平面運動と道のり

平面運動の積分に関する事項です。

 

・平面運動と道のり

平面運動 積分1

座標平面上の点\(P\)の運動は、\(x,y\)成分で分けることで直線上の運動に帰着できるので、分けて微分や積分などの処理をするのが基本です。

しかし、\(P\)は一般的には曲線上を移動するので実際に移動した総距離(道のり)は成分に分けて処理しても求めることができません。とはいっても道のりは媒介変数表示された曲線の長さを求めるだけなので簡単に求めることができます。

つまり、点\(P\)の座標\((x,y)\)が時刻\(t\)の関数で
\(x=f(t)\)、\(y=g(t)\)
表されるとき、\(t=α\) から \(t=β\) までの道のり\(L\)は、速度(ベクトル)を \(\vec{v}\) とすると

\(L=\displaystyle\int_{α}^{β}\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2+(\displaystyle\frac{dy}{dt})^2}dt\)・・・①
\(\left(=\displaystyle\int_{α}^{β}|\vec{v}|dt\right)\) 
(速さの定義より)

となります。また①で \(β=t\) として \(t=α\) からの道のりを\(t\)の関数\(L(t)\)とすると、(分かりやすくするために \(x=f(T)\)、\(y=g(T)\) として変数を変えて)
\(L(t)=\displaystyle\int_{α}^{t}\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dT})^2+(\displaystyle\frac{dy}{dT})^2}dT\)

\(t\)で微分すると
\(\displaystyle\frac{d}{dt}L(t)=\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2+(\displaystyle\frac{dy}{dt})^2}\ (=|\vec{v}|)\)
となります。(道のりの関数を微分すると速さになる)

(平面運動と道のり)
座標平面上を運動する点\(P\)の座標が、 \(x=f(t)\)、\(y=g(t)\) であるとき、\(t=α\) から \(t=β\) までの道のり\(L\)は
\(L=\displaystyle\int_{α}^{β}\sqrt{(\displaystyle\frac{dx}{dt})^2+(\displaystyle\frac{dy}{dt})^2}dt\)
\(\left(=\displaystyle\int_{α}^{β}|\vec{v}|dt\right)\)
速度ベクトル \(\vec{v}\) も\(x,y\)成分は\(t\)の関数で表されていることに注意してください。よって速さ \(|\vec{v}|\) も\(t\)の関数になります。

 

 

(例題)
\(xy\)平面上を動く点\(P\)の時刻\(t\)における座標 \((x,y)\) が
\(x=e^{-t}\cos t\)、\(y=e^{-t}\sin t\)
で与えられている。\(t=0\) から \(t=α\) (\(α>0\)) までに点\(P\)が動いた道のりを\(l(α)\)とする。

(1)\(l(α)\)を求めよ。
(2)\(\displaystyle\lim_{α \to \infty}l(α)\) を求めよ。

 

(解答)
(1)
\(x=e^{-t}\cos t\)、\(y=e^{-t}\sin t\) より

\(\displaystyle\frac{dx}{dt}=-e^{-t}\cos t-e^{-t}\sin t\)
\(\displaystyle\frac{dy}{dt}=-e^{-t}\sin t+e^{-t}\cos t\)

\((\displaystyle\frac{dx}{dt})^2+(\displaystyle\frac{dy}{dt})^2\)
\(=2e^{-2t}(\sin^2t+\cos^2t)\)
\(=2e^{-2t}\)

よって
\(l(α)=\displaystyle\int_{0}^{α}\sqrt{2e^{-2t}}dt\)
\(=\sqrt{2}\displaystyle\int_{0}^{α}e^{-t}dt\)
\(=\sqrt{2}[-e^{-t}]_{0}^{α}\)
\(=\sqrt{2}(-e^{-α}+1)\)

(2)
(1)より
\(\displaystyle\lim_{α \to \infty}l(α)=\sqrt{2}\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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