球面と球面

球面と球面の交わりに関する例題です。

球と球1
球面と球面の位置関係は次の3パターンに分類されます。
①無数の点で交わる(交線は円になる) ②1点で交わる(接する) ③交わらない(共有点なし)
①において交線が円になるのは、2つの球の中心を通る平面による切断面を考えると分かります。もしくは、2つの球の方程式から交線が1つの平面上にある(例題1 参照)ことと、平面と球の交線が円になることからも分かります。
球と球2

 

 

(例題1)
2つの球面
\((x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2=7\)
\((x-2)^2+(y-3)^2+(z-3)^2=1\)
が交わってできる円を含む平面の方程式を求めよ。

 

 

上で説明した性質を使っても解けますが、一番楽なのは2つの方程式の差をとる方法です。
丁寧にやるなら、2つの球面が交わることを示した方がよいですが、解答では交わることを前提にすることにします。

(解答)
2つの球面
\(S_1:(x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2-7=0\)
\(S_2:(x-2)^2+(y-3)^2+(z-3)^2-1=0\)
について

方程式
\((x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2-7+k\{(x-2)^2+(y-3)^2+(z-3)^2-1\}=0\)

は、2つの球面の交線を通る図形の方程式を表す。\(k≠-1\)のときは球面になり、\(k=-1\)のときは平面になるので、求める平面の方程式は

\((x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2-7-\{(x-2)^2+(y-3)^2+(z-3)^2-1\}=0\)

整理すると
\(2x+4y+4z-25=0\)

 

 

 

 

(例題2)
座標空間内の2つの球面
\(S_1:(x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2=7\)
\(S_2:(x-2)^2+(y-3)^2+(z-3)^2=1\)
を考える。\(S_1\)と\(S_2\)の共通部分を\(C\)とする。このとき以下の問いに答えよ。

(1)\(S_1\)との共通部分が\(C\)となるような球面のうち、半径が最小となる球面の方程式を求めよ。
(2)\(S_1\)との共通部分が\(C\)となるような球面のうち、半径が\(\sqrt{3}\)となる球面の方程式を求めよ。

 

 

まずは\(S_1\)と\(S_2\)の交線である円\(C\)の半径や中心の座標、円を含む平面の方程式などを求めていきます。必要な情報が手に入ったら、後は求める球面と、球面\(S_1\),円\(C\)(とそれを含む平面)との関係を検討します。

(解答)
(1)
\(S_1:(x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2=7\)・・・①
中心 \(O_1(1,1,1)\) 半径\(\sqrt{7}\)

\(S_2:(x-2)^2+(y-3)^2+(z-3)^2=1\)・・・②
中心 \(O_2(2,3,3)\) 半径\(1\)

\(O_1O_2=\sqrt{1^2+2^2+2^2}=3\)
\(\sqrt{7}-1<3<\sqrt{7}+1\)
より、\(S_1,S_2\)の共通部分は円\(C\)になる。

円\(C\)を含む平面\(α\)の方程式は①-②より
\(2x+4y+4z-25=0\)・・・③

また、\(O_1\)から平面\(α\)に下ろした垂線の足\(H\)は円\(C\)の中心である。
同様に\(O_2\)から平面\(α\)に下ろした垂線の足も円\(C\)の中心だから、\(O_1,H,O_2\)は一直線上にある。

求める球\(K\)の中心もこの直線\(O_1H\)上にあることになります。
このうち半径が最も小さい球となるのは、共通部分円\(C\)が球\(K\)の大円となるときです。この大円の半径を\(r\)(円\(C\)の半径であり、球\(K\)の半径)とすると、もし共通部分が小円の場合には\(r\)より求める球の半径が大きくなってしまいます。

球と球 例題2-1

\(\overrightarrow{OH}=\overrightarrow{OO_1}+k\overrightarrow{O_1O_2}\)
\(=(1,1,1)+k(1,2,2)\)
\(=(1+k,1+2k,1+2k)\)・・・④

④を \(α:2x+4y+4z-25=0\)・・・③ に代入して
\(2(1+k)+4(1+2k)+4(1+2k)-25=0\)
\(k=\displaystyle\frac{5}{6}\)

よって④より
\(H(\displaystyle\frac{11}{6},\displaystyle\frac{8}{3},\displaystyle\frac{8}{3})\)

そして円\(C\)の半径を\(r\)とすると
\(O_1H=\sqrt{(\displaystyle\frac{5}{6})^2+(\displaystyle\frac{5}{3})^2+(\displaystyle\frac{5}{3})^2}=\displaystyle\frac{5}{2}\) より

\(r=\sqrt{7-(\displaystyle\frac{5}{2})^2}\)\(=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)

ここで、求める球面\(K\)の大円が円\(C\)となるときが球面の半径が最小となるときであるから、
球面\(K\)の中心が\(H(\displaystyle\frac{11}{6},\displaystyle\frac{8}{3},\displaystyle\frac{8}{3})\)、半径が\(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) となるので、球面\(K\)の方程式は

\((x-\displaystyle\frac{11}{6})^2+(y-\displaystyle\frac{8}{3})^2+(z-\displaystyle\frac{8}{3})^2=\displaystyle\frac{3}{4}\)

 

(2)

(2)の球面の中心も\(O_1H\)上にあります。(1)で求めた球面の半径\(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)よりも大きい\(\sqrt{3}\)の球面なので円\(C\)が小円になりますが、三平方の定理から方程式を立ててその中心の座標を求めていきます。

球と球 例題2-2

求める球面を球面\(L\)とし、その中心を\(L\)とする。
\(LH^2=3-(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2})^2=\displaystyle\frac{9}{4}\)・・・⑤

\(L\)は\(O_1O_2\)上にあるので、(1)より
\(\overrightarrow{OL}=(1+k,1+2k,1+2k)\)・・・⑥

となり、\(H(\displaystyle\frac{11}{6},\displaystyle\frac{8}{3},\displaystyle\frac{8}{3})\) より

\(LH^2=(k-\displaystyle\frac{5}{6})^2+(2k-\displaystyle\frac{5}{3})^2+(2k-\displaystyle\frac{5}{3})^2\)・・・⑦

⑤⑦より
\(9k^2-\displaystyle\frac{45}{3}k+\displaystyle\frac{225}{36}=\displaystyle\frac{9}{4}\)

\(9k^2-15k+4=0\)
\((3k-4)(3k-1)=0\)
\(k=\displaystyle\frac{4}{3},\displaystyle\frac{1}{3}\)

よって⑥より球面\(L\)の中心の座標は
\((\displaystyle\frac{7}{3},\displaystyle\frac{11}{3},\displaystyle\frac{11}{3})\) または \((\displaystyle\frac{4}{3},\displaystyle\frac{5}{3},\displaystyle\frac{5}{3})\)

したがって方程式は
\((x-\displaystyle\frac{7}{3})^2+(y-\displaystyle\frac{11}{3})^2+(z-\displaystyle\frac{11}{3})^2=3\)
または
\((x-\displaystyle\frac{4}{3})^2+(y-\displaystyle\frac{5}{3})^2+(z-\displaystyle\frac{5}{3})^2=3\)

 

条件に合う球面は2つあります。2つの球面の中心は\(H\)の両側にそれぞれありますが、次の断面図を参考にしてください。
球と球 例題2-3

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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