事象の独立と乗法定理②(3つ以上の事象)

3つ以上の事象の独立について見ていきます。

 

・\(3\)つの事象の独立
\(3\)つの事象\(A,B,C\)の独立については

\(A,B\)が互いに独立・・・①
\(B,C\)が互いに独立・・・②
\(C,A\)が互いに独立・・・③

であることには問題ないと思いますが、これに加えて

\(A \cap B\) と \(C\) が互いに独立・・・④
\(B \cap C\) と \(A\) が互いに独立・・・⑤
\(C \cap A\) と \(B\) が互いに独立・・・⑥

も成り立たなければなりません。その理由は例えば、サイコロを2回振るとき

\(A\):1回目に\(2\)の目が出る
\(B\):2回目に\(3\)の目が出る
\(C\):1回目と2回目の目の和が\(7\)である

という事象を考えるとき、①②③は全て成り立ちますが
\(P((A \cap B) \cap C)=0\) (\(A,B,C\)は同時に起こることはない)
\(P(A \cap B)×P(C)=\displaystyle\frac{1}{36}×\displaystyle\frac{1}{6}\)
となるので、④が成り立ちません。これでは\(A \cap B\)の起こり方が\(C\)に影響を与えているので、独立とするのは少し不便です。そこで④~⑥の独立まで考慮する必要が出てきます。

また①~⑥を数式(乗法定理形式)にすると
\(P(A \cap B)=P(A)P(B)\)・・・①
\(P(B \cap C)=P(B)P(C)\)・・・②
\(P(C \cap A)=P(C)P(A)\)・・・③

\(P((A \cap B)\cap C)=P(A \cap B)P(C)\)・・・④
\(P((B \cap C)\cap A)=P(B \cap C)P(A)\)・・・⑤
\(P((C \cap A)\cap B)=P(C \cap A)P(B)\)・・・⑥

となりますが、④~⑥は①②③も用いるとまとめて
\(P(A \cap B \cap C)=P(A)P(B)P(C)\)・・・⑦
と表せるので3つの事象の独立の条件は数式で表すと次のようになります。

\(P(A \cap B)=P(A)P(B)\)・・・①
\(P(B \cap C)=P(B)P(C)\)・・・②
\(P(C \cap A)=P(C)P(A)\)・・・③
\(P(A \cap B \cap C)=P(A)P(B)P(C)\)・・・⑦

なお⑦は3つの事象の乗法定理
\(P(A \cap B \cap C)=P(A)P_A(B)P_{A \cap B}(C)\)
における独立の場合の乗法定理になっています。

 

 

・\(n\)個の事象の独立
\(3\)つの事象の独立を踏まえると、\(n\)個の事象の独立の条件は次のようになります(以下の全てが成り立つことが条件)。

\(2\)個:\(A,B\)が独立、\(B,C\)が独立、\(C,D\)が独立・・・
\(3\)個:\((A \cap B), C\)が独立、\((B \cap C),D\)が独立・・・
\(4\)個:\((A \cap B \cap C),D\)が独立・・・
・・・・
\(n\)個:\((A \cap B \cap C \cap \cdots\)が独立

\(n\)個の事象から何個か事象を選び出して、その事象の選び方によらず独立であることが条件になるので、数式にすると
\(2\)個:\(P(A \cap B)=P(A)P(B)\)、\(P(B \cap C)=P(B)P(C)\)、・・・
\(3\)個:\(P(A \cap B \cap C)=P(A)P(B)P(C)\)、\(P(B \cap C \cap D)=P(B)P(C)P(D)\)、・・・
\(4\)個:\(P(A \cap B \cap C \cap D)=P(A)P(B)P(C)P(D)\)、・・・
・・・
\(n\)個:\(P(A \cap B \cap C \cdots)=P(A)P(B)P(C)\cdots\)

となります。それぞれ等式は、\({}_n\mathrm{C}_2,{}_n\mathrm{C}_{3},{}_n\mathrm{C}_{4},\cdots,{}_n\mathrm{C}_{n}\) 個ずつあります。

丁寧に考えると以上の通りですが、とりあえずはそれぞれの事象は互いに影響がないくらいの認識でも大丈夫です。これとほぼ同内容の「\(n\)個の確立変数の独立」というものがありますが、統計的な推測の箇所で少し顔を出すので頭の片隅においておくとよいです。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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