転がる曲線

転がる曲線ついての例題です。

円が転がる場合にはトロコイドになるので、円以外の曲線が転がる場合を扱います。
解き方は前回と変わらず
(i)曲線の長さを利用 (ii)接線に着目
です。またベクトルを利用するのも同じです。

 

 

(例題)
曲線 \(y=\displaystyle\frac{2}{3}\sqrt{|x|^3}\) を\(C\)とし、\(C\)上の2点 \(P(0,0)\)、\(Q(1,\displaystyle\frac{2}{3})\) を考える。曲線\(C\)が\(x\)軸上をすべることなく転がって点\(Q\)が\(x\)軸上に到達したときの点\(P\)の座標を求めたい。

(1)\(x\)軸上に到達した点\(Q\)の座標を求めよ。
(2)\(C\)が転がる前について、点\(Q(1,\displaystyle\frac{2}{3})\)における\(C\)の接線と\(x\)軸との交点を\(R\)とする。\(\angle OQR=θ\)  (\(0≦θ≦π\)) とおくとき、\(\tanθ\) の値を求めよ。
(3)点\(Q\)が\(x\)軸上に到達したときの点\(P\)の座標を求めよ。

 

(解答)
(1)

\(Q\)が\(x\)軸上に到達しないといけないので、転がる方向は右向きです。
弧長\(OQ\)の長さが、転がった後の\(Q\)の\(x\)座標になります。
(\(x\)軸にペンキが塗ってあって、転がった分だけ曲線にペンキがつくと考えればよい)

転がる曲線1

\(x≧0\)の部分を考えればよいので、曲線\(C\)の方程式を
\(y=\displaystyle\frac{2}{3}\sqrt{x^3}\)  (\(x≧0\))
とする。

点 \(Q(1,\displaystyle\frac{2}{3})\) が転がった後の点を\(Q’\)とすると、\(Q’\)の座標が求めるものである。弧長\(OQ\)と線分\(OQ’\)は等しいので
\(OQ’=\displaystyle\int_{0}^{1}\sqrt{1+(y’)^2}dx\)

\(=\displaystyle\int_{0}^{1}\sqrt{1+(x^{\frac{1}{2}})^2}dx\)

\(=\displaystyle\int_{0}^{1}\sqrt{1+x}dx\)

\(=\left[\displaystyle\frac{2}{3}(1+x)^{\frac{3}{2}}\right]_{0}^{1}\)

\(=\displaystyle\frac{2}{3}(2\sqrt{2}-1)\)

したがって
\(Q'(\displaystyle\frac{2}{3}(2\sqrt{2}-1),0)\)

(2)

\(\tan \)の加法定理を利用します。

転がる曲線2

図のように\(α,β\)を設定すると
\(θ=α-β\)

\(\tanα\)は\(Q(1,\displaystyle\frac{2}{3})\)における接線の傾きなので、\(y’=x^{\frac{1}{2}}\) より
\(\tanα=1\)
\(\tanβ\)は直線\(OQ\)の傾きなので
\(\tanβ=\displaystyle\frac{2}{3}\)

よって
\(\tanθ=\tan(α-β)\)

\(=\displaystyle\frac{\tanα-\tanβ}{1+\tanα\tanβ}\)

\(=\displaystyle\frac{1-\displaystyle\frac{2}{3}}{1+1\cdot\displaystyle\frac{2}{3}}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{5}\)

 

(3)

転がる前後の関係を調べると
\(Q\)における接線は\(x\)軸になり、\(OQ\)は\(PQ’\)になるので、\(\angle OQ’P=θ\) になります。\(Q’\)の座標は(1)で求めているので、後は\(\overrightarrow{Q’P}\) を求めればよいことになりますが、これは(2)で求めた\(\tanθ\)の値と、\(OQ\)の長さから求めることができます。

転がる曲線3

\(\angle OQ’P=θ\) だから
\(Q’P\)方向の単位ベクトルは、\(\tanθ=\displaystyle\frac{1}{5}\) より\(x\)成分が負であることに注意すると
\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1^2+5^2}}(-5,1)\)

また
\(Q’P=OQ\)
\(=\sqrt{1^2+(\displaystyle\frac{2}{3})^2}\)
\(=\displaystyle\frac{\sqrt{13}}{3}\) だから

\(\overrightarrow{OP}=\overrightarrow{OQ’}+\overrightarrow{Q’P}\)
\(=(\displaystyle\frac{2}{3}(2\sqrt{2}-1),0)+\displaystyle\frac{\sqrt{13}}{3}\cdot\displaystyle\frac{1}{\sqrt{26}}(-5,1)\)

\(=(\displaystyle\frac{2}{3}(2\sqrt{2}-1),0)+\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{6}(-5,1)\)

\(=(\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}-\displaystyle\frac{2}{3},\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{6})\)

よって転がった後の\(P\)の座標は
\((\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}-\displaystyle\frac{2}{3},\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{6})\)

 

 

以上なります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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