二項定理では、\((a+b)^n\)のように項が2つの累乗の展開式を考えましたが、3つの項\((a+b+c)^n\)の展開式はどうなるでしょうか。
・多項定理
\((a+b+c)^n\)の展開式について考えます。
二項定理を利用すると、
\((a+b+c)^n\)
\(=\{(a+b)+c\}^n\) より
展開したときに\(c^r\)を含む項は
\({}_n\mathrm{C}_r(a+b)^{n-r}c^{r}\)
次に、\((a+b)^{n-r}\)の展開式を考えると、\(b^q\)を含む項は
\({}_{n-r}\mathrm{C}_qa^{n-r-q}b^{q}\)
よって\(n-r-q=p\)・・・① とおくと、展開式における\(a^pb^qc^r\)の項は
\({}_n\mathrm{C}_r・{}_{n-r}\mathrm{C}_qa^pb^qc^r\)
ここで、\(a^pb^qc^r\)の係数は
\({}_n\mathrm{C}_r・{}_{n-r}\mathrm{C}_q\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{r!(n-r)!}・\displaystyle\frac{(n-r)!}{q!(n-r-q)!}\)
\(=\displaystyle\frac{n!}{p!q!r!}\)
以上より \((a+b+c)^n\)の展開式における一般項は
\(\displaystyle\frac{n!}{p!q!r!}a^pb^qc^r\)
(\(p≧0,q≧0,r≧0\)) (①より\(p+q+r=n\))
なお、\(a^pb^qc^r\)の係数 \(\displaystyle\frac{n!}{p!q!r!}\)は、
\(a\)が\(p\)個、\(b\)が\(q\)個、\(c\)が\(r\)個の合計\(n\)個の文字を、一列に並べる順列(同じものを含む順列)の総数です。
また、\((a+b+c+d)^n\)を展開したときにおける\(a^pb^qc^rd^s\)の係数は、
\(a\)が\(p\)個、\(b\)が\(q\)個、\(c\)が\(r\)個、\(d\)が\(s\)個の合計\(n\)個の文字を、一列に並べる順列(同じものを含む順列)の総数を考えると
\(\displaystyle\frac{n!}{p!q!r!s!}a^pb^qc^rd^s\)
(\(p≧0,q≧0,r≧0,s≧0\)) (\(p+q+r+s=n\))
(例題1)
(1)\((2x+y-z)^8\)の展開式における、\(x^2y^3z^3\)の係数を求めよ。
(2)\((3x^2+2x-1)^7\)を展開したとき、\(x^7\)の係数を求めよ。
(解答)
(1)\(x^2y^3z^3\)の項は
\(\displaystyle\frac{8!}{2!3!3!}(2x)^2y^3(-z)^3\)
よって係数は
\(\displaystyle\frac{8!}{2!3!3!}×4×(-1)\)
\(=\)\(-2240\)
(2)
\((3x^2+2x-1)^7\)の一般項は
\(\displaystyle\frac{7!}{p!q!r!}(3x^2)^p(2x)^q(-1)^r\)
\(=\displaystyle\frac{7!}{p!q!r!}×3^p2^q(-1)^r×x^{2p+q}\)
\(x^7\)の係数を求めるので、\(2p+q=7\), \(p+q+r=7\), (\(p≧0,q≧0,r≧0\)) を満たす\(p,q,r\)を考えればよい。
(ア)\(p=0\)のとき \(q=7\),\(r=0\)
(イ)\(p=1\)のとき \(q=5\),\(r=1\)
(ウ)\(p=2\)のとき \(q=3\),\(r=2\)
(エ)\(p=3\)のとき \(q=1\),\(r=3\)
よって係数は
\(=\displaystyle\frac{7!}{0!7!0!}×3^02^7(-1)^0\)\(+\displaystyle\frac{7!}{1!5!1!}×3^12^5(-1)^1\)
\(+\displaystyle\frac{7!}{2!3!2!}×3^22^3(-1)^2\)\(+\displaystyle\frac{7!}{3!1!3!}×3^32^1(-1)^3\)
\(=128-4032\)\(+15120-7560\)
\(=\)\(3656\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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