対数方程式

対数方程式について見ていきます。

対数独自の公式をメインにつかっていきます。
その他には置き換えを使って2次方程式などに帰着させたり、連立方程式の場合には文字消去が基本になります。
それと一番重要なのは、最初の方程式についての文字の制限です。
\(\log_{a}b\) において「真数条件で \(b>0\)、底の条件で \(a>0,a≠1\)」
底は定数のことが多いので特に真数条件に注意です。

 

(例題1)次の方程式を解け。
(1) \(\log_{3}(x^2+6x+5)-\log_{3}(x+3)=1\)

(2) \(\log_{3}x-\log_{x}9=1\)

 

 

(解答)

まず文字の制限から調べます(真数条件)。最後に確認してもよいですが忘れないように最初にやっておくのが無難です。

(1)
真数条件より
\(x^2+6x+5=(x+5)(x+1)>0\) かつ \(x+3>0\)
よって
\(x<-5,x>-1\) かつ \(x>-3\) だから

\(x>-1\)

方程式の左辺の差を商の形にしてまとめます。右辺も\(\log\) に直しておきます。

\(\log_{3}(x^2+6x+5)-\log_{3}(x+3)=1\) より

\(\log_{3}\displaystyle\frac{x^2+6x+5}{x+3}=\log_{3}3\)

よって両辺の真数を比較して
\(\displaystyle\frac{x^2+6x+5}{x+3}=3\)
分母を払って整理すると
\((x+4)(x-1)=0\)
\(x=-4,1\)

\(x>-1\) を満たすのは
\(x=1\)

 

(2)

文字の制限から調べます。(今回は底も文字となっています)
また、底が違うので統一します。どれに合わせるかというと定数である\(3\)が適当です。

\(\log_{3}x-\log_{x}9=1\)

底と真数の条件より
\(x>0\) , \(x≠1\)

与式から
\(\log_{3}x-\displaystyle\frac{2}{\log_{3}x}=1\)・・・①

①の分母を払うと \(\log_{3}x\) の2次式になります。\(t=\log_{3}x\) とおくと分かりやすいです。ここで置き換えたので \(t\) の条件を考える必要がありますが、対数関数は値域は実数全体になるので基本的には\(t\)の条件はないことになります。今回は \(x≠1\) があるので、\(t≠0\) だけ注意します。

\(\log_{3}x=t\) とおくと、\(x≠1\) より \(t≠0\) で ①は

\(t-\displaystyle\frac{2}{t}=1\)
両辺 \(t\) 倍して 整理すると
\(t^2-t-2=0\)
\((t-2)(t+1)=0\)
\(t=2,-1\) (\(t≠0\)を満たす)

よって
\(\log_{3}x=2,-1\) より
\(x=3^2,3^{-1}\)

\(x=9,\displaystyle\frac{1}{3}\)

 

 

(例題2)次の方程式を解け。
(1) \(3^{2-\log_{2}x}+26\cdot3^{-\log_{4}x}-3=0\)

(2) \(4^{x\log_{8}x}=x\sqrt{x}\)

 

 

(解答)
(1)

指数のところが対数になっています。とりあえず底が違うので統一します。
2,4のどちらでも構いませんが、4だと指数に分数が表れないです。

真数条件から \(x>0\)

\(3^{2-\log_{2}x}+26\cdot3^{-\log_{4}x}-3=0\) において

\(\log_{2}x=\displaystyle\frac{\log_{4}x}{\log_{4}2}=2\log_{4}x\) より

\(3^2\cdot3^{-2\log_{4}x}+26\cdot3^{-\log_{4}x}-3=0\)・・・①

①は \(3^{-\log_{4}x}=t\) の 2次式になっています。指数部分が対数関数になっていますが全体としては指数関数なので \(t>0\) です。

\(3^{-\log_{4}x}=t\) とおくと \(t>0\) で①は

\(9t^2+26t-3=0\)
\((9t-1)(t+3)=0\)
\(t>0\) より
\(t=\displaystyle\frac{1}{9}\)

よって
\(3^{-\log_{4}x}=\displaystyle\frac{1}{9}\)
\(3^{-\log_{4}x}=3^{-2}\)

\(-\log_{4}x=-2\)
\(\log_{4}x=2\)
\(x=4^2\)
\(x=16\)
(\(x>0\)を満たす)

 

(2)

\(4^{x\log_{8}x}=x\sqrt{x}\) は
両辺の底もバラバラで(左辺は定数4 右辺は文字x)、置き換えなども使ってもダメそうです。そもそも左辺の指数が文字で扱いにくいので、こういう場合には両辺対数をとって(正であることの確認はしておく)指数部分を前に下ろしてきた方が有効なことが多いです。底は \(x\log_{8}x\) と同じ \(8\) にしておきます。

