条件式と極限

極限についての条件式が与えられた問題について見ていきます。

 

(例題1)
数列\(\{a_n\}\)について次の関係式が成り立つ。
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{a_n-3}{2a_n+1}=2\)
このとき次の問いに答えよ。

(1)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}a_n\) を求めよ。
(2)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}na_n\) を求めよ。

 

 

おおまかにいってしまうと
\(\displaystyle\frac{a_n-3}{2a_n+1}=2\)
を解くことになりますが (\(\{a_n\}\)が収束することを勝手に前提にしているので解答してはダメ)、\(\displaystyle\frac{a_n-3}{2a_n+1}=b_n\) とおき直すのが解答としてはよいでしょう。

(解答)
(1)
\(\displaystyle\frac{a_n-3}{2a_n+1}=b_n\)・・・① とおくと
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}b_n=2\)

①より\(a_n\)について解くと
\(a_n-3=b_n(2a_n+1)\)
\((1-2b_n)a_n=b_n+3\)・・・②

ここで、\(b_n=\displaystyle\frac{1}{2}\)とすると、②が成り立たないので
\(b_n≠\displaystyle\frac{1}{2}\)

よって②より
\(a_n=\displaystyle\frac{b_n+3}{1-2b_n}\)

したがって、\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}b_n=2\) だから

\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}a_n=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{b_n+3}{1-2b_n}\)

\(=\displaystyle\frac{2+3}{1-4}\)

\(=-\displaystyle\frac{5}{3}\)

 

(2)
(1)より、\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}a_n=-\displaystyle\frac{5}{3}\) だから

\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}na_n=-\infty\)

 

 

 

(例題2)
次の関係が成立するような定数\(a,b,c\)の値を求めよ。
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}n\{\sqrt{n^2+3n+1}-(an+b)\}=c\)

 

 

極限値が存在し、定数\(c\)に収束するところがポイントです。
よって発散(または振動)しないので、(定数)×(∞)、\(\frac{(定数)}{0}\) のような形にはならないことになります。(少なくとも不定形にはなる)
無理式なので、有理化するのが素直な解法でしょうか。

(解答)
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}n\{\sqrt{n^2+3n+1}-(an+b)\}\)

\(=\displaystyle\lim_{n \to \infty}n\cdot\displaystyle\frac{(n^2+3n+1)-(an+b)^2}{\sqrt{n^2+3n+1}+(an+b)}\)

(分母分子を\(n\)で割って、分子を整理)

\(=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{(1-a^2)n^2+(3-2ab)n+(1-b^2)}{\sqrt{1+\displaystyle\frac{3}{n}+\displaystyle\frac{1}{n^2}}+a+\displaystyle\frac{b}{n}}\)・・・①

\(n \to \infty\) のとき (分母)\(\to 1+a\) (定数) であり
(分子)\(=n^2\{(1-a^2)+\displaystyle\frac{3-2ab}{n}+\displaystyle\frac{1-b^2}{n^2}\}\) だから、①が定数\(c\)に収束するためには \(1-a^2=0\)
よって \(a=±1\)

このとき①は
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{(3∓2b)n+(1-b^2)}{\sqrt{1+\displaystyle\frac{3}{n}+\displaystyle\frac{1}{n^2}}±1+\displaystyle\frac{b}{n}}\)

同様に \(3∓2b=0\) より \(b=±\displaystyle\frac{3}{2}\)

そして
\(c=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{1-\displaystyle\frac{9}{4}}{\sqrt{1+\displaystyle\frac{3}{n}+\displaystyle\frac{1}{n^2}}±1+\displaystyle\frac{±\displaystyle\frac{3}{2}}{n}}\)

となるが、\(a=-1\), (\(b=-\displaystyle\frac{3}{2}\)) のときは収束しないため不適。

よって \(a=1\), \(b=\displaystyle\frac{3}{2}\) であり、

\(c=-\displaystyle\frac{5}{8}\) (収束し、極限値が存在)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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