無限等比数列①

等比数列の極限について見ていきます。

今回は先に結論からはじめて大枠をつかむようにしていきます。

 

 

・無限等比数列
無限等比数列 \(\{r^n\}\) つまり

\(r,r^2,r^3,\cdots,r^n,\cdots\)

の極限は\(r\)の値で分類すると次の通りです。

(等比数列の極限)
\(r>1\) のとき \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}r^n=\infty\) (発散)
\(r=1\) のとき \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}r^n=1\) (収束)
\(-1<r<1\) のとき \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}r^n=0\) (収束)
\(r≦-1\) のとき 振動 (極限はない)
つまり収束する必要十分条件は \(-1<r≦1\)
まず、等比数列の一般形は\(ar^{n-1}\)ですが、定数\(a\)は極限につくおまけみたいなものなので、ここでは\(r^{n}\)を考えます。
次に①~④を大まかに説明すると次の通りです。(その後で丁寧に説明します)
①\(r\)が比較的大きいときは数列としてはどんどん膨れ上がるので発散
②\(r=1\)のときは、数列が\(1,1,1,\cdots\)になるので\(1\)に収束
③\(r\)の絶対値が小さいときは、\(\displaystyle\frac{1}{±\infty}\) の形になるので\(0\)に収束(\(r\)が負でも\(0\)に収束することに注意)
④\(r<-1\) のときは①のときのように絶対値が膨れ上がるが\(+,-\)の繰り返しになるので振動。\(r=-1\) のときは②のように絶対値がずっと\(1\)だが、\(-1,1,-1,1,\cdots\) と\(+,-\)の繰り返しになるのでこれも振動
それと、後に出てくる等比数列の級数(等比数列のの極限)のときと微妙に条件が違う(\(r=1\)で結論が違う)ことにも気を付けて下さい。

(解説)
①\(r>1\) のとき
ほとんど自明だが、二項定理による不等式評価が丁寧です。

\(r=1+h\) (\(h\)は正の数) とおけて

\(r^n=(1+h)^n\)
\(={}_n\mathrm{C}_0+{}_n\mathrm{C}_1h+{}_n\mathrm{C}_2h^2+\cdots+{}_n\mathrm{C}_nh^n\)・・・(1)

ここで(1)の項は\(h>0\)よりすべて正の数。よって最初の2項以外を取り除くと次の不等式が成り立つ。
\(r^n≧1+nh\)  (\(n=1\)のとき等号成立)

すると、\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}(1+nh)=\infty\) だから
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}r^n=\infty\)

 

②\(r=1\) のとき
\(\{r^n\}:1,1,1,1,\cdots\) (すべての項が\(1\)) より
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}r^n=1\)

 

③\(-1<r<1\) (\(|r|<1\)) のとき

①を利用して逆数を考えることになるので\(0\)とそれ以外で場合分けします。
負の値のときもまとめるために絶対値を考えていきます。

(i)\(r=0\)
\(\{r_n\}:0,0,0,0,\cdots\) (すべての項が\(0\)) となるから
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}r^n=0\)

(ii)\(r≠0\)
\(0<|r|<1\) より
\(\displaystyle\frac{1}{|r|}>1\)
よって①より \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}=\left(\displaystyle\frac{1}{|r|}\right)^n=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{1}{|r^n|}=\infty\) だから
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}|r^n|=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{|r^n|}}=0\)

ゆえに
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}r^n=0\)

 

④\(r≦-1\) のとき
(i)\(r=-1\)
\(\{r^n\}:-1,1,-1,1,\cdots\) より振動

(ii)\(r<-1\)
①より \(\displaystyle\lim_{n \to \infty}|r^n|=\infty\) となるが、同様に項の符号が交互に変わるから振動

 

 

 

(例題)
(1)数列 \(\{(2x-1)^n\}\) が収束するように、実数\(x\)の値の範囲を定めよ。

(2)\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{2^{2n+1}-3^{n+1}}{4^{n}+2^{n+2}}\) を求めよ。

 

 

(解答)
(1)
\(-1<2x-1≦1\) より (片方は=がつく)
\(0<x≦1\)

(2)

整式のときと同じようにどの項が強くて極限を決定しているか(支配しているか)を考えます。公比の絶対値が大きい項が一番強い項ですが、\(2^{2n}=4^n\) に注意です。

\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{2^{2n+1}-3^{n+1}}{4^{n}+2^{n+2}}\)

\(=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{2\cdot2^{2n}-3\cdot3^{n}}{4^{n}+2^2\cdot2^{n}}\)

(\(4^n\) で割って)

\(=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\displaystyle\frac{2-3\cdot(\displaystyle\frac{3}{4})^n}{1+4\cdot(\displaystyle\frac{2}{4})^n}\)

\(=\displaystyle\frac{2-0}{1+0}\)

\(=2\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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