 

(解答)
(1)
\(y=(\log x)^3\)
\(y’=3(\log x)^2\cdot(\log x)’=\)\(\displaystyle\frac{3(\log x)^2}{x}\)

(2)
\(y=\log_{10}(-x^2+4x-3)=\displaystyle\frac{\log(-x^2+4x-3)}{\log 10}\) より

\(y’=\displaystyle\frac{1}{\log 10}\cdot\displaystyle\frac{1}{-x^2+4x-3}\cdot(-x^2+4x-3)’\)

\(=\displaystyle\frac{-2x+4}{\log10(-x^2+4x-3)}\)

(3)
\(y=\displaystyle\frac{\log x}{x^2}\)

\(y’=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{x}\cdot x^2-(\log x)\cdot2x}{(x^2)^2}\)

\(=\displaystyle\frac{1-2\log x}{x^3}\)

(4)
(外側の関数は\(\log\cdots\)なので、中身の\(\log x\)が分母にくる)
\(y=\log(\log x)\)

\(y’=\displaystyle\frac{1}{\log x}\cdot(\log x)’\)

\(=\displaystyle\frac{1}{x\log x}\)

(5)
(ルートを外すと楽です)
\(y=\log\sqrt{1+\sin^2x}=\displaystyle\frac{1}{2}\log(1+\sin^2x)\) より

\(y’=\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{(1+\sin^2x)’}{1+\sin^2x}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{2\sin x\cdot\cos x}{1+\sin^2x}\)

\(=\displaystyle\frac{\sin2x}{2(1+\sin^2x)}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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