対称式と基本対称式①

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今回は対称式と基本対称式について学んでいきましょう。
因数分解のところでも紹介しましたが、対称式についておさらいです。

対称式:a,b,c・・・の多項式で、a,b,c・・・のどの2つを入れ替えても元の式と同じになるもの。

 

複数文字があって大変なので、まずは2文字 \(x,y\) から考えていきます。

(問題)
\(x+y=\sqrt{3}\)、 \(xy=1\) のとき次の値を求めよ。
① \(x^2+y^2\)   ② \(x^3+y^3\)   ③ \(x^4+y^4\)   ④ \(x^5+y^5\)
条件式を連立して\(x,y\)の値を出してそれぞれ代入・・・と考えると大変そうです。ここでは①~④がすべて\(x,y\)の対称式であることに着目します。

 

そして\(x,y\)の対称式は次の性質があることが知られています。
\(x,y\)の対称式は、基本対称式 \(x+y\) ,  \(xy\)で表される。

この性質を利用して①~④を解いていきましょう。

① \(x^2+y^2\)
\(=(x+y)^2-2xy\)
\(=(\sqrt{3})^2-2・1\)
\(=1\)
(\(x^2+y^2\)を作り出すために、\((x+y)^2\)を考えて不要な\(2xy\)を引いています。)

 

同様に②では、\((x+y)^3\)を考えます。

②\(x^3+y^3\)
\(=(x+y)^3\)\(-(3x^2y+3xy^2)\) ←余分なものを引く
\(=(x+y)^3-3xy(x+y)\)
\(=(\sqrt{3})^3-3・1・\sqrt{3}\)
\(=0\)

 

③\(x^4+y^4\)
\(=(x^2+y^2)^2\)\(-2x^2y^2\)
\(=1^2-2・1^2\) ←(①を利用)
\(=-1\)

 

④\(x^5+y^5\)
\(=(x^2+y^2)(x^3+y^3)\)\(-(x^2y^3+x^3y^2)\)
\(=(x^2+y^2)(x^3+y^3)\)\(-x^2y^2(x+y)\)
\(=1・0-1^2\sqrt{3}\) ←(①、②を利用)
\(=-\sqrt{3}\)

 

同様に\(x^6+y^6\)・・・と計算できますが、次の等式(漸化式)を利用してもよいでしょう。

\(x^n+y^n\)
\(=(x+y)(x^{n-1}+y^{n-1})-xy(x^{n-2}+y^{n-2})\)
\(T_n=x^n+y^n\)とすると
\(T_n=(x+y)\) \(T_{n-1}-xy\) \(T_{n-2}\)
\(x^6+y^6\)
\(=T_6\)
\(=(x+y)T_5-xyT_4\)
\(=\sqrt{3}(-\sqrt{3})-1・(-1)\)
\(=-2\)
※\(T_6\)と\(T_5\)から\(T_7\)が求まり、\(T_7\)と\(T_6\)から\(T_8\)が求まり、・・・と順々に値が計算できます。

 

 

類題もやっておきます。

(類題)
\(a+\displaystyle\frac{1}{a}=2\sqrt{5}\)のとき次の値を求めよ。

①\(a^2+\displaystyle\frac{1}{a^2}\) ②\(a^3+\displaystyle\frac{1}{a^3}\)

\(a=x,\)  \(\displaystyle\frac{1}{a}=y\) とすれば、\(x,y\)の対称式と同じになります。(\(xy\)の条件が与えられていませんが、\(xy=\)\(a・\displaystyle\frac{1}{a}=1\)と求めることができます。)
(解答)
①\(a^2+\displaystyle\frac{1}{a^2}\)
\(=(a+\displaystyle\frac{1}{a})^2-2a・\displaystyle\frac{1}{a}\)
\(=20-2\)
\(=18\)

 

②\(a^3+\displaystyle\frac{1}{a^3}\)

\(=(a+\displaystyle\frac{1}{a})^3-3(a+\displaystyle\frac{1}{a})\)

\(=40\sqrt{5}-6\sqrt{5}\)
\(=34\sqrt{5}\)

 

次回は3文字の対称式についてみていきましょう。

 

 

以上です。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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