対数関数と領域

対数関数を含む領域図示問題について見ていきます。

 

(例題)
\(x,y\) は \(x≠1\), \(y≠1\) を満たす正の数で、不等式
\(\log_{x}y+\log_{y}x>2+(\log_{x}2)(\log_{y}2)\)
を満たすとする。このとき\(x,y\) の組 \((x,y)\) の範囲を座標平面上に図示せよ。

 

 

 

(解答)

まずは底を揃えます。底を\(x,y\)にしてもよいですが底の場合分けが面倒なので、定数にします。(右辺の真数が2なので2にしておきます)

\(\log_{x}y+\log_{y}x>2+(\log_{x}2)(\log_{y}2)\) より

\(\displaystyle\frac{\log_{2}y}{\log_{2}x}+\displaystyle\frac{\log_{2}x}{\log_{2}y}\)\(>2+(\displaystyle\frac{1}{\log_{2}x})(\displaystyle\frac{1}{\log_{2}y})\)

(一旦 \(\log_{2}x=X\)  \(\log_{2}y=Y\) とおいて)

\(\displaystyle\frac{Y}{X}+\displaystyle\frac{X}{Y}\)\(>2+\displaystyle\frac{1}{X}\cdot\displaystyle\frac{1}{Y}\)

通分して整理すると

\(\displaystyle\frac{X^2+Y^2-2XY-1}{XY}>0\)

\(\displaystyle\frac{(X-Y)^2-1}{XY}>0\)

\(\displaystyle\frac{(X-Y+1)(X-Y-1)}{XY}>0\)

ここで何も考えずに両辺に\(XY\)を掛けて分母を払ってはいけません。
何故なら、\(XY\)は負の値もとるので不等号が入れ替わる場合があるからです。
そこで場合分けが必要になってくるので、ひとまずもとの\(\log\)の式にして検討していきます。

\(\displaystyle\frac{(\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}+1)(\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}-1)}{\log_{2}x\log_{2}y}>0\)・・・①

 

(分母)>0 になるのは、\(\log_{2}x\), \(\log_{2}y\) が「どちらも正」or「どちらも負」になるときです。(分母)<0 は、「一方が正、もう一方が負」です。

 

(1)①の (分母)>0 になるとき、つまり「\(x>1\) かつ \(y>1\)」  または 「\(0<x<1\) かつ \(0<y<1\)」のとき

(分子)>0 だから

2次方程式を解く要領で。\(\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}=t\) とでも見ればわかりやすいと思います。

\(\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}<-1\)  または \(\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}>1\)

\(\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}<\log_{2}\displaystyle\frac{1}{2}\)  または \(\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}>\log_{2}2\)

よって
\(\displaystyle\frac{x}{y}<\displaystyle\frac{1}{2}\) または \(\displaystyle\frac{x}{y}>2\)

\(y>0\) だから \(y\)倍して整理すると

\(y>2x\) または \(y<\displaystyle\frac{1}{2}x\)

まとめると
「\(x>1\) かつ \(y>1\)」  または 「\(0<x<1\) かつ \(0<y<1\)」のとき
\(y>2x\) または \(y<\displaystyle\frac{1}{2}x\) です。
「または」はどちらか一方を満たしていればよいので、
(ア)「\(x>1\) かつ \(y>1\)」のとき \(y>2x\) または \(y<\displaystyle\frac{1}{2}x\)
(イ)「\(0<x<1\) かつ \(0<y<1\)」のとき \(y>2x\) または \(y<\displaystyle\frac{1}{2}x\)
と分けて考えることができます。結局これらを図示すると全部で4つの領域になります。

 

(2)①の (分母)<0 になるとき、つまり「\(x>1\) かつ \(0<y<1\)」  または 「\(0<x<1\) かつ \(y>1\)」のとき

①の (分子)<0 だから
\(-1<\log_{2}\displaystyle\frac{x}{y}<1\)

\(\displaystyle\frac{1}{2}<\displaystyle\frac{x}{y}<2\)

整理して
\(\displaystyle\frac{1}{2}x<y<2x\)

 

以上(1)(2)より \((x,y)\) の範囲を図示すると次の通り。

対数 領域

 

境界線を飛び越えると、その境界線の表す式について符号が変わります。よってある領域が条件を満たす領域だと1つだけ境界線を飛び越えた領域は条件を満たさない領域になります。したがって解答のように1つとびの模様になります。確認の目安にしてください。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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