互いに素①

 

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例題の前に、互いに素の意味を確認しておきます。

 

 

・互いに素
2つの整数\(a,b\)の最大公約数が\(1\)であるとき、\(a,b\)は互いに素であるといいます。正の公約数が\(1\)以外にないことになります。

 

 

(例題1)
\(n\)を自然数とする。\(n+5\)が\(7\)の倍数、\(n+7\)が\(5\)の倍数であるとき、\(n+12\)は\(35\)の倍数であることを示せ。

 

 

(解答)
条件より
\(n+5=7k\), \(n+7=5l\)  (\(k,l\)は自然数)
とおける。

\(n+12=(n+5)+7=7k+7\)
\(n+12=(n+7)+5=5l+5\)・・・①
より
\(7(k+1)=5(l+1)\)・・・②

 

②より左辺が\(7\)の倍数なので、右辺も\(7\)の倍数となります。
ここで\(7\)と\(5\)は互いに素であることに着目します。\(5\)に\(7\)の(\(1\)を除いた)正の約数は1つもないので、\(l+1\)が約数\(7\)をもつ、つまり\(7\)の倍数となります。
②より右辺も\(7\)の倍数であり、
\(7\)と\(5\)は互いに素なので、\(l+1\)が\(7\)の倍数となり
\(l+1=7m\)・・・③ (\(m\)は自然数)とおける。

 

③を①に代入して
\(n+12=5(7m-1)+5=35m\)
\(m\)は自然数だから、\(n+12\)は\(35\)の倍数である。

 

 

 

・互いに素に関する重要性質
\(n\)を自然数としたとき

①連続する2整数\(n,n+1\)は互いに素である。

②連続する2つの奇数\(2n-1,2n+1\)は互いに素である。

 

互いに素に関する証明問題は、最大公約数が\(1\)であることを直接示したり、背理法(\(1\)以外の正の約数が存在すると仮定して矛盾を導く)などを使います。

(証明)

\(n\)と\(n+1\)の最大公約数を\(g\)とすると、
\(n=gk\)・・・(1), \(n+1=gl\)・・・(2) (\(k,l\)は互いに素な自然数)

と表すことができる。

(2)-(1)より
\(1=g(l-k)\)
であり、\(n+1>n\) より、\(l>k\) だから
\(g=1\)

よって、\(n\)と\(n+1\)の最大公約数は\(1\)であり、題意は示された。

 


\(2n-1\) と \(2n+1\)の最大公約数を\(g\)とすると、
\(2n-1=ga\)・・・(3), \(2n+1=gb\)・・・(4) (\(a,b\)は互いに素な自然数)

と表せる。

(4)ー(3)より
\(2=g(b-a)\)

ここで、\(2n+1>2n-1\) より \(b>a\) だから
\(g=1,2\)

\(g=2\) であるとすると、(3)(4)より \(2n-1\),\(2n+1\)が偶数となり矛盾。

よって、\(g=1\)、つまり最大公約数が\(1\)であり、題意が示された。

 

 

 

(例題2)
2つの整数\(a,b\)に対して、次の関係が成り立つことを証明せよ。
(1)「\(a,b\)が互いに素である」ならば「\(a+b\)と\(ab\)は互いに素である」
(2)「\(a+b\)と\(ab\)は互いに素である」ならば「\(a,b\)が互いに素である」

 

 

\(1\)より大きい素数の公約数をもつとして、矛盾を示します。(背理法)

(解答)
(1)
\(a+b\)と\(ab\)が互い素でない、つまり\(1\)より大きい素数の公約数\(p\)をもつとすると

\(a+b=pk\)・・・① \(ab=pl\)・・・② (\(k,l\)は整数)
とおける。

②より\(a\)または\(b\)は\(p\)の倍数である。

\(ab=pl\) (\(p\)は素数)のとき、\(a\)または\(b\)が\(p\)の倍数となることは理解しやすいと思いますが、厳密には「ユークリッドの補題」という証明された定理を利用していることになります。
ここで、\(a\)が\(p\)の倍数とすると
\(a=pa’\)・・・③ (\(a’\)は整数)
とおける。

 

③①から
\(b=pk-a=pk-pa’=p(k-a’)\)
よって、\(b\)も\(p\)の倍数となり、\(a,b\)が互いに素であることに矛盾。

 

\(b\)が\(p\)の倍数であるときも同様に\(a\)が\(p\)の倍数となり、矛盾する。

 

よって、\(a+b\),\(ab\)は互いに素である。

 

 

(2)
\(a,b\)が互いに素ではない、つまり\(1\)より大きい素数の公約数\(q\)をもつとして、
\(a=qr\)・・・①, \(b=qs\)・・・②  (\(r,s\)は整数)
と表すことができる。

 

このとき
\(a+b=qr+qs=q(r+s)\)
\(ab=qrqs=q・qrs\)

 

よって、\(a+b\),\(ab\)がともに\(q\)の倍数となり、互いに素であることに矛盾。

 

したがって、\(a,b\)は互いに素である。

 

2つの整数が互いに素であるならば、その和と積も互い素であるということです(さらに逆も成り立つ)。

 

(例題3)
\(p,q\)は素数で、\(p<q\)とする。このとき

\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\)

を満たす整数\(r\)は存在しないことを証明せよ。

 

 

(解答)
与式が成り立つ整数\(r\)が存在すると仮定する。

\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\)

より

\(\displaystyle\frac{p+q}{pq}=\displaystyle\frac{1}{r}\)

だから

\(r=\displaystyle\frac{pq}{p+q}\)・・・①

 

例題2の(1)を使います。
\(p,q\) は異なる素数で、互いに素であることから、
\(pq\) と \(p+q\) は互いに素である。

 

また、\(p,q\) は素数なので、\(p+q>1\)
よって、\(\displaystyle\frac{pq}{p+q}\)は整数でないことになる。
これは\(r\)が整数であることに矛盾。

 

したがって、与式を満たす整数\(r\)は存在しない。

 

 

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。

ここまで見て頂きありがとうございました。

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