対数微分法、x^p、x^x の微分

対数微分法を利用する導関数について見ていきます。

 

・\(x^p\)の導関数 (\(p\)は実数)
関数 \(y=x^p\)・・・① (\(p\)は実数の定数)

は、\(x>0\) を定義域として、任意の実数\(p\)で定義することが可能です。
この導関数は、\(p\)が有理数のときと同様に、

\(y’=px^{p-1}\)
になりますが、これは対数微分法を用いることで示すことができます。

①の両辺は正なので自然対数をとって
\(\log y=\log x^p\)
\(\log y=p\log x\)
この両辺を\(x\)で微分すると、左辺は合成関数の微分を利用して

\(\displaystyle\frac{d}{dy}\log y\cdot\displaystyle\frac{dy}{dx}=\displaystyle\frac{p}{x}\)

よって
\(\displaystyle\frac{y’}{y}=\displaystyle\frac{p}{x}\)

これと①より
\(y’=y\cdot\displaystyle\frac{p}{x}=x^p\cdot\displaystyle\frac{p}{x}=\)\(px^{p-1}\)
となります。

 

 

・\(x^x\)の導関数
\(y=x^x\)・・・② (\(x>0\))

の導関数も同様に対数微分法を利用します。

\(y=x^p\) の導関数 \(y’=px^{p-1}\)
\(y=a^x\) の導関数 \(y’=a^x\log a\)
は、いずれも\(p,a\)が定数のときにしか使えません。

実際②の導関数がどうなるかというと、②において両辺自然対数をとると
\(\log y=x\log x\)
両辺\(x\)で微分すると
\(\displaystyle\frac{y’}{y}=1\cdot\log x+x\cdot\displaystyle\frac{1}{x}\)
となるから

\(y’=y(\log x+1)=x^x(\log x+1)\)
です。(結果は覚えてなくてよいです)

 

 

 

(例題)次の関数を微分せよ。
(1)\(y=x^{\sin x}\) (\(x>0\))

(2)\(y=(1+x)^{\frac{1}{1+x}}\) (\(x>0\))

(3)\(y=\displaystyle\frac{1}{(x-1)^2(x-2)^3(x-3)^4}\)

(4)\(y=\sqrt{\displaystyle\frac{(x+2)^2(x+3)^3}{x^2+1}}\) (\(x>-2\))

 

 

(解答)
(1)
\(y=x^{\sin x}\) (\(x>0\))
両辺正の値なので、自然対数をとって
\(\log y=\sin x\log x\)
\(x\)で微分すると
\(\displaystyle\frac{y’}{y}=\cos x\log x+\sin x\cdot\displaystyle\frac{1}{x}\)
よって
\(y’=x^{\sin x}(\cos x\log x+\displaystyle\frac{\sin x}{x})\)

(2)
\(y=(1+x)^{\frac{1}{1+x}}\) (\(x>0\))
両辺正の値だから、自然対数をとって
\(\log y=\displaystyle\frac{1}{1+x}\log(1+x)\)
\(x\)で微分して
\(\displaystyle\frac{y’}{y}=-\displaystyle\frac{1}{(1+x)^2}\cdot\log(1+x)+\displaystyle\frac{1}{1+x}\cdot\displaystyle\frac{1}{1+x}\)

よって
\(y’=\{1-\log (1+x)\}\cdot\displaystyle\frac{1}{(1+x)^2}\cdot(1+x)^{\frac{1}{1+x}}\)

\(=\{1-\log(1+x)\}(1+x)^{\frac{1}{1+x}-2}\)

 

(3)

そのまま微分しても解けますが、対数をとると楽です。ただし、負の値にもなりえるので、絶対値をとってから対数をとります。

\(y=\displaystyle\frac{1}{(x-1)^2(x-2)^3(x-3)^4}\)

絶対値をとって
\(|y|=\displaystyle\frac{1}{|x-1|^2|x-2|^3|x-3|^4}\)

自然対数をとって
\(\log|y|=\log\displaystyle\frac{1}{|x-1|^2|x-2|^3|x-3|^4}\)

よって
\(\log|y|=-2\log|x-1|-3\log|x-2|-4\log|x-3|\)

\(x\)で微分して
\(\displaystyle\frac{y’}{y}=-\displaystyle\frac{2}{x-1}-\displaystyle\frac{3}{x-2}-\displaystyle\frac{4}{x-3}\)

したがって
\(y’=-(\displaystyle\frac{2}{x-1}+\displaystyle\frac{3}{x-2}+\displaystyle\frac{4}{x-3})\cdot\displaystyle\frac{1}{(x-1)^2(x-2)^3(x-3)^4}\)

\(=-\displaystyle\frac{9x^2-34x+29}{(x-1)^3(x-2)^4(x-3)^5}\)

 

(4)
\(y=\sqrt{\displaystyle\frac{(x+2)^2(x+3)^3}{x^2+1}}\) (\(x>-2\))

同様に対数微分法を利用すると、両辺正の値だから自然対数をとって
\(\log y=\displaystyle\frac{1}{2}\log\displaystyle\frac{(x+2)^2(x+3)^3}{x^2+1}\)

よって
\(\log y=\log(x+2)+\displaystyle\frac{3}{2}\log(x+3)-\displaystyle\frac{1}{2}\log(x^2+1)\)

\(x\)で微分して
\(\displaystyle\frac{y’}{y}=\displaystyle\frac{1}{x+2}+\displaystyle\frac{3}{2(x+3)}-\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{2x}{x^2+1}\)

右辺を整理すると
\(\displaystyle\frac{y’}{y}=\displaystyle\frac{3x^3+2x^2-7x+12}{2(x+2)(x+3)(x^2+1)}\)

したがって
\(y’=\displaystyle\frac{3x^3+2x^2-7x+12}{2(x+2)(x+3)(x^2+1)}\cdot\left\{\displaystyle\frac{(x+2)^2(x+3)^3}{x^2+1}\right\}^{\frac{1}{2}}\)

\(=\displaystyle\frac{3x^3+2x^2-7x+12}{2}\cdot\left\{\displaystyle\frac{x+3}{(x^2+1)^3}\right\}^{\frac{1}{2}}\)

\(=\displaystyle\frac{3x^3+2x^2-7x+12}{2}\cdot\sqrt{\displaystyle\frac{x+3}{(x^2+1)^3}}\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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