速度・加速度(直線上の運動)

直線上の運動についてです。

※詳しくは →速度・加速度・変化率 を参照して下さい。
簡単にまとめると、移動する点\(P\)の座標\(x\)が時刻\(t\)の式で
\(x=f(t)\)

与えられているとき、速度加速度はそれぞれ
\(v=f'(t)\) (1回微分)
\(a=f”(t)\)  (2回微分)
(いずれも正負0どちらもありうる)

で与えられ、とくに大きさのみを扱うときは絶対値をとります。
\(|v|=|f'(t)|\) (速さ または 速度の大きさ)
\(|a|=|f”(t)|\)  (加速度の大きさ)

大きさを考えるのは、向きを気にしない場合や符号で扱うとかえって分かりにくくなる場合があるからです。例えば 名古屋,東京間 を新幹線で往復する場合に、行きは \(200km/h\) 帰りは \(-200km/h\) で移動とはしませんよね。

 

 

 

(例題)
地上\(10m\)の高さから真上に投げられたボールの\(t\)秒後の地上からの高さ\(hm\)は
\(h=10+50t-5t^2\)
で与えられているとする。上方向を正の向きとして以下の問いに答えよ。

(1)初速度を求めよ。
(2)加速度を求めよ。
(3)最高点に達したときの時刻とそのときの高さを求めよ。
(4)ちょうど地上に落ちるまでの時間を求めよ。またそのときの速度を求めよ。

直線 速度 例題1

 

(解答)
(1)
\(h(t)=10+50t-5t^2\) より
\(h'(t)=50-10t\)・・・①

①に \(t=0\) を代入すると初速度\(v_0\)が得られるので
\(v_0=50(m/秒)\)

(2)
①をさらに微分すると
\(h”(t)=-10\)

よって加速度\(a\)は
\(a=-10(m/秒^2)\)

単位は \(m/秒^2\) であり、分母は2乗になります。これは1回微分(速度)は\(t\)で1回割り、2回微分は\(t\)で2回割ることと対応しています。

 

(3)

①より速度\(v\)は \(v(t)=50-10t\) で表されますが、これは最初\(50(m/秒)\)の速度で始まり上方向に進み、徐々に速度が小さくなり\(0\)になって、そこから負の速度になるので下方向に進むという運動を表しています。よって最高点では速度が\(0\)になります。
もしくは、2次式なので平方完成するという方法もあります。

\(h'(t)=50-10t\)・・・①
より、
\(0≦t<5\) のとき \(h'(t)>0\)
\(t=5\) のとき \(h'(t)=0\)
\(t>5\) のとき \(h'(t)<0\)

よって \(t=5(秒)\) のとき最高点に達する。
このときの高さは
\(h(5)=10+50\cdot5-5\cdot5^2\)
\(=135(m)\)

(別解)
\(h=10+50t-5t^2\)
\(=-5(t-5)^2+135\)

よって、\(t=5(秒)\) のとき 最高点 \(135(m)\) に達する。

 

(4)

地上は \(h=0\) です。これより \(t\) の値が具体的に求まります。

地上は \(h(t)=0\) だから
\(h(t)=10+50t-5t^2=0\)
を解くと
\(t^2-10t-2=0\)
\(t=5±3\sqrt{3}\)

\(t>0\)より、地上に落ちるまでの時間は
\(t=5+3\sqrt{3}(秒)\)

またこのときの速度は①より
\(h'(5+3\sqrt{3})=50-10(5+3\sqrt{3})\)
\(=-30\sqrt{3}(m/秒)\)

もう1つの解 \(t=5-3\sqrt{3}\) は仮に過去に同じ運動をしていたとすると、\(t=0\) からみたときの過去の地上に位置している時刻になります。

 

(参考)
ボールにかかる加速度を重力加速度のみとして、重力加速度の大きさを\(g\)(正の一定値)とすると
\(h”(t)=-g\) (地上からみて上方向を正の向きとすると、重力加速度は下向きになる)

ですが、これを順次積分していくと速度・位置の式を求めることができます。積分定数が出てくるので、それぞれ\(v_0\)(初速度)、\(h_0\)(初期位置)とすると

\(h'(t)=v_0-gt\)
\(h(t)=h_0+v_0t-\displaystyle\frac{1}{2}gt^2\)

となります。本問 \(h=10+50t-5t^2\) と照らし合わせると
\(h_0=10(m)\)、\(v_0=50(m/秒)\)、\(g=10(m/秒^2)\)
となります。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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