真数条件より \(x>0\)

\(4^{x\log_{8}x}=x\sqrt{x}\)
の両辺は正の数なので、底\(8\)の対数をとって

\(\log_{8}4^{x\log_{8}x}=\log_{8}x\sqrt{x}\)

\((x\log_{8}x)(\log_{8}4)=\displaystyle\frac{3}{2}\log_{8}x\)

\(4=8^{\frac{2}{3}}\) より
\(\displaystyle\frac{2}{3}x\log_{8}x=\displaystyle\frac{3}{2}\log_{8}x\)

\((\displaystyle\frac{2}{3}x-\displaystyle\frac{3}{2})\log_{8}x=0\)

よって
\(\displaystyle\frac{2}{3}x-\displaystyle\frac{3}{2}=0\) または \(\log_{8}x=0\)
したがって
\(x=\displaystyle\frac{9}{4},1\) (\(x>0\)を満たす)

 

 

 

(例題3)次の連立方程式を解け。

(1)
\(\log_{x}y+\log_{y}x=2\)
\(2\log_{x}\sin(x+y)=\log_{x}\sin y+\log_{y}\cos x\)

ただし、\(0<x<1\), \(0<y<1\)

(2)
\(x^{x+y}=y^3\)
\(y^{x+y}=x^3\)

ただし、\(x>0\), \(y>0\) ,\(x≠1\), \(y≠1\)

 

(解答)
(1)

連立方程式は文字消去が基本です。1つ目の式を変形すると
\(\log_{x}y+\displaystyle\frac{1}{\log_{x}y}=2\)
となるので、\(\log_{x}y\) の2次方程式になります。それを解けば、\(x,y\)の関係式が手に入るのであとはもう1つの式より\(x,y\)を決定します。
ちなみに\(x,y\)の問題文で与えられた範囲よりどちらの式についても真数と底の条件は満たします。(\(π≒3.14\), \(\displaystyle\frac{π}{2}≒1.57\) より)

\(\log_{x}y+\log_{y}x=2\)・・・①
\(2\log_{x}\sin(x+y)=\log_{x}\sin y+\log_{y}\cos x\)・・・②

\(0<x<1\), \(0<y<1\) より
①②どちらも、底と真数の条件は満たす。

①より
\(\log_{x}y+\displaystyle\frac{1}{\log_{x}y}=2\)

分母を払って整理して
\((\log_{x}y)^2-2\log_{x}y+1=0\)
\((\log_{x}y-1)^2=0\)
\(\log_{x}y=1\)
よって
\(x=y\)・・・③

③を②に代入して
\(2\log_{x}\sin2x=\log_{x}\sin x+\log_{x}\cos x\)

\(\log_{x}(\sin2x)^2=\log_{x}\sin x\cos x\)
両辺の真数を比べて
\((\sin2x)^2=\sin x\cos x\)
\((\sin2x)^2=\displaystyle\frac{1}{2}\sin2x\)
\(\sin2x(\sin2x-\displaystyle\frac{1}{2})=0\)

\(0<2x<2\) より、\(\sin2x≠0\) だから
\(\sin2x=\displaystyle\frac{1}{2}\)

\(\displaystyle\frac{5π}{6}≒2.61\) なので、\(2x=\displaystyle\frac{5π}{6}\) は解になりません。

\(0<2x<2<\displaystyle\frac{5π}{6}\) より

\(2x=\displaystyle\frac{π}{6}\)
\(x=\displaystyle\frac{π}{12}\)

③\(x=y\) より
\(x=y=\displaystyle\frac{π}{12}\)

 

(2)

指数が文字になっているので例題2(2)と同様に両辺対数をとります。
底は基本的になんでもよいです。定数や方程式に登場している\(x,y\)など。

\(x^{x+y}=y^3\)・・・①
\(y^{x+y}=x^3\)・・・②

\(x>0\), \(y>0\) ,\(x≠1\), \(y≠1\) より
①②の両辺は正の数で、両辺底を\(x\)とする対数をとって

\(x+y=3\log_{x}y\)・・・③
\((x+y)\log_{x}y=3\)・・・④

\(x+y>0\) と④から
\(\log_{x}y=\displaystyle\frac{3}{x+y}\)・・・⑤

⑤を③に代入して
\(x+y=\displaystyle\frac{9}{x+y}\)
\((x+y)^2=9\)
\(x+y>0\) より
\(x+y=3\)・・・⑥

⑥を③に代入して
\(3=3\log_{x}(3-x)\) (\(x<3\)とする)
\(1=\log_{x}(3-x)\)
\(x^1=3-x\)
\(x=\displaystyle\frac{3}{2}\)

⑥より \(y=\displaystyle\frac{3}{2}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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